トルコ商人に粘り勝ちした話。
昨年10月に行った新婚旅行での話。
トルコ語を勉強するほど大好きになった国なのだが、なんと言っても魅力的だったのはトルコの人々である。
街を歩けば「こんにちは〜」や「日本?」と気さくに声をかけられ、「Merhaba(メルハバ)」(トルコ語でこんにちは)と返すと一層ニコニコしてお喋りが始まる。旅行中、私があまりにも誰彼かまわず「Merhaba」を発していたので、夫からはMerhabaおばさんと呼ばれるほどだった。笑
親日国と聞いてはいたが、予想以上に日本語が上手な人が多く、また中でも商売人は日本語が達者なんてレベルをはるかに越えていた。会話の中に四字熟語なんかをさらっと入れてくるし、客のニーズを汲み取り懐に入るのが上手い。
「トルコ商人は関西商人も敵わないほど、口が達者で商売が上手い」と現地ガイドさんから事前に聞いてはいたが、確かにこれは買ってしまうぞ・・・という場面に何度も出くわすことになる。
ツアー旅行でトルコへ行ったので、観光の他にショッピングの時間が確保されている。私が参加したツアーでは、革製品の店(革のジャケットを取り扱う店だった)・トルコ絨毯の店・トルコ石の店(アクセサリー店)を回ることになっていた。
全ての店での出来事を話せばとんでもなく長くなるので、今回はトルコ絨毯屋さんと私の攻防について振り返ろうと思う。
ツアーの中盤4日目、カッパドキアに到着。出国前から大変楽しみにしていたので私のテンションは最高潮に達していたのだが、夫がまさかの体調を崩してしまい観光地を一人で回ることに。。。
絨毯屋に到着した時も「バスで休む」という夫を半ば無理やり降ろし(実際は、バスの整備のため全員下車する必要があった)、大量の絨毯が置かれた広い部屋へと連れて行った。
トルコ絨毯の歴史を学びつつ、実際の製造工程を見学し、実際に絨毯を見て触って体感する、といった流れでどんどん案内される。写真に映っているのは絨毯屋のわずか10%程度の量で、実際はいくつもの部屋に大量の絨毯が並べられていた。
スーツを着た男性が流暢な日本語でトルコ絨毯の魅力を語り、赤いポロシャツを着たスタッフの人達が合図に合わせて絨毯を床いっぱいに広げていく。様々な種類(色味だとか、毛足の長さだとか)の絨毯があっという間に広げられ、その上をツアー参加者が裸足で歩き回り違いを体感するという修学旅行みたいな時間が好きだった。笑
一通り説明を受け終わると、各部屋へツアー客が散り散り(基本は夫婦ごと)に案内される。ここで凄いと思ったのは、実際の家に近いフローリングの色味の部屋に案内されるという点。さりげない会話の中から判断し、「こういう色味のお部屋ですか?」と小部屋に案内されるのだ。徹底ぶりが凄い!
私も例に漏れずフローリングの部屋へスススッと案内され、逃さないと言わんばかりに部屋の奥へ誘導された(威圧的ではないし嫌な感じは全く無いのでそれも凄い!)。彼らからすると若い女の子が相手なので、きっといける!と踏んでいたと思う。笑
「さっきの絨毯を見て気に入った色はある?」と聞かれ、「青が綺麗だった」と答えると、様々な青色の絨毯が床に敷き詰められた。「どれも素敵ですね」と話しながらニコニコしている私にどんどん絨毯を勧めてくれるのだが、私にはある使命があった。
「今回は絶対に買わへんで。リビングの広さもはっきり分からんし、何よりポンと出せる金額ではないから、気に入ったらまた来よう。」と意識朦朧の夫から強く念を押されていたので、何が何でも「買ってもうたー!」なんてことは避けなければならなかったのである。
あまり期待を持たせても相手に悪いと思い、「夫が家計を管理しているので、私だけでは決断が下せない。夫は体調を崩していて判断ができないのだ」という旨を伝えたところ、「旦那さんは大丈夫ですか?このサイズなら玄関マットにとても良いし、安くしておくよ」と別の提案が始まった。
(さすがだ・・・食い下がるのなんてへっちゃらなんだ、むしろ此処からが勝負か・・・)と心の中で感心してしまう。
「家が狭い」と私。「東京のどこに住んでるの?」「○○だよ」「おお!○○知ってるよ。じゃあ、お金持ちじゃない!」というので、「大きな家の間に細々と建っている家なんだ」と肩をすくめると、埼玉の大宮に住んでいたことがあると話す彼は妙に納得した顔をしたのが面白かった。
現地ガイドさんが様子を見に来た時、「彼女は新婚旅行でトルコに来ているのよ」という後押しをしたことで、支配人まで登場し「価格を下げるからどう?」という第二試合が始まってしまった時は流石に少し焦ったが、夫不在作戦で乗り切った。笑
ニコニコ聞いているのが悪かったのか、押せばいける!と判断され最終出発時間まで商人の彼とみっちり話すことになるのだが、【どうしても今日は買えないこと】【物は大変気に入っていること】を伝え、彼の家庭事情に話をすり替えたりして最終的には彼の悩み相談を聞いていた。笑
お金を貯めてまた来るよと約束をして、彼の名刺と記念写真を撮り握手をして別れを告げた。2年後くらいに行けたらいいな、と夫には話をしている。
ちなみに「買うつもりはない」という意思表示を先にしておくと、トイレを案内された(京都で言うお茶漬け理論みたいなものか)という別の参加者の話には笑ってしまった。
日本で買うよりぐぐっとお得で、トルコ政府の助成金もあり絨毯の送料はかからない、保証付と待遇も良く、何より物は素晴らしいので気に入った物があれば交渉をして購入をするのも良いと思っている。
事前にお部屋のサイズを測るのを忘れずに!
「note」を書くための糖分に変わります。