教員研修を良質なものに!(教員免許更新制、来年度早期に廃止へ 新しい研修制度は23年度から 朝日新聞 11月19日)
免許の更新制度は、不適格教員をなくすために行われた感がある。
しかし、重要なのは教員の質・教授法の質を上げることだ。だから、一律に10年ごとに免許更新の研修をすることにはあまり意味がない。教員によって、抱えている問題が違うからだ。もっと言えば、成長段階が違うからだ。
教育委員会は、色々な研修メニューを「お金をかけて」企画することだ。私も神奈川県や千葉県・青森県・三重県で、教育委員会の依頼で、教員研修や校長研修や指導主事研修をしてきたが、どれも単発的で、1回の刺激を与えられる程度だった。
そして、研修フィーが非常に低い。だから、研修の専門家が行うというよりも、大学の先生などが行っていることが多い。研修の専門家ではないので、効果は参加する教員の受講態度や意識によるところが非常に大きいことになる。
研修の専門家は、受講者を引き付けるための工夫を必ずする。それは、それがプロフェッショナルな意識だからだ。一方、大学の先生は、研修で飯を食っているわけではないので、その時間、与えられたお題の内容を伝えるだけに使うのだ。
だから、教育委員会の研修は、お金をかけるべきだ。しかし、そうはいっても簡単には無理だというなら、補完的な、教員の自主勉強会や自主研究会をもっと奨励することだ。私も北海道の教員の自主勉強会に呼ばれて一緒に参加したことがあるが、参加された先生方は、非常に積極的で、なんと神奈川県からも参加していたほどだ。
教員間の情報交換も出来るし、教員間で刺激し合えるので、リーダーにもよるが、非常に有効なことではないかと思う。
なんでもかんでも、国や自治体が強制的に企画して研修を全てやるという発想ではなく、教員の自主性を活用したものにしてほしいと思う。与えられる知識ではなく、現場で生きる知恵を教員間で共有するようなものに出来ないか。検討してほしい。
【教育記事から教育を考える】
2021年11月26日(金) VOL.716
作者:中土井鉄信
(日本教育コンサルタント協会 合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)