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■動画付:少数だが民間企業を超える「経営とマーケティング」を実践している行政組織があります/「新」地方創生の星★


1.「先月も今月も来月」も成果不足に!/自己改革を嫌う公務員と行政組織

 公務員と行政組織の成果不足は深刻です。その成果不足から、744の消滅可能性自治体は、「先月も今月もそして来月」も、劣化を続けながら住民を失います。

 成果不足の公務員と行政組織には、下記の2つに関する改革と仕組みの構築が必要ですが、公務員と行政組織は、自己改革が伴うこの改革と仕組みの構築を嫌い低迷を続けています。

 ○組織に成果をもたらす体系は「経営(マネジメント)」。
   ○政策に成果をもたらす体系は「マーケティング」。

2.しかし行政組織には「3つの強み」がある

 しかし行政組織には、改革に有効な「3つの強み」があります(※「note紙上実践セミナー/動画付:消滅可能性自治体からの脱却講座(2)市長は部課長と職員に改革を求める」を参照)。

(1)首長のリーダーシップ

 1つめは、住民から直接に選挙で選ばれる首長のリーダーシップです。法律に基づいた強い権限と住民から選ばれた正統性の下で、下記の3つの取組で、「成果」を出せる経営とマーケティングの仕組み構築を進めることが可能です。
  ㋐住民起点の明確な経営改革方針
  ㋑ミドルアップとボトムアップによる全員参画の経営改革の実現
  ㋒成功までのよく練られた経営改革計画

 
 但し、これには首長の真摯な経営(マネジメント(経営))の習得とマーケティングへの理解が必要になります。これが不足すると「首長の暴走」か「空回り」になります。

(2)職員の資質の高さ

 2つめは、自治体職員の資質の高さです。行政経営改革で議論をしたり、改革案を作成していると、職員の潜在能力の高さには驚くことがあります。並行してコンサルティングをしている民間企業の社員と比較すると、企画力と創造力ではやや劣るものの、組織活動の基盤になる規律性、責任性、協調性といった点については、自治体職員の方がバランスがとれています。

 総体的には地域一番の人材を多数抱えていることは間違いがありません。よって民間と同等がそれを上回る、住民起点の行政経営の仕組み構築の可能性があります。

(3)住民の協働が得られる

 3つめは協働活動における強みです。「住み続けられる」まちを実現するには、「住民や地域の知恵と行政組織の知識と技術」が、相互活用できる協働の関係作りが必要です。協働による共創です。

 この点、自治体組織には原則的には隠すものがないことから、協働が進展する可能性があります。民間よりも情報公開が徹底でき、市民価値を提案する政策立案プロセスの仕組みに住民が参画することも容易になります。各所で、住民ニーズが反映した行政活動と市民との協働が実現します。

3.改革と仕組み構築の方法論も既にある

■改革の成功を約束する
 上記の、①首長のリーダーシップ、②職員の高い潜在能力、③協働の確保が可能といった「3つの強み」に加えて、以下に記載する「仕組み構築の方法論とそのモデル」が既にあることは、改革とその具体的な内容である民間組織を超える経営とマーケティングの仕組み構築」の成功を、確実なものにします。

(1)組織に成果をもたらす「マネジメント(経営)」はDruckerが準備している

■経営(マネジメント(経営))はドラッカーが既に発明している
 ドラッカーは、公的組織が成果をあげるに必要なのは、偉大な人物ではない。経営の仕組みとします(下図参照)。
 その経営(マネジメント)は、ドラッカーが1954年に『現代の経営』として公開します。この内容は、瞬く間に米国内企業に広がり米国内の生産性の向上に貢献します。第二次大戦後は欧州、その後、日本に広がります。これにより、多くの人が経営(マネジメント)を学び、自組織の経営の仕組みを構築し組織の成長に挑みそれを可能にしてきました。
 例えば、「ユニクロ」の創業した柳井氏は、ユニクロ躍進の原動力にドラッカーの教えかあるとし、「ドラッカーはぼくにとっての経営の先生であるとともに、進むべき道、企業のあるべき本質的な姿を示しくれる羅針盤のように存在です」と語ります。

■行政幹部:経営は大義を担う公的組織には不適である
 ところが、公的組織にとっては「経営(マネジメント)」はよい用語ではありませんでした。それは「金儲けの手段」を意味し、崇高な大義を担う我が公的組織には「不適」としてきました。結果、組織に成果をもたらす方法論がない丸腰の公的組織は、当然のように成果不足になります。

■経営改革は最も改革が行われている分野
 しかし、「経営(マネジメント)改革」は、経営学の体系ではもっとも多く行われ、その改革ノウハウも蓄積されている分野です。ドラッカーも継続的な経営改革の必要性を説き下記を力説します。

