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北極星を目指そう!

はじめまして。北極星コンサルタントの佐藤学です。中小企業に企業の目指す北極星を作るお手伝いをさせていただいてます。このノートでは、企業と働くひとにとっての北極星はなにか、なぜ必要なのかをお伝えします。

私はいままで様々なスタートアップを起業したり、新規事業や既存のクラウドサービスの改善サポートなどさせていただいたりしてきました。

いくつかは成功しましたが、ほとんどの事業は失敗に終わりました。私の実力不足が多分にありますが、依頼いただく案件のなかには、クライアントさんがやるべき事業なのかと考えてしまう違和感のあるケースもありました。

自分なりに、その違和感と失敗の原因を考えていくうちに、企業と働く従業員の双方に明確な目指すべきゴールがないとアドバイスもしずらいし、サービスを作っても成功しづらい、迷走しやすいということに気づきました。

創業や事業承継、新規事業を考える時、企業の「北極星」が最も重要なファクター、判断基準です。企業にブレない一本の軸を作る「北極星コンサルティング®」は、クライアントさんと一緒に考えながら、提供させていただいてます。

私のノートでは、北極星コンサルティング®について順次解説していきます。


判断基準に北極星はありますか?

みなさんに質問です。

みなさんが働かれている会社、または就活中の方は内定をもらった、希望している企業についてお答えください。

  1. 企業のミッション、ビジョン、バリュー、パーパス、企業理念、行動指針などを覚えてますか?

  2. それらを判断基準の優先順位で並び替えることはできますか?

  3. 他社と交換できない、交換しづらい自社ならではのコンセプトが入っていますか?

どうでしょうか。思い出せますか?自社ならではの宣言はありますか?

私が所属していたサイボウズは、「チームワークあふれる社会を創る」という理念を宣言しています。十数年前、たくさんの会社を買収して上手くいかなかった時期がありました。その時、原点回帰してチームワークに寄与する製品だけ作るという判断基準を理念とし、再生するのを身をもって体験しました。

企業で新規事業に携わってる方、プロダクトマネージャーの方、経営企画の方々は、自社のミッション、ビジョン、企業理念にそって事業を企画をされていますでしょうか。

おそらく皆さんはビジョンやミッションを覚えていないし、アイディア出しや企画会議の時にそれらを基準に考えたりしていないと思います。もしくは、覚えているけれど的を得て居ない内容で参考にならないということもあります。

私がプロダクトの企画を相談された時に感じた一番の違和感の原因はここにあります。なぜ、その事業をやるのか、なぜ?、なぜ?を繰り返すと最後はかならずその企業のやるべき存在価値、その企業の判断基準となる北極星にたどり着きます。

SWOT分析の強みだったり、既存事業と同じターゲットという理由で決めたり、年度予算から逆算して最低100億円売り上げる事業を作らなければならない、などのアプローチはもってのほかです。

北極星のない新規事業はやめるべし

北極星とは

みなさんも明確に習ったわけではないと思いますが、太古の昔から北極星が行き先を示す重要なシンボルだったことはご存知かと思います。北極星は時には命を助ける道しるべだったり、皇帝をあらわしたり、ロマンだったりしました。

北極星コンサルティングの講座では古代文明から天皇家まで北極星がどのような扱いをされてきたか、その背景を学びますが、ここでは簡単にご説明します。

じつは現在の北極星は古代人たちが見ていた北極星とは異なります。それは、地球の自転軸が約26,000年周期で歳差運動するために入れ替わってしまうのです。

現在の北極星は地球から約433光年先にある小熊座のアルファ星、超巨星です。実は、夏の大三角で知られる琴座のベガもかつては北極星の先輩でした。逆に、未来の北極星も決まっています。

北極星を中心とした神話は多くの文化で見られますが、それぞれの文化によって解釈や意味が異なります。以下は Wikipedia に書かれいるいくつかの例です。

  • 古代エジプト: 北極星はオシリス神と関連しており、永遠性や不変性を象徴していました。

  • 中国: 北極星は「紫微垣」の中心であり、皇帝や国家の安定を象徴していました。北極紫微大帝(ほっきょくしびたいてい)は、北極星を中心とした紫微宮に住む、北極星が神格化された道教の神とされました。

  • ネパールの神話:北極星はドルーヴァという王子さまの化身とされています。

  • ギリシャ神話: 北極星は小熊座(ウルサ・マイナー)に属しており、カリストとアルカスの神話に関連しています。

これらの神話や信仰は文献、伝承に基づいています。それぞれの文化が北極星に何らかの重要な意味を見出しているのは興味深い点です。

日本には北極星を祀ったお寺と寺院が全国にあるのをご存知でしょうか。北極星を神格化したのが妙見菩薩です。お寺だけでなく、神社にも祀られていることから日本でも北極星が大切にされていたことがわかります。

このように北極星は不動の道標、心の拠り所として人類の心に存在してきたといっても過言ではないと思いますが、現代は北を知る必要性が薄れて来たため、存在価値が薄れてきています。

現代の私たちはGPSを活用してスマホや車のナビゲーションを使うことができます。しかし、当然ながらナビゲーションもゴールがなければ私達を導くことができません。

ゴールを設定し、現在位置を把握することでナビゲーションは私たちを目的地へ案内してくれます。企業が向かうゴールなくして新規事業や新サービスはありえないのです。

明確なゴール、がなければカーナビもルートを示せない

企業のあり方も同じだと思います。

企業・組織の北極星とは

PIVOTより 【ニデック永守重信:私は120歳まで働く】

はるか昔、誰かが他人の課題を解決しようとして、ものづくりやソリューションが生まれました。そして時代を経て人類は一人では解決できないことを集団で解決できるようになりました。その形態は時代とともに集団から団体、会社になり、社団法人やNPO、アメリカではBコープなどの特殊な組織も生まれました。

