“「マイノリティなのは障害者だけではない!」”澤田智洋著『マイノリティデザイン』
ご存知の通り、世界の流れを汲み日本でも、障害への考え方が、「個人の心身機能が原因である」という「障害の医学モデル」から、「社会の作りや仕組みの方に原因がある」という「障害の社会モデル」という考え方に変化してきています。
そこで、知人に紹介されて読んだ本『マイノリティデザイン「弱さ」を生かせる社会をつくろう』をご紹介します。
著者は、コピーライターの澤田智洋氏です。
お子さんの視覚障害をきっかけに、考え取り組んでいることが斬新で「世界ゆるスポーツ協会」を創設されています。
この本の「はじめに」の全文は下記ページでご覧いただけます。
◆【はじめに全文公開】佐渡島庸平氏が“羨ましい”とさえ思った、多様性の時代を最も象徴する、アイデアのつくり方
なぜ、この本のことを情報共有しようと思ったかというと
「障害者だからマイノリティ」ではなく「マイノリティなのは障害者だけではない」という視点が興味深かったからです。
つまり、捉える視点を変えると誰もが少数派である「マイノリティ」になるということを多くの方々に知って欲しいと思いました。
例えば、聴覚障害者を「マイノリティ」というのであれば、診療放射線技師も「マイノリティ」です。(ちなみに、私は元々診療放射線技師です。約21年間、臨床の現場で従事していました)
令和4年版 厚生労働白書によれば、日本の診療放射線技師の数は、約5万人といわれています。
医師は約33万人、看護職員の約168万人などに比べると医療系の国家資格者の中で診療放射線技師は少数派の「マイノリティ」となります。
医療法における医療施設別等の人員配置標準では、医師や看護師は配置人数が定められていますが、診療放射線技師は定められていません。
この配置人数の定数は診療放射線技師はマイノリティだから仕方ないのでしょうか・・・。
また、ご存知でしたか?
火をつける「ライター」は、もともと片腕の人でも火を起こせるように発明されたものでした。
「曲がるストロー」は、寝たきりの人が手を使わなくても自力で飲み物を飲めるよう作られたものです(*諸説あり)。
それが今では障害者、健常者、関係なく広く利用されています。障害者にとって便利なものは、健常者にとっても便利だからです。
つまり、「すべての弱さは社会の伸びしろ」。ひとりが抱える「弱さ」は、世界をよくする「力」を秘めています。
この本の大まかな内容をマンガ化したものが下記ページで公開されています。
◆火をつける「ライター」が発明された意外な理由すべての「弱さ」は社会の「伸びしろ」になる
そう考えてみたら、私が大学院で研究して、現在実用化された「X線検査支援システム」は、「ライターと同じだなぁ」と思いました。
なぜなら、X線検査における検査指示をわかりやすく伝えることは、「診療放射線技師だけではなく、受診者にとっても便利」だからです。
つまり、皆さんそれぞれ、視点を変えると何らかの「マイノリティ」を持っています。
そして「マイノリティ」だから「感じる」「出来る」ことがあるのではないでしょうか。
皆さんそれぞれの「マイノリティ」だからの「力」を「強み」として活かし、「障害の社会モデル」が当たり前の日本となれば、「誰もが暮らしやすい社会」になると思いました。
この投稿が少しでもお役に立てれば幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。