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場の発明を通じて欲しい未来を作る#コミュニティ経営:tsukuruba中村真広さん(コミュニティの教室004)
コミュニティの教室中盤戦、講義コマも回を重ねてきました。今日は講義回の場所を提供してくださっているco-ba shibuya libraryの運営元でもあるtsukurubaのCCO中村さん。
CCOはChief Creative Officerとのこと。元々建築・デザインを学ばれていた中村さんが共同代表で共同創業しているので、ビジネスはパートナーが、デザインやクリエイティブなどは中村さんが担当しているとのこと。
場をつくる。で、tsukuruba。社員は30歳前後が多くて活気にあふれているが、真ん中に写っている方は立ち上げたお2人を前職で採用した人で、今では社外取締役としてみんなの要として、お父さん的な立場で関わってくれている人もいる。
事業としては
①働く軸「shared workplaceのco-ba」と「自社オフィスを構える時のサポートをするHEISYA」
②住む軸「spotifyみたいにニュアンスで選べるリノベーション特化の流通プラットフォームcowcamo」と
③つくる軸「アーキテクト・エンジニア・デザインが切磋琢磨するtsukuruba studios」
④コミュニティテック軸「コミュニティ内の通貨をつくるKOU」
1.働く軸:shared workplace「co-ba」/ オフィス賃貸サポートHEISYHA
開始した2011年当時はコワーキング自体も一般的ではなく、シェアオフィスとの違いも理解されにくく、場所を借りるのにも一苦労するような状況だったけど、ワーキングコミュニティを作りたかった。起業したては相談する先や切磋琢磨する仲間も欲しいが、なかなか欲しい場所がなかったから作った。
コワーキングとは…場所を共有するだけの場ではなく、アイデアやスキルを掛け算しながら高め合える関わりが生まれる場所であり、コワーキングというワークスタイルが行われているかが必要。部屋の名前ではなく、振る舞い(being)であり、コミュニティマネージャーが中にいてコワーキングして(共に働いている)いる状態があるか否かで決まる。
空間デザイン(静的な設計)としてもみんなで考えて、宿り木のように中の人たちが集えるような大きなひと続きの机がある場所にした。その後下の階にも増床して、libraryという名前にして、中の人が一人ひとり自分の本棚を設けて、「こんなことを考えてる・こんなことに興味を持ってる」を見れるようにすることで、声かけやすい場所にした。
コンテンツ(動的な設計)としても、瞑想とかヨガとかしたり、サービスのプレゼン大会をしたり、親子向けワークショップしたり、交流会したりユーザーが自分たちで主体性を持ちながらできるように工夫した。
今では全国に24箇所あるが、直接運営しているのは渋谷と神南(今日スタートした25箇所目)だけで、それ以外の23拠点は運営含めてゆだねるような形でローカライズしてやっているので、概ねのデザインコンセプトとかは共有しているが、同人誌の2次創作的な形で進化していくのを良しとしている。
なので、地域やどんな場所にあるかでデザインが全然違ったりするし、海士町は島に点在しているし、呉高専は学生ラウンジだったところを1泊2日で学生さんと一緒にDIYのサマーキャンプで作って、今でも彼らが運営しているし、ツクルバにインターンに来たりもしている。
年1回オーナーズサミットを地方主体の開催にしていたりするし、国内のco-baをどこでも行けるようにという仕組みも作ったりしている。
オーナーが自主的に動けるようにということを大切にしているので、成功・失敗を含めてオーナーさん自身の努力に委ねているが、裏側の仕組みづくりや立ち上げ時の相談とかにはちゃんと乗る。みんなで言語化して共通認識にしているのが以下の6つ。
全国の労働者のうち4%が役員などの会社経営に関わっている人で、
フリーランスをしている人は働いている人の中で6%
全体でいうと、10%が自分でビジネスをやっていると言われているらしい。
自分たちで動いている、「マイアクション」をしている全国の人たちを繋いで、co-baで繋がった各都道府県を旅するように働いてもらったりしていきたい。
エリアによって産業特性が違うので1次産業・2次産業・3次産業がうまく掛け合わさって新しい産業が生まれる場所にもしていきたい。co-baで変態をたくさん募り(通称「変態ホイホイ」)、そこにいる人同士で掛け合わせるのもいいし、co-baと地方が掛け合わされていくのもいい。
