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“「4つの「抵抗」を正しく理解!」”ロレン・ノードグレン+デイヴィッド・ションタル 著『「変化を嫌う人」を動かす:魅力的な提案が受け入れられない4つの理由』

◆ロレン・ノードグレン+デイヴィッド・ションタル著『「変化を嫌う人」を動かす:魅力的な提案が受け入れられない4つの理由』

冒頭、「弾丸があれほどよく飛ぶのはなぜか?」から始まる。

弾丸がよく飛ぶのは火薬で推力を得ているだけではない。
弾丸に空気抵抗力学が働くからだ。
つまり、物体が飛ぶときには相反する2つの力が働くことを考慮する必要があるということを自然に理解することができる。

2つの力とは、物体を前に押し出す推進力(火薬、ジェットエンジン、投手の腕など)と、前進するのを押しとどめようとする束縛力(重力や風の抵抗)だ。

魅力的なはずのアイデア、製品、サービスが、相手に受け入れられないのはなぜか?
それは魅力が足りないからではない。相手が受け入れたくない理由=「抵抗」があるからだ。

だが、そのことを理解していないのが、ほとんどだろう。
人々を説得して、新しいアイデアを受け入れてもらうには、アイデアそのものの魅力を高めるのが一番だと思い、付加価値を高める。
だから、アイデアに機能やメリットを付加したり、メッセージの訴求力を高めたりするのに注力してしまう。
私も、その一人だ。
研究開発したシステムの有用性や必要性を高めることに注力していた。

本書では、そのアプローチだけではダメだということがわかりやすく書かれてある。
重要なのは「抵抗」を克服することだと。

著者らは抵抗を4つ(惰性・労力・感情・心理的反発)に分類し、それぞれの正体を分析、それらへの対処法を、事例を使って具体的に記している。

「惰性」:自分が馴染みのあることにとどまろうとする欲求。
「労力」:変化を実行するために必要な努力やコスト。
「感情」:提示された変化に対する否定的感情。
「心理的反発」:変化させられるということに対する反発。

つまり、人の心は、これら4つの抵抗に支配されているとも言える。

「惰性」
・人は変化よりも不変を、未知より既知を好む
・見慣れたものを好む「単純接触効果」
・人は知っている商品を購入する

<「惰性」の克服>
・よく知らないものを知っているものに変える
・新しいアイデアに慣らすことで「抵抗」を和らげる
 ・何度も繰り返す
 ・小さく始める
 ・伝達者をオーディエンスに似せる 
 ・提案を典型的なものに似せる
 ・喩え(アナロジー)を使う
・選択肢の提示に相対性を取り入れる
 ・極端な選択肢を追加する

「労力」
・「高い価値」よりも「少ない労力」が優先される

<「労力」の克服>
・「労力」の2つの側面
 ・「苦労」:身体や頭を酷使すること
  ・目標達成に必要な作業量
   ・行動の簡素化
    ・「ノー」と言いにくくする
    ・デフォルトにする
 ・「茫漠感(ぼうばくかん)」:どうすればよいのかわからない
  ・目標達成の方法を知っているかどうかを示すもの
   ・ロードマップの作製
    ・実践の手順を一つ一つ示す
    ・行動するタイミングを明確に区切る
    ・行動を誘発するきっかけを設定
     ・「Xの状況になったらYを行う」ように仕向ける

「感情」
・感情は行動に大きな影響を与える
・私たちは感情を感覚として経験するが、感情は決して単なる主観的体験ではない
・感情は私たちの人生に建設的な影響も及ぼすし、破壊的な影響も及ぼす

<「感情」の克服>
・「お試し」ができるようにする
・決めたことを簡単に覆せるようにする
・サービス込みにする
・「なぜ」にフォーカスする
・外部の人を引き入れる

「心理的反発」
・自由が奪われると感じると「心理的反発」は起きる
・相手の誤りを示す証拠が強力なほど、態度が強化
・説得されていると感じるだけで「抵抗」は強まる
発生する要件
・アイデアが基本的な信念を脅かす場合
・変わることへのプレッシャーを感じる場合
・オーディエンスがのけ者にされていた場合

<「心理的反発」の克服>
・「イエス」を引き出す質問をする
 ・指示をするのではなく質問をする
 ・合意点や一致点を明らかにする質問から始める
 ・人前で約束すると自己説得の力は一段と強くなる
・コ・デザイン
 ・新しいアイデアをデザインするプロセスに人々を積極的に関与させる
  ・「アイデアや提案があればメールを送ってください」というやり方は2つの理由で失敗する。
   ・最も抵抗の少ない道は、依頼を無視することだから
   ・意見を言わせることが自己説得の十分条件にはならない。こちらの意図した気づきに導くこと。だから、「イエス」を引き出す質問が欠かせない。
 ・参加することに意味があり、人々が期待する以上に関与できる場合

現在、私が取り組む、がん検診の受診率向上についても、「抵抗」は実感していたものの、その要因まで分析できていなかった。

4つの「抵抗」を正しく理解することができれば、アプローチの方法のブラッシュアップの内容と精度も向上することだろう。

また、仕事だけではなく、子育てや教育、人間関係など、幅広く活かせる内容だとも言える。

皆さまも、ぜひ、一読されてはいかがでしょうか。
このような良書との出逢いに感謝です。

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私が、地方創生にも取り組んでいるのは、生まれ故郷が「九州における消滅可能性都市1位」ということを知ったからです。

また、少子高齢化と人口減少が進む中、「地方は、未来の日本の縮図であり、地方が変われば日本全体が変わる!」と考えています。国境離島で生まれ育ち、大阪、福岡、東京と多様な環境で経験を積み、医療、ハードウエア、ソフトウエアといった多分野での経験等を活かしたプロボノとして取組んでおります。もしよろしければ、お読みいただくことで活動へのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

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