ですが、誰かの課題を解決するという原点は変わっていないはずです。

もしあなたが創業者であれば、誰かの何かを解決するために創業したと思います。もし会社員であれば、入社された企業が提供しているソリューションや思想・ブランドに共感されたと思います。

しかしその思いがストレートに明文化されて、宣言されてる企業は少数派です。明文化されていたとしても、ミッションだったり、ビジョンだったりと統一感がなく、さらには企業理念も入ってきて、いったいどれが一番大切な判断軸、向かう方向なのかわからないことが多いのが現状です。

私がお世話になっていた旧三井銀行、現在の三井住友銀行には4つの経営理念があります。見てみますと、どれも他行と交換できるものばかりでならでははひとつもありません。それだけではなく、たとえば

勤勉で意欲的な社員が思う存分にその能力を発揮できる職場を作る

とあります。現在は真逆なのかと受け止められますし、全世界に当たり前のことが出来ていない状況を告白しているのでしょうか。こういった自分自身の反省的なものは内部にしまってお客様に三井住友銀行だけが提供できるもの、なぜ銀行業務をしているのか、みずほ銀行とも三菱UFJ銀行と何が違うのかを明確に宣言すべきです。

私がおすすめしたい企業の北極星は、創業者の原動力であった課題解決の動機や働きがいの原点、その会社のならでわ(コンセプト)の想いです。そこに社員が共感して働きがいになり、共感が大きくなれば想定外のパワーが発揮されるのです。

企業の北極星は創業者の想いと働きがい

味の素グループは、いままでも「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題を解決」という味の素ならではの北極星でしたが、さらに一歩進めて、アミノサイエンスという造語を作り、「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という北極星に進化させました。誰にも真似ができない、味の素社ならでわの素晴らしい北極星だと思います。

個人の北極星とは


創業者は個人の思いを起業という形で実現していますので、自分のやりたいことと会社の課題解決は一致しています。

しかし、会社員のみなさんは誰かの作った企業、組織に合流しているわけですから100%一致しているということは少ないと思います。入社後に深く理解を深め、これがやりたいことだったんだと納得するか、理解することで受け継ぎ、伝承していくと思います。

企業に北極星は必要であるとお伝えしていますが、その一方で私たちは企業とは誰も居ないただの箱だということを理解しなければいけません。企業は人がいなければ何も起こらない、従業員が動くことで存在できる人格です。

味の素は1907年、明治40年に鈴木三郎氏が創業しました。2年後の1909年に「味の素」を販売しています。すでに鈴木三郎さんは故人ですが、彼の想いは会社ではなく、歴代の経営者と従業員に受け継がれているのです。

個人個人のやりたいことの意識が集まって、会社という組織を構成しているわけですから、経営者はそのバラバラの思いを一方向に引っ張っていく必要があります。

私達、働く側の立場から「北極星」を考えると、大切な時間を捧げる生きがいになります。生きがいとやりがいが一致した場合、それを天職といいます。天職とは他人が絶対に断言できないものです。

やりたいこと、やれること、やるべきこと

の3つがありますが、会社の北極星と個人のやりたいこと(北極星)の一致度合いによって仕事が楽しいかが決まります。アミノサイエンスが嫌いな人は味の素には残れないのです。

創業者以外の役員を含めた組織に所属する人はまず、自分の北極星を理解する必要があります。そして自社の北極星との距離を測ります。人事部は採用戦略として、企業の北極星に共感できる人を集めるべきです。船に乗せるべき人は明確です。

企業とはただの箱ですが、従業員の個人的なやりたいこと、個人の北極星の集合体を企業の北極星にするのは得策ではありません。企業の北極星はできるだけシンプルにし、決して従業員の意見の寄せ集めで複雑にしてはいけません。北極星は、創業メンバーや経営のコアメンバーが考えるべきです。

さて、このノートを読んでいただいてる方の中でどれだけの方が、明確に自分のやりたいことを把握しているのでしょうか。

北極星コンサルティングは、創業者が代表をされている場合はまず創業者と、創業者がすでに引退されている場合は引き継いだ経営陣と合宿して企業の北極星を探ります。その後、経営陣ら個人の北極星を探求し、各自がどれくらい共感を持っているのか距離を測ります。

すでに創業者が不在の場合は実際に会社を動かす役員と従業員の北極星との距離が非常に重要になります。

個人の北極星を明確にし、会社の北極星との距離を測る

アミノサイエンスという明確な言葉で創業者の思いを北極星にし、やるべきことを明確にした味の素の手法は参考になります。

北極星を決めたあとは

企業が北極星を設定できれば、それをもとにビジョン、ミッション、戦略を構造化して設定可能になります。戦略はブランド、人事、マーケティングなどが含まれます。それらは構造化されるため、非常にシンプルです。

まとめると

北極星、Why、企業の向かう場所。生きがい&ならでは
ビジョン、Where、1年後、3年後にたどりつくKGI。お金以外で設定する
ミッション、What、提供価値。ビジョンを達成するために必要な商品、サービス。
戦略、How、人事、ブランディング、マーケティング、営業、財務

になります。これらは、日本で流行っているMVVとは全く考え方が異なります。

このノートでも順番にお伝えできればと思います。


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