研修アンケート活用の要所 #3|研修効果測定
本連載では、研修・セミナーにおけるアンケートを本格的・本質的に活用するためのヒントをお届けしています。
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# 1 目的
# 2 ステップ
今回のテーマは、「研修効果測定」です。効果測定の観点はアンケートの設問項目とも関わります。
1.研修効果測定の基本知識
まずは基本知識として、測定レベル、測定手段、測定時期について紹介します。一般論となるので、ご存知の方は本セクションを読み飛ばしてください。
1.1. 測定レベル
効果測定といえば、カークパトリックの4段階モデルが有名です。実務的にも活用しやすいので、まずはこのモデルを軸とすることをオススメします。
カークパトリックの4段階モデルとは、測定対象を次の4レベルに分けて考えるものです。
レベル1:反応(Reaction)|反応(満足度など)
レベル2:学習(Learning)|知識・スキル習得度
レベル3:行動(Behavior)|現場での知識・スキル活用/行動変容
レベル4:結果(Result)|組織への影響(生産性向上など)
ちなみに、レベル5としてROI(費用対効果)を加えたものとして、ジャック・フィリップスの5段階モデルという考えもあります。
1.2. 測定手段
どのように測定するかについては、次の手段が代表的です。
・受講者アンケート:受講者が自身で回答するアンケート
・他者アンケート:上長などが受講者を評価するアンケート
これらのアンケートは、構成によっては、後述のスキルチェックの内容が含まれることもあります。
・テスト:選択式/記述式などの理解度テストに加え、第三者が行動を評価するパフォーマンステストなど
・スキルチェック:あるスキル・タスクなどについて、「説明できる/実践できる/指導できる」などの段階をチェックするもの
スキルチェックは自己評価が基本ですが、上長評価を加えることもあります。
前述の4段階モデルと測定手段については、次の組み合わせが代表的です。
レベル1:受講者アンケート
レベル2:受講者アンケート、テスト、スキルチェック
レベル3:受講者アンケート、他者アンケート、スキルチェック
なお、レベル4は組織活動の指標として測定しているものを使います(例:受注件数、売上金額、原価率、顧客リピート率、従業員満足度など)。
1.3. 測定時期
測定時期は、次の3つがあります。
・事前:研修開始前
・事後(直後):研修終了直後
・事後(一定期間後):研修終了から一定期間(1週間や3ヶ月など)後
2.研修効果測定の設計
測定レベル、測定手段、測定時期の順に設計します。
・測定レベル
きちんと設計された研修には達成目標があるものです。その到達目標と照らし合わせて、測定対象のレベルを決定します。
研修の到達目標の表現に合わせて、たとえば次のようにレベルを決定します。
「説明できる/解ける」など→レベル2
「行動できる/実践できる」など→レベル3
レベル1については、研修の達成目標として設定されていることは稀です。レベル4については、組織活動の表現となります。たとえば、「受注できる」「原価を下げられる」「顧客離反がなくなる」などでしょうか(ただ、これらが到達目標として設定されている研修はあまり見かけません)。
なお、4段階モデルのレベルが高いから偉いというわけではありません。ですので、「レベル1を終えたから、次はレベル2を測定しよう」といった考えではありません。あくまでも、研修の到達目標に合わせてレベルを決定します。
・測定手段
受講者アンケートを基本として、必要に応じてレベルに合わせた測定手段を追加します。
・測定時期
事後(直後)を基本として、変化を見たい場合には事前や事後(一定期間後)も組み合わせます。
測定手段や測定時期を増やせば、測定の精度向上や多角的な分析につながります。一方で、測定手段の作成や運用の人的・時間的コストが増えます。そのため、すべての研修を精緻に測定するのではなく、研修の(到達目標の)重要度を鑑みて選定することが重要です。
3.オマケ(参考書籍など)
研修効果測定についてより詳しく知りたい方は、次の書籍をオススメします。
https://www.amazon.co.jp/dp/4990689313/
なお、今回は対象者について触れていませんが、真の意味での効果測定を行うには、実験群と対照群に分けるアプローチがあります。実験群が研修受講者、対照群が研修未受講者として、各群の違いを検証するものです。
このアプローチは、研究においては使われますが、実務ではなかなかお目にかかりません(実験的に研修実施することに抵抗があるのかもしれません)。そんな中、Google社はこのアプローチを利用しているようなので、そのことが書かれている書籍も掲載しておきます。
https://www.amazon.co.jp/dp/4492533656
4.おわりに
今回は研修効果測定について書きました。測定手段の1つとはいえ、アンケートとの関わりも見て取れたのではないでしょうか。測定レベルを決めておくことでアンケートの設問も設計しやすくなるので、観点として知っておくと便利です(なお、アンケートの設問設計については、今後の記事で書いてまいります)。
それでは、最後までご覧いただきまして、ありがとうございました!