co-baで育ち、20-30名になって巣立っていったスタートアップ・ベンチャーが自社オフィスを構えようとするところをサポートしていったのがHEISYA。
できたての会社はなかなか思い通りにオフィスが借りれなくて、いい場所が借りれないからデザイン含め色々諦めちゃったりする。
与信がなかなか通らないというところはツクルバが間に入ってサポートするし、
すぐに手狭になって出たりするからなかなか手の込んだこともできない内装に関してはパッケージの中からツクルバが仕立ててあげる。
tsukuruba自体も歩んできた拡大に伴う課題に対して、
最初の時期はco-baで、その次の段階はHEYSHAでステップアップに合わせたサポートを段階的に行っていこうとしている。単発で手助けする不動産仲介じゃなくて、並走してスタートアップの生態系・コミュニティづくりに貢献したいと考えている。
HEISYAに伴って物件自体のプロデュースもやっていたりしている。開発が進んで新築物件が増えれば増えるほど中古物件のオーナーは借り手を見つけるのが難しくなるし、借り手側のスタートアップもちょうどいいサイズの物件がなかなか見つけられなかったりするし、という間を取り持つことができるので、リノベーションで店舗・シェアスペース・区画の小さいオフィスなどを作ったりしている。
地方での事例としては、年間500校が廃校になるという少子高齢化に伴う課題に対しての取り組みもしていて、
鳥取県の廃校をインキュベーション施設にするという取り組みをやっている。視聴覚室や教室をアレンジして、フリーアドレスのコワーキングや区画でのオフィスにしたりして、地元ならではの起業家が集まる場所を作った。ここはソーシャルキャピタルがちゃんといて、鳥取出身の人たちがちゃんと手をかけているから上手に成り立っている。
シェアの場所を地方に作ることで、関係人口を作っていって(そこを借りている人だけじゃなくて、イベントできたことがある人や知っている人が増えて関わりが広がっていく)、周りを含めて盛り上げていく
箱(ファシリティ)を作ることよりも、運営(コミュニティ作り)の方が大事。
2.住む軸:中古物件×リノベーションプラットフォーム「cowcamo」
仕事(働く)も大事だけど、暮らす(住む)ということも大事だと思っていて、一見不動産業のビジネスだが、ここでやりたいことも東京で住みたいと思っている人たちのコミュニティ=顧客側の母集団形成で、またそれと同時にリノベーションをやっている人たちに対してもベストプラクティスをちゃんとデータ分析したり出来るように作る側のサポートもして、リノベーションを通して都心にいい暮らし(物件)の集まり作れるようにしている。
東京都内には沢山の物件があり、省庁もリノベーションを推進していたりするが、なかなかうまく進んでいないことが多い。
都内は余白がないほど物件で埋め尽くされている。都心に住みたい。新築は高いし臨海部しかないから都心にというと中古しかない。中古でも自分らしく住みたいとなるとリノベーションをするしかない。その人たちをコミュニテイにしていくことでいい循環をつくっていきたい。
3.つくる軸:クリエイターが切磋琢磨する「tsukuruba studios」
つくる人たちのコミュニティ化をまず自分たちの会社からしたいなと思って始めたのがこれ。一見、アーキテクト(建築や空間設計)とエンジニア・デザイナーってまだまだ遠いけど、混ざり合うことで今まで考えられなかったことやアイデアが出せるのではないかと考えている。まさにco-baでやったコワーキングによる創出をここでもやろうとしている。
依頼された企業さんのオフィスを作るだったり、混ざっているアプトプットの一つとしては、新しくできたco-ba神南自体もその一つ。
社外事業での掛け合わせとしては、アパレル×不動産(住宅・住まい)のコラボレーションなどもやってきている。
4.コミュニティテック軸:コミュニティ内の通貨をつくる「KOU」
co-ba中だったり、マンション住民間のコミュニティーだったりに対してコミュニティーの活性化を出来る手段やコミュニティーの盛り上がりを可視化できる手段として地域通貨のようなものをつくっている。
greenzの地域通貨の勉強会のヒントから得て、あたらいい通貨の可能性に挑戦してみようと思ったのがKOU。所属するコミュニティごとに自分を使い分けていきているので、それぞれのコミュニティ毎の自分が中の人にどう感謝を伝えたり関わっていったりするのかというと、
