視覚障害のある10代へ『きみトリ』を届ける
『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』著者の舟之川聖子です。
新宿区高田馬場にある日本点字図書館で、『きみトリ』の録音図書の制作をしていただけることになりました。「見えにくい・見えない」などの視覚に障害を持つ10代の人たちにも『きみトリ』を読んでもらえます。ほんとうにうれしいです。ありがとうございます。
わたしは出版前から、「視覚障害のある方にも読んでもらうには、どうしたらいいんだろう」と考えていました。途中のプロセスは省きますが、日本点字図書館に問い合わせたところ、教えていただくことができました。
・当該施設での「録音図書」「点字図書」「拡大図書」の制作は、著作権法で定められている「著作物が自由に使える」立場に当たり、著作権者に許可を得ずに制作し、貸出業務が可能となっている。(参考:こちらの文化庁のページ中、「視覚障害者等のための複製等(第37条)」)
・所蔵したい図書は、図書館で購入してデータ化作業をしている。
・著者が活用を希望する場合は、原本書籍またはテキストデータを献本してもらい、内容、予算、スケジュールとの兼ね合いで調整できたものの制作を判断し、決定する。
・制作された点字図書や録音図書のデータは、インターネット上のサピエ図書館で共有する。
どれも知らないことばかりだったので、ただただ「そうなっていたんですね〜!」という驚きでいっぱいでした。電話して問い合わせるのは緊張しましたが、やはりトライしてみたかったし、動いてみれば展開することをあらためて実感しました。単純に知らなかったことを知るって楽しいですしね!
まずは献本して検討してもらうことになったのが3月中旬。1ヶ月ほどして録音図書制作が決まった旨のご連絡をいただきました。ありがたいです。
きっと他にもいろんなルートがあると思うので、自著を録音図書化して活用してもらいたいという方は、ぜひいろいろ調べてみてください。お近くの公共図書館のレファレンスでも相談できます。
そもそもわたしがこのような「録音図書にしたい」という発想を持つことができたきっかけは、東京北区・田端にある映画館、シネマ・チュプキ・タバタとの出会いがあります。チュプキさんは日本で最初の「ユニバーサルシアター」で、「目の不自由な人も、耳の不自由な人も、どんな人も一緒に映画を楽しもう」との思いで2016年に設立されました。チュプキさんで上映されるすべての映画に字幕と音声ガイドがついています。
わたしはチュプキさんと2年前から映画鑑賞対話の場をひらいています。対話の場に参加される方や、チュプキさんに映画を観に来る様々なお客さんと接する中で、日常生活の中で「これ、視覚(聴覚)障害のある人にとってはどうかな?」と自然と気づくことが増えてきました。
また、チュプキ代表の平塚千穂子さんが、ご自身の著書『夢のユニバーサルシアター』を出版されたときに、音訳版も併せて制作されていたことも、印象深いこととしてわたしの頭の片隅にずっとありました。(音訳版も併せてのご購入はこちらから。音訳版の入手については商品説明欄にあり)
そんなわたしが小さく行動してみたことで、『きみトリ』を10代の人へ届ける道が増えたことに、大きな喜びを感じています。
この『きみがつくる きみがつくる 社会のトリセツ』は、10代の人をこの社会を共につくる仲間として歓迎し、かれらにエールを送る本です。
10代の人が直面しやすい15のテーマを引いて、「この社会は、大人から一方的に与えられたものではなく、あなた自身が取り扱う側であり、仲間と共に変えていくこともできるよ」と伝えています。「偉い人が正しいことを教えている」本ではなく、市井の学び手であるわたしたちの「学びのシェア」を対話の相手として役立ててもらえたらという意図です。
また、10代と関わる大人の人にも読んでほしいと思っています。かつて10代だった頃の気持ちを思い出すことで、身近にいる10代の人や、いろんな世代の人と、共感を持ってつながれるのではないかと考えています。
視覚障害のある方に向けて書いた本ではありませんが、障害のあるなしにかかわらないことを書いたつもりではあります。(舟之川から図書館へ送付した手紙より抜粋)
制作は秋頃に完了するそうです。サピエ図書館にも登録されます。
その先へどのように届いていくのかは全くの未知ですが、今からとても楽しみです。
社会とのつながりを自分から生み出し、つなげ、広げていくことができる。たとえ小さくても、「わたしの気づき」から生まれることやできることがある。これもわたしのシチズンシップなんだなぁ......。そんな経験をシェアしたいと思い、この記事を書きました。
読んでくださって、ありがとうございました。
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