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世間からはみ出すということ

ある歌の歌詞には「右向け右の世界」というフレーズがある
ある活動者はこの世界を「回れ右のコミュニティ」と言った

軍隊でも、回れ右や右向け右はあるけれど、左はない
世界は右を中心に動いている
だって、右は英語で「right」正しい向きだから
だから社会は右を向くことを要求する

「right」は正しい以外にも、正義という意味もある
だから、右は正義の向きなのだという暗示なのだと思う

例えば、学校のクラスで右向け右をしなければいけない事があるとする
体育の授業ではない
全員で協力して同じことをしましょう、とか
場の雰囲気的にこうするべき、とか
あの人を虐めよう、とか
その、コミュニティの中だけでの正しさを求められる
そんな場面は結構沢山ある

ほとんどの人は知らず知らずのうちに右向け右をしているから、自覚はないと思う
右向け右と号令がかかった時に、右を向ける人は正しい、少なくとも生きていく上では
そして、社会は右を向いている人を健常者として扱う
右を向ける人が正常なのだ
右を向けなければ、おかしい人だと思われる
だから、僕も必死に右を向くように努力してきた
学校だけじゃない
社会全体が右向け右の構造になっている
企業に就職すれば、また学校と同じように右向け右が更に要求される
はみ出さないように
はみ出さないように
僕は学校で細心の注意を払いながら、右がどっちなのか探し続けた
右向け右と号令がかかった時、周りの顔色を伺いながら右を探した
でも、右は簡単には見つからなかった
他の人が右を向いている中で、僕は右がどっちなのかわからなくて、色んな方向を向いてしまった
周りから、あいつは健常者じゃないと思われるのが怖かった
僕は右を向けなかった
右は見つからなかった

一般人の考える正義は僕の正義とは違うから、僕には普通がわからないし、何が正しいのかわからない
だから、僕には一般人と同じ方向を向いて生活することは無理なんだと思った
この世界に無数にいる一般人と僕とは人種が違うから僕が右を向くことなんて無理なんだと思った
この先の人生、コミュニティからはみ出して生きていくしかないんだと自覚した

世間からはみ出すのはめちゃくちゃ怖い
周囲からの目とか評価とか
僕のことを批難する人は死ぬほどいる
面倒臭いから僕のことを無視する人も死ぬほどいる

世間からはみ出したら、とにかく生きづらい
でも、僕は、生きにくさを感じながら生きていくしかない
この先の人生、明るくないと自覚しながら、生きづらさを感じながら生きていくしかないと自覚しながら生きていくしかないというこの絶望感

僕の気持ちを誰が理解できるっていうんだよ
というか、赤の他人が勝手に理解した気分になってたら、何なんお前って思う
何も知らない癖に知ったような口きくんじゃねえよって思う

僕は右を向けない、世間からどうしてもはみ出してしまう

世間一般の人は僕のことを健常者ではないと言う
全く、その通りだと思う

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