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海うそ
9月中旬から10月は、とにかくしんどかった。
身体も頭もずっと重くて、心もスカッとしない。
感動経験が少なかった。それは、感動できる体験が無かったということじゃなくて、同じ体験をしても、9月以前やったら色々感じて、感動できてただろうけど、9月以降は何も響かなくなってたということ。無理やり響かせようとしていた。
ずっと頭は曇りの日。過ごしやすい季節なのに、心で味わえなかった。
梨木香歩さんの「海うそ」を読んだ。
夜遅く上り始めた月は、深更、山間の小さな屋根にも、その清明のまなざしを、皓皓と降り注いでいくのだった。このように不意に目覚めることのなければ、私自身最後までそれに気づかずにいて、また誰一人気づくものもいない。ただただ無心に漏れ来る光の林よ。
厳かに、知らずに、跪いて、頭を垂れる。
静かな、内なる世界。祈り。
こんな清らかな気持ちを、心の空(くう)を忘れていた。
「そうだ、こんな気持ち」って思い出させてくれた本。ありがとう。
ちょっとずつ心が戻ってきそうな予感。
ちなみに「海うそ」は、蜃気楼って意味らしいです。
幻
幻は、森羅万象に宿り、森羅万象は幻に常に座支えられてきらめくのだった。