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なんでお姉ばっかり構うの
お姉が帰ってきた。一緒に晩ご飯を食べるのは、お姉が結婚してから初めて。そのお陰で母が張り切って料理をしていた。普段は味噌汁を作るのを忘れることの方が多いのに、今日はお姉の好きな豚汁が並んでいる。しかもどんぶり。流石に多すぎじゃない?と思いながらも飲み干した。お姉はおかわりしていた。…ちょっと引いた。母はニコニコしている。
私のお姉(みーちゃん)はとてもしっかりしていて、男勝り。めっっちゃ早口。私より9年早く生まれている。プリキュアで例えるなら、お姉はキュアスカイで私はキュアプリズム。あ、次のプリキュア青髪の子(キュアスカイ)がメインらしいよ。
実は私の本名は"まな"なんだけど、おばあちゃんが私を呼ぶ時に、お姉と間違えて『みー…まなちゃん』と呼んだその日から、私の名前は"みいまな"になった。今ではもう定着してしまっている。
私たち兄弟は結構面白くて、活発な姉、姉とは対照的で慎重な兄、そしてその中間をとったかのような私で構成されている。母は、
『みーちゃんはとにかく突っ走って来たから、何も拾わずに生まれたの。それでお兄ちゃんが「貰えるものは貰おう」って男になって出てきた。それでまなちゃんは、残ったものを「ラッキー」って全部拾ってきた。』
という話をよくする。空想上の話に過ぎないのだけど、本当にその通りだと思う。
突っ走ってきて出生体重がめちゃくちゃ軽かった姉と、残り物を拾い集めて重くなって出てきた私。本当に何もかも正反対で、私はずっとお姉が憧れで、大好きで、大嫌い。
私が保育園にいる時にお姉は受験をしていて、私が二重跳びが出来るようになった時には水泳でめちゃくちゃ賞を取っていた。私の門限が無くなった頃には韓国に旅行に行っていて、私が片思いを拗らせている時には結婚の報告に来た。
なんなの??
親には平等に育ててもらったし、理不尽なことはなかった。それでもやっぱり寂しかった。私だってお子様ランチじゃなくて皆と一緒が良かったし、お姉とお兄が半ぶっこしているのが羨ましかった。母は、私と母で半ぶっこするのを意識していたみたいだけど、あの頃の私には餌付けされているとしか思えなかった。
『みーちゃんは今大事な時期だから』
『お姉ちゃんは大人だから』
…だから、なんなの!!
(どうして私はお姉ちゃんと対等になれないんだろう、どうしてお姉ちゃんばっかり優先されるの?)
今思えば、末っ子らしく皆に甘えれば良かった。でも私にはそれが難しくて、ずーっとお姉を追いかけたまま成人してしまった。もう大人の仲間入り。それなのに私は、ずっと子どもみたいに拗ねている。なんでお姉ばっかり構うの!
きっとこれからも、私はずっとお姉を追い続ける。お姉の顔に皺が増えようと、数学のできる冴えた頭がボケようと、ずーっとお姉に嫉妬し続けるんだ。多分そういうのが、私に当てはまる"妹"役なんだと思う。
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お正月。お姉が家に顔を出して、私の部屋にズンズン入ってくる。とりあえずノックをしろ!!!
『はい♡』って笑顔で渡されたポチ袋。え、お年玉くれるの?って開けてみたら、 夢叶 と書かれたお守りが入っていた。
『受験生だから。まぁ金はやらねぇけどな!!!!ハッ!!!!』と言い残して去っていく。
…なんなの!!!!
これだから私はずっと、妹を辞められないのだ。