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糸の切れた凧ひとつ
私は過去に書いたものに執着するタイプです。
過去作品を振り返って見ると、普通、「うわ~拙いな~」となりそうなところなのですが、私の場合常に退化しているので、「昔はこんな自由な考え方ができたのか!」となるのです。
今は、生き物の名前とか生態とか、以前より少しは知っていることが増えたのですが、何も知らなかった頃はもっと、幻想や空想の世界に生きていました。
何かを得るってことは自分の場合、固定概念を増やすことになり、固まってしまうところがあります。
しかもちょっとやそっと知識が増えたところで、インプットが甘すぎてちゃんとしたアウトプットにならないし……(常に勘違いだらけ)。
せっかくだからもっと昔の作文とかも取っておけば良かったな~と思うのですが。
うーん、この状態(=猛スピードで退化中)もどうなんですかね~……。
退化しているというのも私の固定観念かもしれません。「子どもの心、自由な気持ちは失われていくものだ」という思い込み。決め付け。
本当は、明日からどんどん子どもに戻っていくような、自由になるような、そういう考え方も可能かもしれません。
私はずーっと人間の枠にはまれなくて、今でも不安なのですが、せっかくなのでその性格(?)を利用できるだけしてみようかと思います。というかそれ以外できそうにないです。
できないこと、苦手なことを中途半端に取り繕っても、他の人のように上手くできず、結局重荷になって放棄するだけでしょう……か。
せっかくだから、ガコッと外れたボーリング球のように、もう目的など無視して、どこまでも転がっていけたらなと思います。
目の前の生き物たち。図鑑を見れば生態が分かりますが、名前も生態も分からなかった「不思議」の頃に戻ってもいいかと思いました。
すべてから逃げて、逃げて。
良いんだか悪いんだか分かりませんが。
……生き物も命を繋いで、人間も命を繋いで、一生懸命、自分たちの種族を守るために暮らしているというのに。個でありながら全体であるというのに。私は追いつこうともせず、今日も世界の出口を探しているのでした。
思えば私は昔から壊れた「個」でありました。常に。
それでいて一人でグングンやっていける者じゃなかったので、本当に中途半端で足手まといなだけでした。
心はおそらく個。現実的には落ちこぼれ。
逃げ延びた先は天国か地獄か。
本当は全部夢の中かもしれません。人も生き物も、何も食べていなかったかもしれません。
本当は誰も生まれていないかもしれません。みんな冬眠しているのかもしれません。
別の星にいるかもしれません。ただ一時の設定だったのかもしれません。すべて出鱈目かもしれません。
淡くなって、淡くなって……。糸の切れた凧みたいに。
天罰を受けて谷底へ落ちるまで。地獄を見るまで。とりあえず、「これで良かった」と胸を張って存在していることにします。
堂々と自分らしく生きていけることを願って。みんな簡単に生きられることを願って……。
簡単には生きられないのになぜ生み出されたのか。そんなこと言う私は恩知らずです。
孤独な上に構築しようとしないもので、多少単独行動ができるというメリットのみあるので、考えようによっちゃ幸せかも。でも単独行動の達人にはなれず。
全部嘘だったら良いのに。見慣れた概念と、決まりきった世界の掟がすべて。
人の幸せや夢、やりたい人にとってのやりたいことはそのままに。それぞれ流れから抜け出して、全然見たこともない、それでいて懐かしい、夢や幻想の世界に帰れたらいいのに。
何にも追われず。
意味なんてないまま、ずっと好きなように歌いながら。
とりあえず振り返ろうかな。今より1ミリ自由だった、昨日から、生まれた日に向かって続く道まで。
何歳でもなかった、誰でもなかった、自由はいつもどことなく「一人」の感覚。
自分にとっては淡い寂しさが自由かも。
どちらかというと全体的に夜のイメージかも。
水たまりを覗いて、草むらに分け入って、海で石を転がして、イトマキヒトデやクモヒトデを捕まえて。車の中から、並ぶオレンジ色の街灯の列を見て。夜の町並みのもっと遠くを想像して。早朝のキジバトの声、暗い中で咲いている花の輝きに浸って。
懐かしさを感じました、小さい頃に。
感じていたのはきっと、懐かしさよりもっと遠く。
「あれとこれは違う」ということにするまでは、全部同じでした。
空の雲は海の水。哺乳類も鳥類も爬虫類も同じ祖先で同じもの。海に行った日の感覚と、夏の夜そっと見上げた大三角形と。
すべての感覚は別の出来事ではなく、どこかすべて同じでした。時折遠い世界を垣間見るような、面影と、片鱗と。
いつか書こう。意味なんてなく。
……失われていく前に。
まず振り返ろう。一つずつ。
過去の自分の言葉の意味が分かるうちに。
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