「カメラがあれば夢だらけ」と教えてくれた人
私が細々とやっている趣味がカメラ(写真)です(noteで使っている写真は全部自分で撮ったものです)。
2010年秋、編集補助兼進行管理として東京のとある編プロで働いていましたが、いろいろあって地元へ帰ることになり、また編集の仕事ができますようにと願掛けでカメラを買ったのがきっかけでした。
なんとか編集の仕事に就けてしばらくした2012年冬、当時購読していたカメラ雑誌の募集で参加したワンデイレッスンの講師が写真家の山本まりこ先生でした。
「エアリー」-風通しがいい-という言葉をコンセプトに写真を撮っている先生のレッスン参加者はいわゆる「カメラ女子」な人たちがほとんどで、中身はもちろん風貌もどこかしら「オッサン」な私は完全に浮いていました。
「場違いなところに来てしもた…」と思いつつ、渡された貸出カメラの取説を読むことで気を紛らわしていたところ、「すごい!やる気だねぇ~!」と笑ってくれたことでホッとしたのを覚えています。
それからトークショーを聞きに行ったり教室に通ったりして、先生の写真に触れてきました。
先生の写真は元気をくれるサプリメント効果を発揮し、ときに睡眠導入剤のように心地よい眠りへいざなってくれたり、知らない街の景色を教えてくれる世界地図にもなり、とにかくたくさんのものを私に与えてくれました。
見たままを撮るのも写真だけど、自分の気持ちを色にのせて写真を撮ることを教えてくれたのもまりこ先生です。この発見が写真をよりおもしろいものにしてくれました。
絵も描けず、創作文章も苦手だった私が、写真という表現方法に出逢えたこと、最初に出逢った先生がまりこ先生だったことはとても幸運でした。
そんなまりこ先生が昨年秋に写真集「AIRY COLORS」を出版し、先月記念トークショーが開かれたので聞きに行ってきました。
ビタミンカラーのこの表紙を見たときから発売をとても楽しみにしていたのに、購入当時はすぐに表紙を開くことができませんでした。
仕事(会社)の状況が一段と悪化し、SNSなどでいろんな写真を見ていると、みんな上手でキラキラしていて、対して自分はこんなにモヤモヤしているのに……と自分が撮る理由や目的を見失い、写真を撮ることも見ることも避けるようになっていました。
でもそんな暗闇から脱却したかった。仕事以外の時間くらい前向きな気持ちが欲しかった。写真を嫌いになりたくなかった。
いろんな想いを抱えてトークショーに行きました。隠れるようにそっと後ろの席に座って。
トークショーはいつものように脱線に次ぐ脱線。なかなかスライドも進まないいつものまりこ先生で、「あぁ~こんなだったな(笑)」と少し懐かしくなったりした終盤、刺さった言葉がありました。
-嫌われてもいいから自分が撮りたいものを好きなように撮る-
言われてめくったページのキャプションは
嫌われてもいい
私は私の好きをまっすぐ描いていく
とても強い覚悟の言葉の隣には、とても優しく穏やかな見慣れたまりこ先生の写真がありました。
見る人すべてがいいと言ってくれる作品はない。嫌いと言われることもある。でもそれをおそれてはいけない。プロだとかアマチュアだとかを越えて、表現する人すべてに響く言葉でした。
あの優しく穏やかな写真の裏に、そんなことを思いながら(闘いながら)撮っていることを今回初めて言葉として聞けて、なんだか励まされたような気持ちになったのと同時に、自分の考えは甘かったな、石ころよりちっさかったな、風に吹き飛ばされる砂だなと思いました。精進します。
「AIRY COLORS」発売を記念しての写真展が東京・表参道で今月2月5日(水)~9日(日)に開催されます。
時間は11:00~19:00(9日のみ17:00まで)です。私の代わりに東京近郊の方、ぜひ足をお運びください。まりこ先生の写真からエアリーパワーを胸いっぱいお腹いっぱい吸い込んできてください。
「カメラがあれば夢だらけ」
先生、決して優秀な生徒ではなかったですが、これからも誰かと比べず、自分の好きなように写真続けます。いつもありがとうございます。
オマケ
トークショーのときに書いてもらったサイン。
誕生日が近かったので、バースデーケーキ付き。やったぜ。