カランコエの花を観てほしい話。(上演後舞台挨拶付きの短編映画レポ)
イベントレポばっかり書いてて、他人の褌でやってる感がハンパないものの、また他人の褌ですが、最近観た短編映画の話。
春頃に会社の同期と集まった時に「エンタメ的アプローチで〈障害のない社会〉に向けたアプローチをしたいよね」という話が出ていて、それを根津のblockで思い出して、いろんな人に人繋ぎをしてもらって、10月に地域のお祭りの中の映画祭の企画をさせてもらうことになった。(blockの話はまたどこかで)
その映画祭は町の中の道を封鎖して、そこに白布スクリーンを作って、町の人たちと一緒に映画を見るというもの。途中着席途中退出があるので短編映画を複数流そうとなり、テーマになりそうな短編を探していた時にこの映画を見つけた。
「うちのクラスにもいるんじゃないか?」
とある高校2年生のクラス。ある日唐突に『LGBTについて』の授業が行われた 。しかし他のクラスではその授業は行われておらず、 生徒たちに疑念が生じる。「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか?」生徒らの日常に波紋が広がっていき…思春期ならではの心の葛藤が 起こした行動とは…?
合理的配慮や世のトレンド的な流れも合わさって、あらゆる学校や企業でLGBT研修が行われている。この劇中で起きていることに近しいことは、色んなところで発生しているかもしれない。
ネタバレにならない範囲で書くと、この映画はただ「こうだと良い」「これはダメ」みたいなメッセージはなく、多感な10代の柔らかさや儚さ脆さと揺れる感情を含めたストーリーの中に自然にこのテーマを織り込んでいる感じで、押し付けられ感がないので観やすい映画でした。
私が10代を過ごしたのは女子校だったので、仲良しな2人組のやりとりがカップルなのか友達なのか曖昧なことが多かったし、本人達自身も揺らいでいるというか、定まっていないような子もいたんじゃないかなと今振り返ると思える。憧れ的な意味で好きな先輩が部活にいたけど、「恋愛的な感情は1%も混じってなかったのか?」と言われたら、周りに男性がいない分、タカラヅカ的に女性だけのコミュニティの中で「女子っぽい女子」と「男子っぽい女子」みたいなのグラデーションがあったし、そうだったかもしれないなあと思えたりする。でも、当時はその先輩への「好き」と男子校の子への「好き」を比較をしたり並べて考えたり定義することもなかったし、別に悩むこともなかった。曖昧なまま揺らぐ感覚に実感がある分、よりアライでありたいと思うのかもしれないなということをやんわり思い出しながら観ていた。
昔は取りだたされることも少なかった分目立たなかったけれど、話題になったりする分、今10代として生きる子達はより複雑な感情や難しいバランスを取らなければならない瞬間があるのかもしれない。
上演後の監督のトークも面白く、
①このムーブメントを一緒に盛り上げていってほしい
テレビやネットでLGBTやLGBTQというワードが増えてきて、男女の二元的な考え方ではなく、グラデーションや多様性のある性を認識するようになってきた。徐々に社会の価値観は変わってきた。このムーブメントはLGBTにとどまらず、ワークスタイル・ライフスタイル・家族の形などあらゆることに派生して、生きづらさが変わっていけるのではないかと思っている。
②色々な人にみて欲しいから、気に入ったら口コミを手伝って欲しい
制作チームも頑張っているが、自分たちだけの活動では情報が届く範囲に限界があるので、みなさんに伝えてもらうことで、その距離を広げていきたい。(めっちゃエゴサーチしてるから、Twitterに書いてくれたら1分以内にリツイート活動をしています!)
と、柔らかな雰囲気で話をしてくださった。
▽フォトセッションだけどいつもみたいに俳優がいる訳じゃないので一人だけど良ければ撮ってください…と言っている中川監督
#カランコエの花 と #カランコエを止めるな がハッシュタグだそう。
そして実際に口コミで上演期間が延びたり、地方での開催が決まったりしている模様。この映画とワークショップを掛け合わせて、研修後のことも考えられるLGBT研修とかがあったらいいなと思う。
が、DVD化の予定はないみたいなので、都内の方は渋谷のアップリンクでご観覧ください。
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