「まなびや」はじまりの物語
まなびやとは、放課後の子どもたちの居場所づくりをしている団体です。
現在は週に1回、狛江市の公共施設を借りて運営しております。
今回は、どうしてまなびやを始めたのか、代表の宮田自身のまなびやのはじまりのエピソードをお伝えしたいと思います。
地域の人と子どもたちが関わるきっかけをつくりたかった
わたしは、大学生の頃から地域コミュニティや地域活性化、居場所づくりに関心がありました。
「地域の魅力をどう外部に伝えればいいのか」「どうしたら地域が活性化するのか」
わたしが大学生になったのは、3.11の後で、
豊かさとはなにか、人間にとっての幸せとはなにか、をたくさんの人たちが問い直していた時代でした。
そんな中、キーワードとして自分の中にあったのが、「人と人とのつながり」です。
結局、人は人無しでは生きられない。
みんなが誰かしらを頼り、頼られながら生きているはずなのに、地域コミュニティは崩壊し、昔ながらのお互い様精神が失われつつある都市部での生活に疲れてしまう人たちがたくさんいる現実。
日本は幸福度が低いとこの頃から言われており、もしかすると人とのつながりの希薄さが、幸福度にも影響しているのではないだろうか?と大学生だったわたしは考えていました。
そして、社会学という学問を専攻することを選び、
社会学のおもしろさに触れ、さまざまな場所にフィールドワークに行ったり、
ワークショップを開いたり、学校のキャリア教育のお手伝いに行ったりしていました。
「居場所」という概念に出会ったのも、社会学がきっかけでした。
居場所の中でも特に、多様な人たちと出会うことのできる場は、どこか人々を引き付ける魅力があることも知りました。
「もし、自分が高校生だった頃に、地域の人との出会いがあったら、どんな人生を歩んでいたのだろう」
と考えたことは数知れず、「中高生、いや、もっとまえの小学生などの子ども時代から、多様な価値観に触れることは大切な気がする。そんな場所が地域の中にあることが、子どもたちにとっても大事なのではないか」と考えるようになっていました。
子どもたちが地域の中で育つことのすばらしさ
社会人になって、旅行業の仕事をしていたわたしは、
その傍らでやはり、子どもの居場所づくりや社会学に関わる生活をしたいと思い、まずは過疎化した地域の中で、子どもたちが自由に来れる場を開きました。
そのきっかけをくれたのが、とある中学生の女の子のことばで、
「お姉さん、英語教えてー!goingとかよく分からなくって」
というもの。
そこで、最初は中学生に向けた英語塾を始めました。
何人かの中学生が来てくれるようになり、その後中学生の妹や弟たちがわらわらと来るようになり、
気が付くと小学生の占める割合がかなり高くなってきて、
「子どもたちが来れる場をつくろう」と改めて思いました。
その地域は「集落」と言われるくらい、山の奥にある地域で、
子どもたちは毎日スクールバスで学校に行っていました。
人々はとてもあたたかい場所ではありましたが、子どもたちが地域のイベントに参加したり、地域の人たちと関わりを持つことは稀で、
ここでも地域コミュニティの希薄化が、じわじわと広がっていました。
でも、子どもたちが来れる場が出来たことで、地域の中で子どもたちの姿を見る機会が少しずつ増えていきました。
子どもたちの元気な声が響き渡り、元気に走り回っている姿を見てほほ笑む高齢者の方々がいました。
子どもたちの保護者の方も、様子を見に出歩いてくれたり、これまで参加していなかった地域のイベントに子どもたちきっかけで参加してくれるようになりました。
「子どもたちのことを見てくれていつもありがとう」と言われることもありました。
そのとき、わたしは「子どもたちが地域の中に出ただけで、こんなに笑顔になってくれる人がいるんだ」と思いました。
地域の中で子どもたちの自己肯定感が育まれる
そして、徐々に子どもたちの活動は広がり、「子どもカフェ」を開いたことがありました。
子どもたちが1日店員になり、飲み物やスイーツの準備をし、お客さんとなる保護者の方や高齢者の方々をおもてなししました。
大盛況のイベントになりました。
すると、とある1人の子が言いました。
「わたし、この地域に生まれてよかった!こんな体験、ほかじゃできないよね!」
過疎化が進む地域。ここにはなにもないから、と思っていた地域の中でも、ちゃんと光がある。
工夫次第で、楽しめる!ってことをその子は感じてくれたのだと思います。
子どもたちが地域の人たちと関わりながら成長することはとても素晴らしいことなんだ、とわたしも実感しました。
これらの経験が、わたしの今のまなびやの原点です。
ただ、いまはこちらの集落ではなく、東京都の狛江市でまなびやを開いています。
どうして狛江市でまなびやが始まったのか、その経緯などについては次の記事で書こうと思います!
今日も読んでいただき、ありがとうございました。