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弱めな中学生女子を強くしたのは、「かわいい」だった。

この絵を見るとほぼ全員が、「ミスドの!」って言うけど、わたしにとっての原田治さんは、数少ないけどとても強い自己主張だった。

中学校の近くにあった雑貨屋さんに、OSAMU GOODSは置いてあった。筆箱とか下敷きとかノートとかマグカップとかコップとかお皿とか。OSAMUって書いてあるんだから日本人が描いてるんだろうとは思ったけど、それはアメリカの学生に似合うような(と、中学生ながらに思うような)デザインだった。
色も形も、どこかアンティーク感があって、わたしはとにかく夢中だった。

でも、このOSAMUGOODSは他のファンシー文具よりも値段が高くて、中学生のおこずかいで買えるのは、せいぜい月にひとつだった。

そして、このハイセンスな文房具は、やっぱりみんなに人気だった。

当時の中学生女子という生き物は、人と同じものを買っただけで真似したとか因縁つけて陰口を叩くという性質を持っていた。弱めな女子はいちばん最初に買ったとしても、強め女子に「それわたしが買おうと思ったのに!」って言われたら、もう学校には持ってけない。そんな世界だったよね?中学校って。

わたしは彼氏と一緒に帰るためだけに毎日学校に行ってるみたいな、やる気のない超弱め女子だった。
だけど、OSAMUGOODSの筆箱を、堂々と机の上に置いてた。
なんでだろう。「わたしが買おうと思ったのに!」って言われても、次の日も持って行った。因縁つけられたのか、陰口叩かれたのか、その辺は覚えてないけど。


机の上の、水色の缶ペンっていう、中学生のわたしの小さくて強い自己主張。

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2016年の、OSAMUGOODS誕生40周年原田治展で、わたしは初めて彼のこだわりを知った。
筆箱やノートやマグカップの、定番のかたちにイラストをつけるんじゃなくて、その形からデザインしてたって。それも、そんなに変わった形じゃない。コップの高さなら1〜2センチとかの違い。マグカップの持ち手に指が4本入るサイズとか。だから、値段が高くなってたって。

原田治さんのこだわり。強気の自己主張。

ちなみに、ミスドのグッズとかのイラストは、また違う価値観で、絵だけを描いてたらしい。それはそれできっと違うこだわりだと思う。


その原田治展の翌年に、原田治さんは亡くなってしまった。晩年はどこかの島で、のんびり暮らしてたらしい。


最近、たぶんなにかの期限が終わって解禁されたのかな?やたらとコラボ商品を見かける。(嬉しいけど、みんながかわいい!って言ってるとなんだかおもしろくない。笑)

この、ジルちゃんとかジャックくんとかの顔見ると、暗黒の中学時代を思い出すし、あのサッカーと万引きが上手だったチンピラみたいな彼氏のことは、、、久しぶりに思い出しました。笑

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