アニマルムーブメント
インスタ―でアニマルムーブメントを見たことがあるかもしれない。
数年前から流行りだして多く見られるようになったアニマルムーブメントは、animal movementの元の英語の言葉通りで動物のような動きをする運動を指している。
目的としては、柔軟性の向上から体力アップまで幅が広く、一つの運動で複数の目的をターゲットできることが普及している理由の一つだろう。
個人的に、知っていながらもあまりやったことがなかった。やっぱり、筋力アップを狙うなら、腕立て伏せや懸垂といった典型的な運動を好んでいたからだ。実は、アニマルムーブメントをはじめたときに、かなり強度の高いメニューをこなしていたこともあって、他の筋トレを完全にストップさせた。最初は、筋トレでせっかく大きくさせた筋肉の衰えが心配なうえに、そこまで取り組んできた運動とl比べて、動きをゆっくりしたり、リズムを大事にしたりするアニマルムーブメントが慣れ親しんでいた運動の感覚と違い過ぎて、鍛えられているのかなと不安に思うことが多々あった。
しかし、やっていくうちに確実に進化している自分が実感できた。何の進化かというと、身体の進化だ。そこまでの自分はとにかく体が硬かった。ストレッチしても変わらない。こういう体なんだ、とあきらめていたところ、典型的なストレッチとほど遠いアニマルムーブメントをやっていたら、着々と体が柔らかくなっていった。しかも、それは運動しているときに感じることだけではなく、日常生活でも感じることができる。疲れがたまると痛みだす腰が良くなったし、パソコン作業を長時間していても、前のような肩こりに悩まされることもなくなり、全体的に体が柔らかく、非常にリラックスした状態になった。さらに続けていくと、身体意識が高まり、自分の体を「感知」できるようになった。
運動だと思って始めたアニマルムーブメントはいつの間にか遊びのような感覚に変わっていった。運動=遊びということについては、別の記事で詳しく話したいが、とにかくアニマルムーブメントで体の様々な動きを試すことで自分の体をより知ることができた。同時に、知っていたはずの体をどれだけ知らないかを思い知らされた。。笑
身体感知力が上がると、痛みなど起こるときにより対処できるし、運動の中でも動きがより洗練されコントロールできるものになっていく。
アニマルムーブメントの効果についても、考えてきた。アニマルムーブメントさえすればすべてよし、というような発言は粉まない。いや、はっきりいって間違っている。正しい運動処方がいちばん重要だ。現状を踏まえたうえで自分の目標にあった適切な運動をすることがベストでいちばんの効果が期待できる。しかし、その中でアニマルムーブメントを使うことのメリットについて話をすると、いくつかの効果があるように思う。
1)柔軟性向上
動物のような動きをすることは意外と大変だ。子どものころはそうしてよく遊んだものの、大人になって座る時間が多くなって体が硬くなっている今では、這い這いの姿勢を取ることですら容易なことではない。一方で、完璧な動きができなくても、調整がきくのはアニマルムーブメントの良いところだ。たとえば、熊のように歩く、という動きをするときに理想的には足を伸ばしてまっすぐにしたまま歩くのだけれど、それができなくても足を曲げて歩くことができる。ここでは正解不正解はない。自分の今のレベルの動きしかできないからそこから初めてみてやっていくうちに改善していこう、という考え方なのだ。足が曲がっても、曲がった状態が自分の今の柔軟性の限界なわけだから曲がった状態で歩くことで可動域を広げることが可能だ。それを何か月続けたら足をまっすぐにしてできるようになってくるはずだ。
2)体力向上
柔軟性だけではなく、筋肉を強くするためにもアニマルムーブメントは一役を買う。一見ではそうは見えないかもしれないが、しゃがんだり、腕に体重を乗せる場面の多いアニマルムーブメントによって筋肉や関節が刺激され強化される。また、先述したように動きを自分のレベルに調整できるから適切な負荷のかけ方ができる。ウェイトトレーニングの欠点は負荷をかけすぎてケガするリスクが高いことだ。アニマルムーブメントはリスクがないとは言えないが、良くも悪くも体の限界を超えることが難しい。もちろん、適切な運動処方が大全体にある。一見で運動というより遊びのように見えるアニマルムーブメントは、実はもっと複雑な体操の動きの基礎的な動きであったり、そういった動きをするうえでの土台作りになったりするからかなり応用力が高く、体を強くするうえでかなり有益なものなものだ。筋肥大ならあまり効果的ではないが、体の各部位を総合して鍛えることで体全体の強化効果は十分に期待できる。
個人的にアニマルムーブメントの良いところは、通常の運動にある「できる」か「できない」かのようなところがなく、完璧に動きができなくても少し調整することでできる動きになり、そこから練習を重ねていくと動きが進化していく、というところだ。このように完成型はなく、いつまでも進化し続ける。運動するうえで、上達や進化が大きなモチベーションにはなるが、体力と柔軟性やコントロールといった様々な身体能力を鍛えながらすでに高いレベルが目指せることがアニマルムーブメントを好きになった一番の理由だ。
運動のメインにならなくとも、ウオーミングアップに入れたり、今こなしているメニューに加えることで様々なメリットをもたらす良い刺激になるはずだ。
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