一番フォーマルなのがご祝儀やお祝い金だけど、それはフォーマルすぎるし野暮ったい。SNSで「いいね」を押すのもいいけどそれだと軽すぎる。その間になるようなツールとして考えたのがKOU。
①コミュニティを作り、②お金を命名して作り、③コミュニティ内のコイン(法定通貨や仮想通貨とは関係ない、ただの子供銀行券みたいなもの)でトランザクションを作る。それを公開台帳みたいな感じで見える化する。
この中では、一般的なお金のようにストックする(=お金持ちになる)ことを良しとするのではなく、コインの循環をできている人(=回せている人=やりとりを生み出せている人)を良しとして、ランキング化したりしている。
人間の歴史を紐解いていくと、一番原始的なコミュニティの通貨は「贈与経済」だった。狩ったマンモスの残り物や釣れた魚の余ったものを配るみたいな形で与えるものだった。それが村同士のやりとり・貿易になっていって、「交換経済(等価交換)」になると、割合が出てきて、自分たちのものをより高い価値で売ろうとして、争うようになっていった。
どんどんそれが進んでいって、今に至る。なので、交換経済の最先端として、どんどん仕事が分業化・専門化・効率化されていくので、自分が担う部分は狭くなる。すると、自分が社会に属している感覚や人らしくいきている感覚が持ちにくくなり、仕事未満趣味以上で社会に関われるようになりたくなり、パラレルワークや2枚目の名刺で人に感謝されるようなことで社会に関わりたくなってきた。と思っている。だから、今の経済で補えていない部分を感謝経済が担っていくのではないか。
コミュニティ的な側面としては、子どもを預けるのはベビーシッター。家事を頼むのはこれ…という形で全てがビジネス上のサービスになって細切れされていっているが、そうじゃないものもあるのではないか。
子どもと触れ合いたいおじいちゃんおばあちゃんがいたり、子ども同士だったらできていた近くの仲間を助けるみたいなことを大人が取り戻せてもいいのでは。
5.ラップアップ
コミュニティーに対して技術やデザインや建築・不動産でサポートしているのがツクルバ。なので、コワーキング・不動産とコミュニティー通過って一見繋がらないけど、コミュニティーづくりのツールとしては一緒。
ツクルバ のミッション
そしてビジョン。ビジョンには「コミュニテイ型のアプローチ」と入っているが、
得で動く経済が大半を占めているが、それとは別のモードとして徳で動く経済もあると思っていて、それを両立させる実験がしたいと思っている。
ツクルバもその両面があると思っていて、その両方をしっかり成り立たせるために中長期計画みたいな事業戦略は立てる会社が多いが、自分たちの組織文化としてコミュニテイとしての計画ってあまり立てている会社がない。その両立ができるところを「コミュニティ経営」としたい。
事業体としてのツクルバとより広域な関わる人を含めたコミュニティを考えたときに、森の組織論でいうと、人工林と自然林がある。
人工林は近代的で植樹して作ったもの。人間が植えたものはちゃんと介入してメンテナンスしないと成り立たない。手入れをする機会的なもの。
自然林は低木高木色々あって、それぞれがそれぞれの役目を持ち、人間が介入しなくてもそのまま成立することができる有機的なもの。
人工林は工場的だし近代的。自然林は生態系として変化に強い現代に必要なもの。生産効率重視なオートメーション系は弱いので、複雑性をより高めて変化しながら繋がっていく。
未来を作り続けるために、コミュニティが必要でそのために自分たちが役に立てたらいいのではないか。
そのための現時点で考えているのがこの5つ(現時点では)
①どんなコンテクストで②どんな目的を掲げて、③人々を巻き込みながら④⑤現象を作っていく。
閉じないで半開きな場所を作ること、ノイズがないときは予定調和しか起きないので、短期的に価値があるかはわからないものも含めていいノイズを受け入れることも必要だし、その結果生まれるのがソーシャルキャピタル。数値で評価しきれないものもきちんと評価できるようにしていく。
会社経営もコミュニティ経営みたいにやっていけるといいなと思っている。
最後は車座になって、みんなで質問しながら話し合い。「半開き」というスタンスの取り方と中村さんの言語化スキルの高さにみんな感動していました。
中村さんがKOUを作るきっかけとなったのはこのgreenzのクラスで
私たちが今通っているのはこちら。(2期の募集ももうすぐあるらしい。)
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