 今日われわれは、企業のみならず、あらゆる組織がマネジメントを必要  としていることを知っている。公的サービス機関のマネジメントの基本は、企業のマネジメントの基本と何ら変わらない。
 本業で成果をあげること、生産的な仕事によって働く人たちが成果をあげること、社会的な貢献を行うことに違いはないとし、1954年に既に準備したとします(マネジメント:上)。

■小手先の改革で済ました結果
 
それから70年たった現在、公的組織は、1991年のバブル崩壊から、「失われた10年」「失われた20年」「失われた30年」毎に、それぞれ大声で「日本の危機」と叫び借金して予算は確保するものの、参考にすべき実例があるにもかかわらず、いつものように「成功例(What)の模倣」といった自己改革が伴わない小手先の改革(地方創生の失敗)で済ませ、結果、中央政府は顧客である国民減(2050年約2千万人減)に、地方政府は消滅可能性自治体744の発生に遭遇しています(下図参照)。

 組織の成果不足の原因は、組織に成果をもたらす「マネジメント(経営)」の欠落にあります。言い訳をすることのない、今日からの経営自己改革が求められます。

(2)政策に成果をもたらす「マーケティング」はKotlerが準備している

■マーケティングはコトラーが既に準備している
 一方、マーケティングでは、コトラーが1967年に『マーケティング・マネジメント』を刊行することで「マーケティングの父」になります。この書籍は、現在でも改訂を続けて使用されている、世界のマーケティング教科書です。
 『マーケティング・マネジメント』を刊行した当時の社会は、貧困、飢餓、疫病など、多くの社会問題を抱えていました。コトラーは、「マーケティングはモノやサービスを提供するだけではなく、人々の生活を良くすることに役立つのではないか」と考えるようになります。
 その取組の成果は『非営利組織のマーケティング戦略』(1975年)の出版、1989年には、ソーシャル・マークティングに関する初の書籍『ソーシャル・マーケティング:行動変革のための戦略』に結びつきます。

■政府へのマーケティング適用

 さらにコトラーは、公共部門で働く人たちが最も疎かにしてきた分野の一つがマーケティングであるとし、政府へのマーケティング適用に挑みます。この成果は、2006年に『社会が変わるマーケティング』の出版になります。 こうして公的組織向けのマーケティングが体系化されました。

■マーケティングは公共部門で通用する
 『社会が変わるマーケティング』の中でコトラーは、「伝統的なマーケティングの概念が、公共部門でも十分に通用することを本書でお見せしよう。この概念は、米国連邦政府、地方政府、州政府、市や郡、教育委員会、水道局、運輸局、ひいては世界中の同様の機関にも、何の支障もなく適用できる」と言い切ります。

 そして自治体に向けて、「マーケティングの使命は人々の生活を豊かにすることにある。そのため地域の資源を社会のニーズに適合させる力がマーケティングである」と定義します。

 マーケティングは地域の再生に不可欠なものです。現在の政策の成果不足の原因は、このマーケティングの考え方と体系の活用不足にあります。あなたが購入する「物事(モノとコト)」はすべてマーケティングされていることを忘れてはなりません。

-まとめ-

 経営(マネジメント)とマーケティングは民間企業の手法ではなく、社会の課題を解決する方法論です。公務員と行政組織には必携すべきものです。経営(マネジメント(経営))とマーケティングは、企業のものといったことではなく、組織すべてとそこで働く人全員に有用なものです。

 特に26年後に消滅が予測されている744の消滅可能性自治体にとっては、組織に成果をもたらす経営(マネジメント(経営))と政策に成果をもたらすマーケティングの習得は、最優先の責務です。後がなくなりつつあります。

結論:民間を超える行政組織の実現は可能!

 以上、ドラッカーはマネジメントで、コトラーはマーケティングで、民間企業はもちろんのこと、行政組織とそこで働く職員が、社会に貢献できる成果をあげる実践的な「方法論」を公開しています。

■数は少ないが「民間を超えた」成功事例がある
 日本でも、数は少ないものの、「行政の3つ強み」を活かして、経営とマーケティング改革で「民間を超えた行政組織」と評価できる自治体があります。
 その岩手、千葉、東京、三重、兵庫、福岡などの市町村に見られる、経営&マーケティングを活用した成功事例の存在は、公務員と行政組織が、正しい認識と、自己の強みを活かした取組で改革に挑むことで、地域社会に貢献できる成果をあげることが可能であることを示します。

■他の自治体でも可能/「新」地方創生の希望
 ドラッカーも、数は少なくとも、成果をあげている成功事例がある
ことは、重要な意味をもつ。それは、やり方によっては、他の組織も成
果をあげることが可能
であることを示すとします(『マネジメント:
上』)。
 その「民間を超えるやり方」の概要を以下の動画で紹介します。こ活用下さい。(完)

■行政経営総合研究所の紹介

人口減や成果不足といった「行政経営」に関する課題解決の糸口は必ずあります。お気軽にお問い合わせ下さい。



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