ジャパニーズの定義の法制化を目指し、再び始動開始…
このところ外部からの依頼が多いが、再び中国関係者からの依頼・オファーが相次いでいる。3月には中国人ビジネスマン対象のジャパニーズセミナーを2回ほどスクールで開いたが、さらにツアーの企画の依頼や、オリジナルボトル、そして検定等の中国での実施を打診してくるところも多い。かつて一度だけ、北京のソムリエ協会に頼まれて検定の英語版の問題を作ったこともあるし、コロナ前だったが、中国広州市で実際に中国語の問題を作り実施したこともある。
中国経済、情勢はなかなか厳しいものがあるのではとニュースでは喧伝されているが、相変わらず日本の製品、特にお酒の人気は衰えを知らないようだ。アマゾンに次ぐ規模を誇る中国のアリババからも、相談を受けた。時間が許すかぎり、できることはしたいと思っているが、やることが天文学的に増えていて、体力・気力が日々削られている。検定の新しいテキストはいよいよ今日から全国の書店に並ぶが、その合格者向けの『Whisky Life』の原稿も書き、外部の雑誌・新聞の連載原稿もこのところ毎日書いている。
ガロアの校了は無事済んだが、すでに次号(No.45 7月12日号)の編集作業はスタートし、昨日はミーティングも行う。次号では「夏だハイボールだ!!」ということで、缶ハイボールの特集もする予定で、併せてもう一度スコッチのブレンデッド、ジョニーウォーカーやシーバスリーガル、バランタインなどの“ブランド物語”を書く予定でいる。
TWSCはベスト・オブ・ザ・ベストのカテゴリーが決まり、その候補ボトルをサンプル小瓶に詰め替え、特別審査員に送る作業が連日続いていた。これも今日中には発送完了である。今回は第1回から続く「シングルモルト部門」の他、「ジャパニーズクラフト」「アメリカン」そしてジャパニーズジン、ワールドジン、さらに泡盛部門、焼酎部門の合計7部門で2次審査を行うことにした。それぞれシングルモルトとジャパニーズクラフトが20アイテムずつ。アメリカンやジン、焼酎、泡盛はほぼ10アイテムずつである。連休明けが提出締切りで、5月中旬すぎには結論を出したいと思っている。今から、それが楽しみだ。
ということで、4月1日のジャパニーズウイスキーの日の基調講演以来、あまりの忙しさで中断を余儀なくされていた、ジャパニーズウイスキーの定義の法制化に向けて、再び動き出すことにした。そのスタッフミーティングも昨日行い、今後の行程表も作ることにした。まずは活動母体となる一社の設立で書類を連休中に準備し、5月中には会社登記をしてしまおうと思っている。並行して事務局や事務局長、さらに発起人の登録、賛助会員の募集等についても推進予定だ。
その後、発起人を交えた会合を開き、具体的な議連の設立や、クラウドファンディング、そして署名などを集めたいと思っている。ことは急を要する…。私にも、そしてジャパニーズウイスキーにも、残された時間はそう多くはないかもしれない。中国や台湾、アジアだけでなく、多くの国のウイスキー関係者と話していて、ジャパニーズウイスキーの定義の法制化がいかに急務であるかを実感している。
ジャパニーズウイスキーは世界5大ウイスキーの1つと言われるが、スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズで自国のウイスキーの法定義を持っていないのは、日本だけである。このままの状態が続けば、世界中に、ジャパニーズではないウイスキーが蔓延することになる。すでにアメリカでは訴訟も起きているという。手遅れにならないためにも、誰かが動かないといけないと思っていて、そこでウイ文研がやれることはやろうと立ち上がったのだ。金も力も、そして造り手でもなく、さらに時間もない一般の民間企業がやれることでもないし、やるべきことでもないかもしれないが、ウイスキーをやってきた者として、ジャーナリストとして、せめて一石くらい投じたいと考えている。
考えてみればジャパニーズウイスキーの定義が必要だとして、ウイ文研として試案を作り、わざわざホテルで記者会見までしたのは2016年のことで、それが引き金となって日本洋酒酒造組合の組合内規が作られた。私たちが、あの時一石を投じていなければ組合内規もできていなかったかもしれないし、できたとしても今よりずっと遅れていただろう。非力な民間の、いちウイスキーファンの集まりでしかないが、やれることはやろうと思っている。
組合内規ではなく、すべての造り手が守るべき法制化が必要だと思っているのだ。再び一石を投じる覚悟というか、背水の陣である。なぜ再び私たちがやらなければないないのか、何度も言うようだが、命を削り、時間を削り、金も費やして、本当にやる意味があるのかと自問自答もしてきたし、スタッフの負担を考えると断腸の思いでもあるが、人生の半分をウイスキーで食べてきた身であることを考えてみれば、とにかく前に進めるしかないのだろうと思っている。