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#031 揉めよう、ただし早めに、前向きに|プロジェクト成功の研究日記
こんにちは。management studioの吉見です。
世の中には色んな揉め事があります。仕事はもちろん、家庭、近隣、友人…。「悩みの8割は人間関係である」という説があるように、大体の揉め事は人と人が関わることで生まれるようですね。
プロジェクトも、人と人が関わることで成果が生まれる仕事。当然、日々揉め事が起きます。
大きな衝突から小さないざこざ、すぐに表面化するものもあれば、あの時実は…なんて根に持っていて時間が経ってからなんてこともあります。
プロジェクトの揉め事は双方のロジックの違いから起きます。ステークホルダー全員が理性的に自分と相手のロジックを理解し歩み寄れば揉め事は無くなるかもしれませんが、現実的には不可能。まぁこれはプロジェクトに限ったことではないかもしれませんが…。
そもそもプロジェクトにおいて揉め事は悪いことなのでしょうか。実はそうばかりではありません。
チームビルディングの理論に「タックマンモデル」というものがあります。チームをつくってから機能するまでにはステップがある、というものです。
そのステップとキーワードがこちら。
ステップ1 形成期:不安、緊張
ステップ2 混乱期:衝突、軋轢
ステップ3 統一期:共通、受容
ステップ4 機能期:自発、経験
最初は探り探りで表面的だった関係がぶつかることで理解し合い、お互いを受け入れて、同じ方向を阿吽の呼吸で目指す。スポーツ漫画のテンプレートのようですが、実体験に置き換えてもよく分かります。
プロジェクトはいわば即席チーム。この期間限定の関係者集団のパフォーマンスがプロジェクトの成否に直結します。
即席チームだから、お互いのロジックなんか元々知りません。立場も業界も専門性も違います。
相手のロジックの理解、自分のロジックの言語化は、混乱期によって生まれます。だから揉めた方がいいのです。
しかし揉め方は大事。
まず、揉めるタイミングは大事。プロジェクトは時間との勝負だから出来るだけ早く揉めた方がいいです。
しかし早く揉めるのが意外と難しい。
理由はビジネスが絡んでいるから。よくある失敗は、営業的なトラブルを避け過ぎて終盤まで形成期(ステップ1)のまま進み、完了間近になると営業から責任に話が移って、ロジックの食い違いが表面化し炎上するパターン。
お互いにあやふやにしてニコニコしていたのに、あるきっかけでトラブルに。終盤でそうなっても、もう時間が無いので関係修復ができません。
そうならないように、時間があって物事の確定度が低いうちに揉める必要があります。
そしてプロジェクトで揉めることは必然だという知識を共有すること。
あくまで仕事として、プロジェクトの成功にとって大事だから揉めているんだ、ということが共通理解になっていれば、個人攻撃や人間性を否定するようなことを避けて建設的に混乱期(ステップ2)を超えられます。
揉める必然性を伝えた上で、白々しい表面的な雰囲気を早くブレイクさせるのはプロジェクトマネジャーやプロジェクトリーダーの大事な仕事だと思います。
人間誰でもトラブルは苦手。そういう状況をプロジェクトの失敗だと捉える人もいます。でも揉めるのと喧嘩するのとは違いますよね。
相手をリスペクトしつつも自分の主張をハッキリする。
中長期的な視点でプロジェクトの成功を目指すなら、必要なステップとスキルです。
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吉見周平
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