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【開催報告】甲羅文庫の哲学室「人には人の自殺予防〜乳酸菌より大切なもの〜」を終えて

2024年6月16日(日)、甲羅文庫の哲学室にて「人には人の自殺予防〜乳酸菌より大切なもの〜」というテーマでお話しさせていただきました。

定員を超えるお申込みをいただき、感謝・感激・雨・A・RA・SHI。今回ご参加いただけなかった方は、ぜひまた次の機会に!

さて、当日はまず「日本における自殺問題の現状」を確認してから、「杉原流自殺予防(らしきもの?)」を12個ご紹介しました。

ここではその中から、僕が最近編み出した「とっておきの自殺予防」を、ひとつご紹介したいと思います。

自殺の要因になりがちなもののひとつに、「お金の問題」があります。それを華麗に解決するための方法です。

「10億稼いだら1億ください」


とりあえず会う人、会う人に、これを言いまくるのです。

すると、みんなけっこう「いいですよ」って言ってくれます(笑)。

向こうは冗談だと思っているのかもしれませんが、もちろんそうはいきません。相手と一緒に「はははは……」なんて笑いながら、家に帰ったらすぐに「10億円稼いだら1億円くれる人リスト」に追加です(笑)。

これをとにかくたくさんの人に言っておけば、1人くらいは10億円稼ぐ人も出てくるのではないでしょうか。となれば、もはや将来は安泰。枕を高くして眠れるというものです。

ここで注意が必要なのは、間違っても、「すでに10億円持っている人」に「1億円ください」と言ってはいけない、ということです。それはただのカツアゲですし、絶対に「いいですよ」とは言ってくれません。

でも、考えてみれば不思議なものです。人は、まだ手に入っていない10億円については、「1億円あげてもいいよ」と思えるのに、すでに手元に10億円ある場合には、決してそうは思えません。

ここには、人間の「所有」に関する、深い深層心理が関わっている気がします。ぜひこの謎を解き明かし、「すでに10億円持ってる人からも1億円もらえる」ようになりたいものです。

さて、ここからが重要です。実際に誰かが10億円稼いだとしましょう。こちらとしては、さっそく取り立て……じゃない、約束を履行していただかなければなりません。

こうしたチャンスを逃さないためにも、SNSなどを駆使しつつ、「彼らが活躍してないかどうか」を常にチェックしておきましょう。

急にテレビなんかに出始めたら、いよいよその時は近いでしょう。さりげなく会う約束を取り付けるタイミングです。仮に、10億円稼いでそうなその人を「Aさん」とします。Aさんをお茶に誘い、探りを入れるのです。

すぐに1億円もらえればそれに越したことはありませんが、世の中そんなに甘くはありません。「損して得取れ」という、先人の言葉を思い出しましょう。

たとえば、こんな具合です。

僕「最近、かなりご活躍のようですね」
A「いやいや、そんなことないですよ(笑)」
僕「10億、稼いでますよね?」
A「まあ、そうですね……」
僕「10億稼いだら1億くれるって、言ってましたよね?」
A「ああ、確かに言った気はしますけど……マジですか?」
僕「約束を、破るんですか?」
A「いや、あの時はノリで言いましたけど、さすがに1億はちょっと(笑)」
僕「ははは。わかってますよ!僕も鬼じゃないんですから!1,000万円でいいです」
A「えー。1,000万円ですかー。いやー、1,000万円ですかー」
僕「正直、僕はどっちでもいいんです。でも、約束したからには払わないと、Aさんが気持ち悪いと思うんです。僕は全然いいんです。……じゃあ、ここはお互いのために、100万円で手を打ちましょう!」
A「え、100万円でいいんですか?じゃあそれで!ありがとうございます!」
僕「いえいえ、こちらこそ!ありがとうございます!」

まるで絵に描いたような「WIN WIN」です。

「1億って言ったんだから1億よこせ!」なんて欲張ってはいけません。

真面目な話をすると、「本当に1億円もらえるかどうか」なんてことは、実はどうでもいいのです。重要なのは、1億円もらえる「かもしれない」と思えることなのです。

たとえば、多様な人とのつながりを持っている人は、比較的自殺のリスクが低いと言われます。そこにはいろんな要素がありますが、そのひとつに「いざという時に助けてもらえそう」ということがあるでしょう。

