本当の意味での奉仕とは
言語聴覚士×ケアラー、mamoです。
このnoteでは、ケアラーでも人生を明るく生きる事ができる!をモットー。
ケアする側やセラピストに必要なメンタルケアやコーチングの方法や工夫を自身の経験をもとに、高次脳機能や臨床心理学の知識をまぜながらお届けしています。
今日はケアラーやセラピストが持つべき奉仕についてお話ししようと思います。
日本人が抱きやすい奉仕イメージ
皆さんは「奉仕」という言葉を聞いて何をイメージしますか?
相手のために尽くす、とか
弱い立場にある人達に対して尽くす、とか
色々あるとは思うのですが、どこか自身を投げ打ってでも、とか、身を粉にして、とか、
自身の事は二の次にして奉仕するイメージが浮かびやすいのではないでしょうか。
小さいお子さんがいらっしゃるお母さんが
自分の子供の為に、寝る間も惜しんでという感じでしょうか。
確かに全世界のお母さんの包み込むような、奉仕とも言える愛情のおかげで、赤ちゃんは穏やかに育つのでしょう。
そういう意味では奉仕は奥深いですよね。
「奉仕」にもタイプがある
さて、大体の奉仕のイメージは共有できたと思いますが、奉仕にも大きく2つのタイプに分類できるのではと思います。
それは、
表面的な奉仕と本質的な奉仕かな、と
個人的には考えています。
表面的な奉仕とは、日常的な奉仕(家事)や、肉体的な奉仕(介護とか)、経済的な奉仕(支援)とか、分かりやすく、なおかつ具体的なもの。
本質的な奉仕とは、その相手がその人らしく生きられるよう、人生を主体的に生きられるよう、できる範囲で自立を促していくもの。
表面的な奉仕より精神的な奉仕。その人の内面にもアプローチする為、抽象的なもの。
大きく2つのタイプに分かれると思うのです。
ケアラーに意識して欲しい、奉仕のタイプ
どちらも大切な意味を持つ、奉仕のタイプ。
話を戻して、ケアラーにこそ意識して欲しい奉仕のタイプはどちらかと言うと…
本質的な奉仕のタイプです。
なぜなら、表面的な奉仕というのは初期の段階や状況が逼迫している場合には有効ですが
ともすれば共依存関係に陥りやすく、
あなたがいないと何もしない、したくない!
あなたがやってよ!
となってしまい、長期間で密接な関係にある方には少し不向きかな、と思うのです。
奉仕のつもりが、相手が成長する機会を奪っている?
そして表面的な奉仕ばかりに目を向けていて
注意したい事がもう一つ。
表面的な奉仕のみをいつもしてあげる事で、
その人(ケアを受ける)が本来持っている主体性や、問題解決能力を衰退させてしまう、
もしくは精神的に成長する機会を奪ってしまう可能性があるのです。
何か問題があってもあなたが解決してくれる
と、思われてしまいがちに。
良かれと思ってやってしまっていた、という方も多いと思います。
本質的な奉仕ってどうやるの?
では、本質的な奉仕ってどうやれば良いのでしょう。
ここで、
本質的な奉仕のおさらい
本質的な奉仕とは、その相手がその人らしく生きられるよう、人生を主体的に生きられるよう、できる範囲で自立を促していく奉仕。
表面的な奉仕より精神的な奉仕。その人の内面にもアプローチする為、抽象的なもの。
と伝えました。
とても抽象的ですが、どう促していったら良いかというと、
ポイントは、何かを決める際に、
まずは相手に考えさせる、
まずは相手に意見を言わせてみるという事。
ケアを受けている側の人にもよりますが、
ある程度長期間奉仕され、少し安定してくると
自分の意見を言ったり、自分で解決策や打開策を考える事自体、しなくなる傾向になると思います。
なぜなら、あなた方が良かれと思って解決策やベストな回答を先回りして提示してしまうから。
なので、相手が少し安定してきた段階なら、
あえて、こちらからは聞かない。
相手に意見をいったんは言わせるようにする。(始めは食事のメニューとか、今日のリハビリとかからスタートすると良いです。)
そこから、
その意見に合わせて、「じゃあ、こうしてみる?」「これはどう?」と誘導していきます。
そうすることで少しずつ、その人が自分の人生に持つ主体性が戻ってきます。
特に、何か問題が起きた時に、依頼心が最も強くなるので、その時に、
「この様な事が起こったんだけど、どうしようか?、どう思う?」と意見を言わせてみましょう。
もちろん、
逼迫していて今はそんな段階じゃない!
という方はもちろん、具体的な表面的な奉仕で良いです。
奉仕は少し距離感がある方がうまくいく
ここまで奉仕についてお話ししてきました。
さてこの2つの奉仕タイプ、どちらにも共通して大切なポイントがあります。
それは、どちらも相手の精神状態から少し距離を置いて奉仕する、という事。
今、まさにケアして欲しい方は、無意識のうちに同情心をめちゃくちゃ煽ってきます。(仕方ありません、やりたくてやってる訳ではないのですが)
ですが、その同情心に浸かり過ぎず、少し距離を置いた方が、本質に気がつく事ができます。
良い加減の奉仕というのは、相手の全体像を少し離れた所から見て、必要な分だけ与えるのが良いのでは、と経験から思います。
まとめ
今日は奉仕についてお話ししました。
この奉仕に対する考え方は、ケアラーだけではなく、セラピストやエッセンシャルワーカーにも活かせる視点かな、と思います。
良い距離感をご自身で探ってみてくださいね。
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