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違う! バイデンが不法移民に寛容なことが、日本の抱える問題なのだ
newleader2024年6月号を元に改変
この川はどこから流れてくるのか
この5月の連休、高校の同窓会やら親戚への用事やらが重なったので、故郷の関西に戻っていました。用のある場所への足の便がいいことから、深く考えずに京都の町中に宿を取ったのですが、いやぁー、すごかったですね。宿代が目玉が飛び出るほど高かったことは覚悟の上でしたが、それより驚いたのが、凄まじい人出。特に外人さん。観光気分を味わおうと先斗町に食事に行ったのですが、四条の入り口から通りを覗いた途端、あきらめました。ともかくあの細い通りに外人さんがびっしり、川のようになって蠢いていたのです。
タクシーの運転手氏によると、コロナ規制が明け、円が急に安くなり、インバウンドの勢いが凄まじく、慢性的な好況状況に。特に今回の連休は最高潮だったよう。もっとも、その反動というべきか、人手不足は相当にシビアで、飲食店などは何処も、記憶にある数年前の値段よりはっきりと高騰しており、一方、昔から名の通った店が閉じたままの姿も多く見受けました。繁華街のコンビニでは、レジを捌ききれず長蛇の列が発生する姿も。どこもかしこも一杯一杯という感じ。1200年の歴史を誇る大観光都市・京都でも明らかなキャパオーバーです。これもまた「超」円安が生み出した光景の一つです。
確かに、日本各地で、「人手不足」「人件費高騰」を理由に、価格転嫁が難しい庶民的な小規模飲食店などの廃業、店舗閉鎖が相次いでいます。
岸田首相が「この人口減少のままだと将来、日本は社会を維持できなくなる」と危機感を煽り立てていますが、未来まで待たずとも、このように少しでも円安に振れると、経済が加熱し、マンパワーの問題が足を引っ張る現象を、目の前で観察することが出来ます。
余計なお世話だ、バイデン
5月1日、アメリカのバイデン大統領が選挙集会で「われわれの経済が成長している理由の1つは、移民を受け入れているからだ」と自慢、続いてご丁寧にも「なぜ日本は問題を抱えているのか。それは彼らが外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」と。はっきり言って余計なお世話です。というか日本の人口減少という長期的な問題よりも深刻な、アメリカに振り回され続けるという害毒の構造を、この発言の背景から読み取れます。
そもそもバイデンは、政権の基盤固めのためでしょうか、機械的に、米民主党内左派の「超」リベラリストに擦り寄り、反トランプ政策を強く押し出すことに血道を上げています。
それがLGBTQ差別禁止に大規模な財政出動。そして極めつけが、不法移民対策です。トランプが導入した不法移民取り締まり強化などの大統領令を撤回し、移民に寛容な姿勢を打ち出しました。バイデン政権発足後に増加した不法移民の数は、約1000万人。各地で治安悪化が訴えられ、米国内は「内戦寸前」とまで言われる分裂状況にあります。それが先の発言の背景ですが、これほどの混乱を、成長の理由と自慢するとは、恐れ入った神経です。
日本が問題を抱えているのは事実です。
アメリカの大恐慌並みのバブル破綻と同様の処理の失敗が引き起こしたものですが、おかげで十分な少子高齢化対策をとれず、今の岸田首相の絶望に繋がっています。
経済成長の3要素=労働投入量、資本投入量、全要素生産性の内、労働投入量が今後もマイナス続きになる以上、他の2つでその分を補わなければなりません。異次元金融緩和で資本投入量と生産性改善投資を引っ張り上げようとしましたが、GDPギャップ(日銀発表)はまだようやく均衡近辺。つまり長期停滞の原因である需要不足の安定的解消には到っておらず、異次元ではなくとも相対的な緩和政策は続けざるを得ないのです。
そこに降って沸いたようなインフレと金融引き締め圧力。自身の金融政策が身動きがとれない以上、日本にとっての問題はアメリカのとんでもない高金利政策にあります。つまり、今、私たちの目の前にあるのは、円安ではなく急激な異常ドル高がもたらす弊害なのです。
ウクライナ、イスラエルでバイデン政権が見せた稚拙な外交が戦争を引き起こし、世界のエネルギー・穀物の価格が高騰。更にアメリカはコロナ期の大規模財政出動、そしてなんと言っても移民急増で激烈なインフレに。高金利にしても鎮火しません。アメリカは慢性的なインフレ、高金利体質の国になってしまいました。つまりバイデン政権の不法移民許容政策は、日本の「超円安」の直接的な原因なのです。迷惑この上ありません。
そこで外国人労働者をいきなり増やすと言っても、この「超円安」の下の報酬では、そもそも日本には来てくれません。
これ以上余計なことをやらないでくれ
実は、それ以上のアメリカの害毒を危惧しています。
昨年5月の広島サミットの際、日本はG7で唯一、LGBTQ差別への禁止規定を持っていないことに圧力を受け、急遽、6月に「LGBT理解増進法」が成立しました。しかも音頭を取ったのは駐日アメリカ大使です。中露に対抗する西側結束のためのサミットでなにゆえLGBTQ?。この時期、バイデン政権のLGBTQ差別禁止政策に全米で激烈な反発が巻き起こっている最中で、「国際社会は足並み揃えている」と国内にアピールしたかったとしか考えられません。
この構図、先の「日本の外国人嫌い」発言でも同じことをやろうとしているのではと思えてなりません。アメリカの政権が選挙向けのアピールのために日本を出汁に使う、なんてことを続ける度に、日本の社会も経済も極端な振幅に晒され、政策は股裂き状態に。
なぜ日本は問題を抱えているのか。
少なくとも今、その問題はバイデン大統領その人にあると思います。