けれども、実際にその時になって、本当に助けてもらえるかどうかなんて、誰にもわかりません。でも、それでいいのです。大事なのは、「いざとなったら助けてもらえるかもしれない」と思えることなのではないでしょうか。そう思えるだけで、人はずいぶん生きやすくなる気がします。

さて、僕のエキセントリックな自殺予防の話はこのへんにして、ここからは、参加してくださったみなさんが発表してくれた、それぞれの自殺予防をご紹介したいと思います。僕がメモした内容ですので、適当ですがあしからず!

散歩/嫌な会社は退職する/呼吸でリラックス/いろんな人に話す(同じ人にばかり話すと敬遠されがち)/運動する/泣く/時間が経つのを待つ/何もしないでいられる場所にいる(甲羅文庫とか)/「ベトナム帰還兵式セルフカウンセリング」をやる(PTSDを乗り越えたベトナム帰還兵はネルソンさんという方のメソッド。 映画『松本ヒロの世界』参照とのこと!)/自分と同じ状況の人を見る(自分を俯瞰できる)/漫画『男組』を読む/久しぶりの人と会う(元気だった時の自分を思い出す)/ものすごい善人と会う/「死は第三者のもの」/何もしない/もう一人の自分とつながる(自分の自転車に名前をつけてみたり)/自分と離れる/養老孟司のYouTubeを聴く(「自分が変わることが希望」とか名言!)/行ったことのない飲み屋で話す/その時の状況ごとに行ける場所をつくっておく/お笑い芸人のYouTubeを見る/嫁に愚痴る/亀に聞いてもらう/いろんな生き方を用意しておく/ものづくり/痛いところ探し/ストレッチ/自分を客観視する/調子悪い時の心当たりチェックリストを作っておく/今日と明日のことだけ考える/話を聞いてくれる人を用意しておく(LINEし放題などの有料サービスも!)

まさに「人には人の」自殺予防がズラリ。

なかには、「10億稼いだら1億ください」以上にエキセントリックなやつも見受けられます。みんなどうかしてるぜ!(笑)

さて、みなさんは、死にたくならないために、あるいは楽しく生きるために、普段どんなことをしていますか?そして、死にたくなったとき、どうやって乗り越えましたか?

そんな個人的な自殺予防をシェアすることで、逆説的に「自殺の本質」が見えてくるかもしれません。

「そういえば、なんかおもろい自殺予防を紹介してたな。ちょっと試してみるか」なんてやっている間に、気づけばちょっと元気になっていた、なんてこともあるでしょう。

「教養とは、人の心がわかる心だ」


これは、養老孟司さんの、解剖学の先生がおっしゃっていた言葉だそうです。

「死にたくなる気持ち」を抱くことは、より「人の心がわかるようになる」ことでもあると僕は思います。だからこそ、そういう人がちゃんと生き延びることで、世界はどんどんやさしくなっていくのではないでしょうか。

そういう世界をつくっていこうとするところに、本当の意味での「教養」がある、と、個人的にはそう思いたいところです。

改めまして、ご参加くださったみなさま、そして甲羅文庫さん、楽しい時間をありがとうございました!「それええなぁ〜♩俺もやってみよー!」という自殺予防をたくさん聞けて最高でした!

乳酸菌より大切なものが見つかりました……(笑)。

スーパーでヤクルトを買って行くつもりだったですが、隣にあったピルクルがヤクルトの半額!気づいた時にはピルクルをレジに持って行ってました……。器の小ささはこんな時に露呈しますね。それにしても、いい大人がみんなで一斉にピルクルを飲んで、乳酸菌をチャージしている様子は、なかなかシュールで良かったです!(photo by 甲羅文庫さん)
会場の様子。ご参加くださったみなさま、ありがとうございました!(photo by 甲羅文庫さん)

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杉原 学
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