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免疫組織化学③【動画解説】#00028

動画解説

免疫組織化学シリーズ第3回目は、「モノクローナル抗体」ってなんだ?というお話し。

前回はポリクローナル抗体について説明しました(#00027)。
今回はモノクローナル抗体について掘り下げてます🐭

ポリクローナル抗体と比べて、モノクローナル抗体は作るのが難しく、
時間、手間、高度な技術が必要です。

動画の中では説明しきれなかった、
「ハイブリドーマ(融合細胞)の作りかた」
「特異性の高い抗体のスクリーニング方法」
については👇で説明します!

補足・訂正

【融合細胞の作り方】
B細胞とミエローマ細胞を高濃度のポリエチレングリコール(PEG)溶液中で培養すると、疎水性の高分子化合物であるPEGは、細胞膜の脂質二重膜構造を緩やかにして、細胞同士の接着を誘起し、膜構造が再び回復する時に2つの細胞の融合が起こります。
実際にできる細胞は、
①B細胞ーB細胞
②B細胞ーミエローマ(=ハイブリドーマ)
③ミエローマーミエローマ
の3パターンができてきます。(欲しいのは②)
これらの細胞をHAT培地(ハイブリドーマだけが選択的に増殖することのできる培地)で培養することで、②を選択的に得ることができます。

👆の方法は、DNAの原料であるヌクレオチドの合成経路(de novo経路とサルベージ経路)の阻害を利用してハイブリドーマ細胞をセレクションしています。
☆ミエローマ細胞はヌクレオチド合成経路のサルベージ経路が働かない細胞株を使う。
☆HAT培地はde novo合成経路阻害剤(アミノプテリン)を含んでいる。
☆HAT培地中では③ミエローマーミエローマは、de novo経路もサルベージ経路も働かなくて死滅
☆②B細胞ーミエローマは、B細胞のサルベージ経路を使って生存できる。

【特異性の高い抗体産生細胞のスクリーニング】
融合細胞の中から、ELISA等の方法を使って、特異抗体を産生する細胞を選びます(一次スクリーニング)。
この段階では、複数のクローンを含んでいる可能性があるので、更に限界希釈法(細胞懸濁液を希釈して、96wellプレートの1wellに1つの細胞だけが存在するように播種する)を用いて単一細胞株に分けて培養し、単一細胞株クローンを作成。ここで再度ELISAによって特異性の高い抗体を産生する細胞株を選択します(二次スクリーニング)。

編集者から

 免疫組織化学シリーズ最後の動画はモノクローナル抗体とポリクローナル抗体の違いをより正確に、分かりやすく伝えるために撮影後に何度も議論がありました。その結果、今回議論になった部分を早送りにして新しいスライドを上からかぶせることにしました。動画の内容が視聴者にうまく伝わりそうにない場合などには動画の構成上どうしても編集でカットせざるを得ない場合があります。しかし、カットしてしまうと前後で話がかみ合わなくなったり不自然になってしまうので、早送りにして上から正しい情報を重ねるという方法を使っています。

全記事を無料で公開しています。面白いと思っていただけた方は、サポートしていただけると嬉しいです。マナビ研究室の活動に使用させていただきます。