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『、譚 近藤恵介・古川日出男』公開制作

LOKO GALLERYで22日から始まった『、譚 近藤恵介・古川日出男』の公開制作とオープニングレセプションに行ってきた。前回の2年半前のものも見ているが、今回は最初から見れた。

地下にも空間はあるが、二階で古川さんが『すばる』に掲載された『焚書都市譚』(そもそもこの中編は手書きで書かれた)のコピー原稿をその場で様々な紙(薄い和紙など)にダイジェストにした言葉を書いていく。それをスタッフの人が一階に持って行き、近藤さんが切ったり貼ったりする。これはある意味で編集による編集を重ねていく。層を幾重にもしていくことで多層なものがリアルタイムで現れてくるのを体験する美術であり、文学だった。
完成系だけを見ると薄い紙が重なっているということはわかるはずだが、しかし、文脈のような制作中の流れを見ていると捉え方がまったく違ってくるものとなっている。


近づいてみると日本語(もちろん、小説に書かれた言葉だから)だが、一部にはアラビア語、韓国語、中国語、英語のように見える。薄い紙が多層になって文字が重なると新しい文字が見えて、現れてくる。『新記号論』で読んだ36種が重なることで文字になるように、二人によって編集され重ねられたものがそこにある。
文章を書いている時の古川さんは朗読をしている時のように、磁場のようなもの、獣のような気配があって近寄れない。観客、鑑賞者たちは一定以上の距離を持って見ていた。
近藤さんは文字や形も意識したり、紙の種類なども重なる際にイメージしている部分と無意識に反射的に判断し切って貼っていたと言われていた。


公開制作が終わってからレセプションで翻訳家の柴田元幸さんとお話をさせてもらう。柴田さんが訳されたブライアン・エヴンソンを最近読み直していたのと、『MONKEY』最新号でエヴンソンがレイモンド・カーヴァーについて書いた文章を柴田さんが訳されているのを読んだ感想をお伝えした。カーヴァーについての文章はまるごと一冊を訳されて載せたのだと言われた。エヴンソンの長編はまだ日本では訳されていないが、この先のことについても聞かせてもらえた。
古川さんと近藤さんにご挨拶を。出来上がった作品を見ながら36種の話もだけど、小説『焚書都市譚』について、来週の30日と4月21日にLOKOで開催される画廊劇『焚書都市譚』についてお話を。画廊劇に関しては稽古をかなりされているらしい。近藤さんも出演する。小説とこの展示を繋いで、あるいは違うアウトプットになるのがその画廊劇になるようだ。

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