ゆるゆるにゃんこと一緒に学ぶ『更級日記』
忙しい先生のための作品紹介。第7弾は……
アニメ『ねこねこ日本史』第4シーズン 123話(2020) 「千年前から萌えを叫ぶ、更級日記!」
対応する教材 『更級日記』
原作・史実の忠実度 ★★☆☆☆
見やすさ ★★★☆☆
レベル ★☆☆☆☆
放送時間 8:59
作品内容
オープニングを除いて1話7分程度で、擬猫化された歴史上の人物の人生を、ざっくりとギャグも挟みながら説明するショートアニメです。
菅原孝標女の人物像や、彼女が『更級日記』を書くに至るまでの過程がわかります。
菅原孝標女が『源氏物語』に大きく影響を受け、さらにその『源氏物語』への愛を綴った『更級日記』は『小倉百人一首』を選んだ藤原定家を魅了した、というつながりも説明されています。
おすすめポイント
「『源氏物語』をどうしても読みたい!」という願望のために薬師如来の仏像を作ってしまうという熱の上げようは、まさに現代のオタクの先駆者です。当時、物語を読めるチャンスはなかなか巡ってこなかった、という時代背景とあわせて考えれば、そういった大仰とも思える行動も納得でしょう。
全体を通しては、「いつの時代も日記にかきつけることはそんなに変わらないものだな」「ふうん、こんな人が書いた日記なんだ」とイメージをつかみやすく、親近感が湧きました。
余談ですが、ナレーションは山寺宏一さん、菅原孝標女と光猫氏(ひかるにゃんじ)は進撃の巨人でもお馴染みの小林ゆうさん、梶裕貴さんと、声優さんが非常に豪華であるのも嬉しいところです。
アニメ内で『更級日記』の内容は、平安時代の女性の気持ちや暮らしぶりをそのまま書き留めたものとして、Twitterのつぶやきに例えられています。言葉遣いもかなり砕けたもので、現代仕様にされているのが特徴です。(作中でてくる”スパダリ=スーパーダーリン”は、2020年代ではあまり耳にしませんが……)
注意としては、簡略化されている部分があるということです。「夕顔に憧れて」お嫁に行くのが遅くなったと強調されていますが、『更級日記』では夕顔以上に浮舟への憧れが繰り返し書かれています。
授業で使うとしたら
古典の授業で『更級日記』を扱うのは、冒頭場面か『源氏物語』を手に入れる場面が多いでしょう。
冒頭の『源氏物語』への憧れの段は、人づてに聞く物語が曖昧である場面や、源氏物語に執心する場面がわかりやすく説明されています。もちろん、作中に登場する桃太郎は室町頃の成立といわれていますし、SNSも存在しません。しかし、当時の感覚がうまく現代風に置き換えられており、生徒にもわかりやすいのではないでしょうか。
また、『源氏物語』を手に入れる段は、本作中では詳細が描かれていません。そのため、最初に本作を見せてあらすじを示した上で、実際の詳しい場面を教科書で読んでいく、といった導入としての使い方がよさそうです。
以上、『更級日記』のどの場面であっても、導入としてあらすじを理解させるのに手頃な作品だといえるでしょう。
※Amazon prime videoでは第4シーズン 27話
https://neco-neco.jp/1-4/index.html