「できてしまうこと」を仕事にすればいい
自己啓発では、「今の自分を否定して違う自分になりましょう」と言います。「ダイエットできない自分から1日1時間筋トレする自分になる。英語を話せる自分になる。 行動力をつけて営業職でバンバン活躍できるようになる。」このような自己啓発が9割です。これって実現しないんですよね。現実は厳しいもので、漫画やアニメじゃないので、大抵のことは叶わない。 自分以外のものに変身できるっていうのは、できないから漫画や映画になるわけで。現実はとんでもなく地味です。
人間はそんなに変わらないんですよ。性格も能力も、それから体重にしてもそうですし、年収に関しても、「1年で1億円、2億円になるよ」とそんな本がいっぱいありますが(笑)。「短期間で成功者になれます」っていう物語がありますけども、珍しいから人々を惹きつけることができるんですよね。 漫画でも映画でも平凡なストーリーって誰も見ないですよね。それってみんな現実でやってるからです。わざわざ金払って映画館に行って物語を見るって、自分が日頃体験していないものを見たいんですよね。 主人公がいじめられてて、あるとき魔法を使えるようになって、世界を救っていく、そういう物語ですよね。自己啓発も物語ですからね。「私(著者)の言うことを聞いたら魔法が宿って、あなたはダイエットに成功し、仕事で成功し、モテますよ」と。人々は夢と希望を胸に繰り返し自己啓発本を買い、セミナーに参加すると・・・。
悲惨なことに人間というのは、「期待して落胆する」のを何回か繰り返すと、落ち込むようにできています。これは進化の過程でそうデザインされています。 「学習性無力感」というものなんですけど、要するに「メリットがない状況」に長くいると、エネルギーを節約するために気分が落ちてきて、内省が多くなって、「戦略を立て直せ、違う道に行け」っていうふうに本能が仕向けるんです。 それが長く続いちゃうと、鬱病になって、再起不能レベルになっちゃうと。だからよくイジメでも家庭内暴力でも、ブラック企業でも、長くいる人はやっぱり深刻な状況になってしまう。 早めに逃げ出したら、命に別状はないんですが、半年、1年そこにいちゃうと、体は死を選択しちゃうんですね。 それと同じことが、自己啓発にハマった人にも言えて、「自己啓発疲れ」している人がいる。希望を抱いて頑張っていたのに、いつからか落ち込んじゃって、セルフネグレクトになっちゃって、人生を諦めちゃう人。その人たちは、期待と落胆を、50回も60回もやったんです。 自己啓発が誘ってきますからね。「こうすればいい、ああすればいい」って、それに人間は引っかかっちゃう。ヒーロー願望があるので、変身したいんですよね。 ただ現実はそんなに変わらないんですよねぇ。本を100冊読んだって、1000冊読んだって、そんなに人生変わらない。ものすごく地味な結果しか出ない。 ということで、自己啓発業界は、結果的に多くのうつ病患者を生んでいると、僕は思っています。
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