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気持ち

最近ハマっていたテレビドラマがある。

半沢直樹。

ほぼ10年前に放送されていた銀行員のドラマだ。

主人公の半沢直樹は日本屈指の大手銀行の優秀な銀行員だ。金融庁による検査など、数々のトラバルから銀行を救って、その度に階級が上がっていく。偉くなればなるほど問題が大きくなり常にクビ、つまり、銀行員の生命の終わりと隣り合わせながらも大ピンチを乗り越えていくという、まさに銀行のスーパーヒーローだ。

面白いと同時に未知な金融界について勉強になることが多く、なかなか良いドラマだ。

主人公の半沢直樹は、まっすぐな人で、決めたことに対して是が非でもやり遂げるという柄だ。標的を定めたら、とことん狙いに行く。気が済むまで決して容赦はしない。好きな言葉はやられたらやり返す、倍返し。

この人柄からすると悪意質に思えてしまうかもしれないが、決してそうではない。それどころか良心を持った誠意のある人だ。

容赦せずやられたら堂々とやり返す恨念と同時に善を尽くす誠実さ。この対照的な両面を持つ人格を興味深く見ている。

テレビドラマとはいえ、優しさと厳しさ、赦しと恨み、善と悪、こういった対局しているものが共存する描写に素朴な疑問を感じる。確かに世の中はその両極の間にできている。けれど、良い人もいれば悪い人もいるという人間社会は、人間を複数形で見た時にだけ存在する。同一の人物にその両方の要素が一緒に共存することは、珍しいことではないだろうか。

人格に様々な面があるにしても、その両キャラが演じられることは容易ではないだろう。ついに優しい自分自身を裏切ることを恐れ、遠慮している自分からすると、人格の両極を自由に行き来できる半沢直樹はカッコ良く映る。

どの時もまっすぐだ。確かにそのような人柄を見て「悪い人」と判断してしまう人がいるかもしれない。でも、遠慮せず、自分の気持ちに100%まっすぐになれる姿には憧れしか見出せない。

そうなれるかどうか分からないが、一つの理想のような気がする。

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