鉄板土産「ひよ子」の末路
久々に大阪の実家に帰った。
お土産に買ってきた「東京ひよ子」を親父に渡す。
僕の中で「ひよ子」は、誰もが喜ぶ「鉄板土産」である。
夕食のあと、親父とおかんと三人で「ひよ子」を食べることになった。
「ひよ子って、福岡のやつちゃうんかい」
と、怪しむようにパッケージを上から下から眺める親父。
「そうなん?でも東京って書いてるで」と僕。
一応ネットで調べてみると、確かに発祥は福岡らしい。
「それ見てみい!」と勝ち誇る親父。なぜかこれ見よがしに、「ひよ子」のパッケージを虫眼鏡でジロジロと検査している。何をしてるんだ。
それを横目に、パクリとひよ子を口に運ぶおかん。
どうや、美味いやろ!と心の中でつぶやく僕。
ひとしきりモグモグしたあと、おかんは言った。
「月化粧のほうが美味しいな」
月化粧は、大阪土産の定番の饅頭である。
僕はたまらず叫んだ。
「……なんやねん!!」
僕の中での鉄板土産がこんな末路を辿ろうとは、夢にも思わなかったのだ。
「これは発祥じゃないとか、あっちのほうが美味いとか……。せっかく息子が買ってきたお土産やねんから、『ありがとうなぁ、美味しいわぁ』って言いながら食っとけばええんちゃうの!」
それを聞いた二人は爆笑しながら「ほんまやなあ」などとのたまっている。
次は月化粧にしよう。