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物価について:後半

今日は日本の物価の見通しについて考えてみましょう。前回、現状の物価高は円安と資源高の影響だというお話をしましたので、まずはドル円相場の行方を探っていきます。
円安の原因は円離れではなくドル買いという考え方になります。ここ数年で大量供給されたドルを吸い上げるため、アメリカは高金利状態を続けなければならないので、金利が高いドルを持っていた方がお得だからですね。コロナ禍に大量供給されたドルが出回り、アメリカ経済は雇用も賃金も高パフォーマンスというわけですが、人々の安定した生活を持続させるためには経済成長は緩やかでなくてはならないので、利上げという引き締めが今行われています。既に引き締めのターンは終わり、近いうち利下げに転じるという見方も出てきておりますが、それにしてもアメリカの物価は短期間で上がり過ぎたと思います。アメリカの中央銀行にあたるFRBの見解が、指標を注意深く見ながら、現状キープかもう少し引き締めるかといった構えなのも頷けます。
それでも市場は先を折り込むのが好きなので、少しでも軟化の動き、というよりは軟化の気持ちだけでもFRBが見せた時点で少しずつドル買いの勢いは弱まっていくことになります。そもそも想定以上に大量供給されたドル自体魅力が既に薄まっていますし、高金利が続かない以上はさらにドルを買って資産保管する理由もなくなります。仮に私が資産家なら、ポートフォリオ(資産内訳)は現状ドル過多だけど、ドルを早いところ売りたくてしょうがないという気持ちになっているだろうなと想像します。逆に伝わりにくいですかね。
日本に目を向けます。日本は大規模金融緩和を10年以上やってきたのに上がるのは税金ばかり。株価や物価も上がったけど賃金が上がらないから、収入が給与所得や年金がメインの国民は財布の紐がガチガチに固くなってしまいました。失われた20年と言っていた言葉が、失われた30年にいつの間にか上方修正?されてしまいました。少し増えた出回るお金は、税収と株などの金融商品に流れたところで今に至るのでしょう。ですから、日銀の植田新総裁がおっしゃる金融緩和の維持継続というのは、賃金の上昇が物価の上昇を上回る、実質賃金の上昇がしばらく続く状態になるまでということを意味しているわけですね。
でもそれを実現するには10年単位の期間が必要だと思います。失われた30年ですから、そうそう短期間では取り戻せるとは考えにくいです。なぜなら30年かけて失われたのは、我々日本人の経済リテラシーだからです。別に経済アナリストでも何でもない私が、こんな素人動画や記事の作成と配信を、柄にもなくやらなければという気持ちに至ってしまう程にです。少なくとも、多くの日本人が持つデフレマインドという、「価値が下がるまで待つ精神」を捨てない限りはスタートラインにも立てないと思います。今の政府はその考えでもって賃上げを謳っているとは到底思えないわけです。分かっているなら、税制にテコ入れし、「これからは税金が下がって物価も賃金も上がります。だからたくさんお金を稼いでたくさんお金を使って皆でより豊かになりましょう。」と、広くアナウンスしてくれているはずだからです。政府には早く現状の理解が不足していることに気付いてもらい、経済の豊かさでもって税収が増える未来に期待したいと思います。あまり特定の政治家に肩入れするのは気が引けますが、私の知る限りでは、前回の総裁選で唯一、高市早苗氏が上記のような考えを持たれているように感じました。また、経済成長で税収が増えるより増税で税収が増える方が権力を維持できる財務省の保身的画策が邪魔をしているという見方もあるそうですが、今回は割愛します。

物価の話に戻ります。
以上のことから、日本は金融緩和を長く続けなければならない理由があります。つまり超低金利維持です。そういう意味では為替は円安傾向が続くという見方になりますが、そう単純ではありません。先ほどのアメリカの状況も含めて考察するに、アメリカの利上げ停止が確認できた時点で少しずつ円高傾向に向かうと思われます。さらに、意外と時間がかかりそうですが、アメリカが利下げに転じることによる円高傾向も想定されます。
日本の金融緩和継続とアメリカの高金利の2つの要素のうち後者がやわらぎ、緩やかな円高傾向という流れです。日本の物価高の現状のメイン要素は円安によるものなので、少し落ち着くタイミングもあるかも知れません。とは言っても日本は金融緩和継続と実質賃金上昇と、これからの経済成長が見込まれる、というよりは我々日本人1人1人が意識してやっていかなければなりません。そういった良い意味での物価上昇が見込まれます。諸外国がどったんバッタンやってるので少し巻き込まれた感がありますが、我々日本人はどっしり構えて粛々と緩やかな物価高、賃金上昇、そして経済成長をさせていきましょう。

ひとつ言い忘れていました。前回、国の借金を次の世代に残さないために、増税が必要という考えは違うという話をしました。今回のお話で触れた、経済成長による税収増を目指すことがまず第一です。それと、そもそも国の借金のほとんどは国債の事を言っていて、国債の半分は日銀が保有しています。国債は銀行が売ってますから、日銀が国債を買うと金融機関にその分のお金が入り、世の中に供給できるお金が増えます。さらに、国債は買われることで価値が上がり、その分利率が下がるので、それは金利低下にも繋がり一石二鳥。つまりインフレに寄与するための日銀の国債買いオペという構造です。これまでの話から、それは必要な動きであると言えます。そのほか、日本国債の保有割合で、海外の割合は2割にも満たないこと、国の保有資産で負債のほとんど賄えること、通貨発行権のある政府、日銀による円建て国債だから債務不履行になり得ないことなど、理由はたくさんありますが、あえてものすごく簡略化した表現を使うと、内輪で解決できるから外野は黙ってて下さいということです。それ以上に、この手の話を持ち出して先程のデフレマインドを助長することが何よりも悪だと思います。

今回は物価の見通しを読み解くことで、日本経済が置かれている状況を知り、今後の私たちの経済活動をどう捉えて行動するべきかをお話させていただきました。

追記と予告ですが、私はそもそも貨幣経済の仕組みそのものに疑問を抱いています。ここまで長々と話してきたことが全く意味を持たない程の革命が近いうち起こる可能性すら感じています。何故そんなことを思うのかという話も、頑張って文章化してお伝えしていくつもりです。
また引き続きよろしくお願い致します。今回もご覧いただきありがとうございました。

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