【前編】マッチングが成立する商談シートの書き方-基本編- のお話
お世話になっております。
minoteの蓑島です。
今回は、前回の記事でご紹介した『商談シート』についてのお話です。
基本編の内容になりますので、現在事業をされている作り手のみなさんは、復習の意味でもご覧いただけたらと思います。
■商談シートって?
『商談シート』とは、自社商品を提案する際に必要となる、商品情報をまとめた統一フォーマットのこと。
形式に決まりはありませんが、日本で最も信頼されているのは、農林水産省が提供する「FCP展示会・商談会シート」(以下、FCPシート)です。
※FCPは「フード・コミュニケーション・プロジェクト」の略称
農林水産省では、このFCPシートについて以下のように解説しています。
<商談シートは履歴書>
これはよく言われていることですが、改めてお伝えします。
商談シートは自社商品の「履歴書」です。
前回も触れたように、個別商談でバイヤーとのマッチングが成立するかしないかはこの商談シートの力が大きく影響していきます。
各地の自治体が定期的に事業者向けの勉強会を開催していることからも、このFCPシートが商談において非常に重要であり、必要不可欠なツールであることがお分かりになると思います。
今回はFCPシートの『商品特性と取引条件』『商品写真』に絞ってご説明をしていきます。
また基本的な書き方は農林水産省のHPでも『作成の手引き』として詳しく解説されていますので、そちらも併せてご覧ください。
■商品特性と取引条件
最初の赤枠は「商品特性と取引条件」の『取引条件』にあたる部分です。
ここに関しては、商品のアピール力ではなく「より正確な情報」が求められる部分になります。
そんなに難しい箇所でもないのですが、これからご紹介するような記入ミスは実際によく遭遇しますので、十分ご注意ください。
<よくある記入ミス>
■「1ケースあたり入数」に「1個から」と書いてある
“ケース単位で受発注することが前提”の質問であるのに「1個“から”」という回答。
単純なケアレスミスなのか、もしくはこれまで手持ち納品などが中心でケース単位での取引経験がなく“ケースの入数を設定していない”のか、判断がつきません。
この時のバイヤーはこんなことを考えています。
時間が限られている個別商談なのですから、基本的な商品情報は事前に把握をしておきたいもの。これでは商談先として選んで良いのか、不安になりますよね…。
※もし入数が<1ケースあたり1個>の場合には、誤解を与えないよう「1個/ケース」等と記載するようにしましょう。
■希望小売価格が卸値になっている
言わずもがなですが…希望小売価格は作り手がお客様に対して設定する希望販売価格のことで、卸先に販売する価格(卸価格)ではありません。
言い換えれば、仕入先が店頭で設定する売価の基準値とも言えるので、ここを間違えると大問題です。
わたしも過去に『手頃な価格だと思って商談をしてみたら、卸値の間違いだった』という恐ろしい出来事がありました…。
バイヤーが商談可否を決める際に、提案商品と店舗の顧客単価がマッチしているかどうかは重要なポイントとなるので、このようなミスは絶対にNGです。
ちなみに余談ですが、希望小売価格を設定していない場合に使われる『オープン価格』ですが、「できれば避けて欲しい」というのが正直なところです。
その理由は、上記のとおり希望小売価格が店頭売価の基準値であり、ここが曖昧だと利益率の計算ができないから。
仕入れる場合には、近隣で取扱っている他社店舗はあるか、そこではいくらくらいで販売しているのかなどを調べる必要もあるので、商談に進めた際にはどこでいくら程度で販売されているかは答えられるようにしておきましょう。
なお、ごく稀に本当に「希望小売価格が卸価格」という方もいらっしゃるのですが、そこは“掛け率”の回でまた詳しくお話ししたいと思います。
■まとめ
はい、今回は商談シートの『取引条件』について書かせていただきました。
本当はその下の『商品特性』までお伝えしたかったのですが、長くなってしまったので一旦ここで区切らせていただきます…。
繰り返しになりますが、商談シートの『取引条件』はより正確性が求められる部分になります。
商品のクオリティ・魅力・価値といった「商品力」以前に、取引先としての信頼感・信用度に繋がる重要なポイントになりますので、ケアレスミスがないように十分注意していただけたらと思います。
次回は商談シートの『商品特性』についてお話ししていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
今回もお読みいただきありがとうございました。
よろしければホームページもご覧ください。
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