ピッツェリアとワールドカップ

ワールドカップが盛り上がってきましたね。

中学時代、サッカーでの試合前、監督からお前は秘密兵器だから、常に緊張感を持つようにと言われます。

はあうっっっ

運動神経があまり良くない私は考えます。

もしかして凄い期待されてる?       

たまに私を見ろ、とばかりにアピールしている高速ドリブルを見てくれたのかな?

フツフツと何か熱い血液が全身をめぐります。

言われたその日は隣の中学校との試合。

万年補欠ですが、今日こそ府中町(私の出身)のリーサルウェポンをだすときじゃないか?
監督に祈ります。

前半は白熱して終わり後半あと1点が欲しい場面、私はベンチを飛び出し走り込みを始めます。

ハッハッハッと監督に声が聞こえる様に走りまくります。
まだかな、汗を拭う演技を30分ぐらいします。

時折チラッチラッと監督を見ながら、シャアシャアと聞こえるように叫びながら走ります、シャアシャア。

ピーーーっっ      んっっっ?

試合終了の笛の合図、私の夢列車はここで終点。降りなければいけません。

監督、試合を観戦する選手の両親、が試合後選手の皆さんを労っています。

私には何も聞こえません、無音です。

千と千尋の神隠しのキャラクター、顔なし

最後まで秘密兵器で終わりました。

日韓ワールドカップが開催されている時期、私は新宿のピッツェリアで働いていました。

前にも書いたのですが、あまりにもハードワーク過ぎ、過労で3人が入院しています。

残りの3人は休みも休憩も無くフルに働いておりました。

あまりにも忙しく、仕事が終わると皆さんハイテンション、3人でサッカーワールドカップ日本代表の曲をハモります。

私がホッホーイ  ホホホ ホッホッホッ ホホホホーホホ、 ホホホーホホと歌い出し5秒後にハイッと掛け声をかけると次の子も  ホッホーイ  ホホホ ホッホッホッ

また5秒後に副シェフがホッホーイ   ホホホホッホッホッ

これを3人で繰り返しながら、ZOOのチューチュートレインの様に折り重なりながら、ぐ~るぐるとウェイブします。

ホールの方々は、また自分達が壊れたフリしてる、一回目は面白いけど何回もわねー、とささやいています。

振りかざした拳は引っ込めません、やり続けます。

仕事が終わり、新宿を歩いているとお祭り騒ぎ、ちょうど日韓ワールドカップで日本代表がベスト16になった瞬間でした。

皆さん知らない人を胴上げし合い、私も宙に舞います。2分後ネクタイを頭に巻いた中年サラリーマンも何事だ、と言いながら訳が分からないまま宙に舞っています。

私はそれを微笑ましく見守りながら、アウェイのオカマバー夜の街へ消えていきます。

ボナペティート♪

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