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ゴリラの頭のコブは筋肉です:ゴリラとヒトの違い
ゴリラの頭はコブのように盛り上がっています。あのコブは非常に発達した側頭筋です。またゴリラは立派な牙をもち、赤い唇をもちません。ゴリラとヒトの側頭筋、犬歯、唇の違い。(吉野賢一)
側頭筋:口を閉じたり噛みしめたりするときに働く筋の一つが側頭筋です。側頭筋の一端は頭蓋骨に、他端は下顎に付着しています。目と耳の間あたりにコメカミと呼ばれる部位があります。コメカミの語源は「米噛み」です。口を動かしたり噛みしめるとき、この部位を指で触れると側頭筋の動きを感じることができます。
ゴリラのコブ:ヒトと比較すると、ゴリラは非常に大きな側頭筋をもっています。その発達した側頭筋が盛り上がって頭のコブのように見えるのです。ゴリラの噛む力はヒトの数倍ありますが、この巨大コブを見れば納得です。ゴリラほどではありませんが、チンパンジーやサルの仲間も比較的大きな側頭筋をもっています。そして、その大きな側頭筋が頭蓋骨を覆っています。一方、ヒトの側頭筋は小さくて頭蓋骨の横までしか付着していません。
脳への影響:進化の過程において、ヒト以外の霊長類は大きな側頭筋のために大きな脳をもつことができなかったと考える研究者もいます。彼らは、サルでは頭を覆う側頭筋が圧迫して脳を入れる器(頭蓋骨)が大きくなれなかったと推察しています。頭を覆わない小さな側頭筋のおかげで、ヒトは大きな器をもち、大きな脳を獲得できたのかも知れません。ちなみに、側頭筋を鍛えると器や脳が小さくなる、と言うことはありませんので安心してよく噛んで食べましょう。
ゴリラは牙をもつ:ゴリラは、長く鋭い犬歯(立派な牙)をもっています。サル目(ヒト、類人猿、サル)のなかで、短く鈍い犬歯をもつのはヒトだけです。ヒトの定義は、完全なる二足歩行、大きな脳、音声によるコミュニケーションなどが考慮されますが、短く鈍い犬歯をもつことも重要です。とくに歯は化石でも良く残りますので、絶滅したジャワ原人や北京原人などをヒトと分類し、アウストラロピテクスなどをヒト以外に分類するときに大いに役立っています。
ゴリラは赤い唇をもたない:哺乳類は唇(口唇)をもちます。母乳を飲むときに、口唇で密閉する必要があるからです。しかし、内皮がめくれあがり、毛細血管が充満している赤い唇をもつ動物はヒトだけです。なぜヒトだけが赤い唇をもつのかは謎ですが、哺乳を含めた摂食行動、発話や表情形成などのコミュニケーション、繁殖を目的とした異性の誘惑や性行動、また鋭敏な感覚器として役立っているようです。一方、なぜ動物が赤い唇をもたないのかも謎です。ただ個人的には、赤い唇は動物の生存に不利益だからだと考えています。もしゴリラが赤い唇をもっていたら、食べている葉っぱが唇に接触して容易に出血してしまうでしょう。すると血の匂いに誘われた捕食者が「美味しそうな匂い~、しかも出血しているから弱っているはず~」とやってくるのではないでしょうか。
余談:私の犬歯は、鈍いどころか平らである。「短く鈍い犬歯」はヒトの特徴なので、その平らな犬歯が自慢だった。そんな吉野と歯科医師(先生)との三十数年前の会話。 吉野: 見てくださいよ、犬歯が平らでしょ。(あ~んと口を開けた) 先生: 確かに、平らだね。 吉野: これは進化の証でしょ。現代人よりもさらに進化したのが僕。 ガンダムで言うとアムロみたいなニュータイプだと考えているんです。 先生: 君、歯ぎしりするだろ。 吉野: ええ、してますけど・・・。 先生: 平らになってるのは、歯ぎしりで摩耗しているだけ。歯に悪いよ。マウスピース作って、歯ぎしりしても大丈夫なように治療しようか。
ニュータイプから歯ぎしり野郎に転落した瞬間。結構ショックだった。 現在3種類のマウスピースをもっている歯ぎしり野郎の吉野でした。
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