いいとこ取りというのは素晴らしい目標だと思う。
米中の貿易摩擦や新大統領の就任が話題になるたびに、「アメリカにつくか、中国につくか」という二者択一が求められているような空気を感じる。でも、そんな問いを目の前に突きつけられても、正直なところ、一般庶民の私にはピンとこないのだ。
日々の暮らしを振り返ってみると、世界を「どちらか一方」で分けて考えるようなことは、ほとんどしていない。食卓にはアメリカ産のワインが並ぶ日もあれば、中国茶を片手に過ごす時間もある。「どちらかを選べ」と言われても、そんな単純な話じゃないよなあ、と思ってしまう。世の中は、複雑であっても、暮らしやすいものであってほしい。
「中立」という言葉があるけれど、それはただどっちつかずでいることとは違う気がする。本当に大事なのは、どちらかを選ぶことにこだわらず、どちらの良いところも取り入れて、私たちに合った形を作っていくことだと思うのだ。白か黒かで割り切るんじゃなくて、両方の良さをうまく組み合わせる――そんな自由な考え方が標準であるべきじゃないだろうか。
三国志ファンの私は、中国の三国志の名所を巡る旅に憧れているし、旅行好きとしては、アメリカの大自然を体感する旅にも行ってみたい。それぞれの国に敬意を抱きながら、その魅力を楽しみたい。どちらか一方だけを選ぶなんて、なんだかもったいない気がしてしまう。私のような普通の人間には、もっと自由に両方を楽しむ選択肢があってほしいのだ。
もちろん、最終的な決断は政治家たちが下すのだろう。でも、日本の庶民の一人である私が心から願うのは、日本のリーダーたちが、どちらか一方に偏ることなく、双方の良いところをうまく取り入れた外交をしてくれること。私たちの日常を守りながら、穏やかで多様な未来に導いてほしいと思う。いいとこ取りという言葉には一見すると悪いイメージがあるけれど、これこそが外交のゴールなのだと思う。
未来は二色だけで描けるものじゃない。たくさんの色があっていいと思う。そんなふうに、多様な世界を少しずつ紡いでいくために、まずは私も、自分の周りにある身近なものの魅力に気づいて、それらに敬意を払うことから始められたらいいな、と思う。