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PIXARインスピレーションの源――「カルダー:そよぐ、感じる、日本」

2024年の美術館・展覧会を振り返る①
2024年も残りわずか。
今年行った美術館や展覧会の振り返りなどを書いていこうと思います。

麻布ヒルズギャラリーで開催されていた「カルダー:そよぐ、感じる、日本」

2020年にDisney+で公開された(当時コロナ禍だったため、劇場公開の予定がDisney+で公開に変更)PIXARのアニメーション『ソウルフル・ワールド』。

「自分はジャズのために生まれてきた、ジャズこそ生きる意味」と信じる主人公ジョーは長年追い続けてきたミュージシャンとしての夢が叶いそうな瞬間に事故で仮死状態に。彼の魂は人間が生まれる前の「ソウルの世界」へと迷い込み、「生きる意味が見いだせない」と葛藤するソウル22番と出会う…というお話。

時に人間は「生きることの意味」や「価値」に囚われすぎて自分自身や時に周囲も傷つけてしまうことがある…。そんな息苦しさや痛みを温かく包み込む本作に大号泣し、PIXAR作品の中でもトップ3に入るくらい大好きになった作品です。

ジョーが迷い混むソウルの世界には「ジェリー」や「テリー」と呼ばれる生まれる前のソウルたちを案内したり、教育するキャラクターが登場するのですが、キャラクターデザインの基の一つになっているのがカルダーの彫刻作品なのだそう。(他にもスカンジナビアの現代彫刻やピカソの彫刻作品もインスピレーションの源となっているようです。

その事実を知ってから、いつかカルダーの作品をみたいなぁ…なんて思っていたら、約35年ぶりに東京で個展が開催されるとの情報が!確かに洗練された線の動きや組み合わせは『ソウルフル・ワールド』の世界にそっくり!

現代アーティストらしい実験的な作品も。
色と角度によって作品の表情がガラリ変わる。
まるで万華鏡のよう!


精神世界に生きる「ジェリー」や「テリー」たちには物質的なところがないですが、カルダーの作品は堅い鋼でできています。

鋼が繊細な形で重量を感じさせずにふわふわと漂うカルダーのモービルはみていて不思議な気持ちになります。

他にもソウルの世界では優しいパステルカラーだけれど、カルダーの世界はパキっとした原色……とそれぞれの世界を比べると「ギャップ」があることに気づかされます。
PIXARはどのようにカルダーの作品をソウルの世界に落とし込んだのだろう…なんて、考えながら展示をみて回りました。


おまけ
SOMPO美術館にもカルダーの作品がありました。


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