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日本のマスジドでビリヤニを作りながらベンガル語で談笑していた彼は、アルゼンチン国籍を持っていた。
毎月第4土曜日、僕はマスジド*大塚が行う炊き出しのボランティアに参加している。
炊き出しは、18:00から東池袋中央公園で行われる。そのため、マスジド大塚では、炊き出しで配布するビリヤニ約550食を、当日の12:30頃から準備している。
いつものように、マスジド大塚の5階にあるキッチンに行ってみると、インド出身のシェフと、初めて見た男性二人が、大きな鍋と格闘していた。
ここで飛び交っている言語が何語か、僕にはさっぱりわからなかったのだが、一人の若い男性が、僕に日本語で話しかけてくれた。
「こんにちは〜、お名前は?炊き出しの参加は初めてですか?」
このような定型的な挨拶を交わしてから、少し作業をした後、彼がもう一人の男性を指して、
「この人、日本語がわからないらしいので、教えてあげてください」
と私に言ってきた。
「何語が話せるんですか?」
と聞き返すと、彼は通訳をしてくれて、
「ベンガル語とスペイン語らしいです」
と教えてくれた。
挨拶程度のスペイン語を知っている私は、思い切って
"Hola. ¿Cómo estás?" (こんにちは、お元気ですか?)
と聞いてみた。
すると、どうだろう。
日本語を話せない彼は、とても喜び、
Muy bien ~~~~~~~(元気です、はわかったがその後何を言ってるかよくわからなかった)
と言った後、私に近づき、彼のIDカードを見せてくれた。
「ブエノスアイレス、アルゼンティーナ」
という彼は、おそらく、自分がアルゼンチンで生まれ、アルゼンチン国籍を持っている、ということを僕に伝えているのだろう、と感じた。
その後、スペイン語もベンガル語もわからなかい僕だが、なぜだか彼は僕のことを気に入ってくれたようで、
「フレンド、フレンド」
と笑顔で僕に語りかけてくれた。
彼のことを何人と言えばいいのだろう?
スペイン語、もうちょっとちゃんとやってればよかったなぁ。
そんなことを今、この日記を書いている時にも思っている。
この日記に特にオチはないけれど、ただ、ブエノスアイレスで生まれ、アルゼンチン国籍を持っていて、ベンガル語を話していた男性が、日本のマスジドでビリヤニを作っていた。笑顔が素敵な彼との出会いを記録しておきたいと思い、久々に日記を書いてみた。
では、
buenas noches
*マスジドとはイスラームの礼拝場所を指す。マスジド大塚は東京都豊島区南大塚にあるマスジドである。