習い事を「終える」ということ ―― その一つの決断が、子どもの心に残すもの
習い事を終えるとき、その「終わり方」が子どもの未来を大きく左右します。
ある日、まなび研究所に通う小学6年生の女の子が「ピアノの発表会が終わってからここに来ることにしたの」と教えてくれました。彼女は4歳からピアノを習っていて、最後の発表会では得意な曲を演奏したそうです。「先生には『いつもありがとう』って言えたよ」と誇らしげに話す表情が、今でも印象に残っています。
目標を決めて取り組み、それを達成する。この経験は、子どもの心に確かな自信を育みます。「○級まで頑張る」「次の発表会で締めくくる」など、具体的な到達点を親子で設定することで、子どもは自然と完遂力を身につけていくのです。
逆に、中途半端な形で習い事を終えてしまうと、子どもの心に「また途中で投げ出してしまった」という後悔が残りかねません。それは次の挑戦への意欲を削ぐことにもなりかねないのです。
特に印象深いのは、空手を習っていた男の子の事例です。茶帯まであと一歩というところで受験勉強に専念することになった彼は、最初は残念がっていました。でも「黒帯を目指すのは一旦ここまで。でも、受験が終わったら再開するんだ」と決意を新たにしたのです。実際、中学受験後に空手を再開し、見事に黒帯を取得しました。
このように、区切りをつけることの大切さと同時に、お世話になった先生への感謝も忘れてはいけません。「ありがとう」という言葉には、これまでの思い出と、未来への希望が詰まっているからです。
新しい環境で学ぶためには、これまでの学びを丁寧に締めくくることが大切です。それは単なる区切りではなく、次のステージへの大切な準備となるのです。お子さんの成長に合わせて習い事を見直すとき、ぜひ「終わり方」にも目を向けていただければと思います。
目標を達成し、感謝を伝える。この二つの行動が、お子さんの人生に「やり遂げる力」と「人を大切にする心」という、将来を生き抜く知恵となるはずです。