【グリーフ】ジャズしか聴けなかった頃
この記事では、僕のグリーフ(悲嘆)と現在に至るまでのあゆみを書いています。
グリーフ(grief)とは死別や離別などの喪失体験による悲嘆や反応(心や身体などに引き起こる状態)です。
僕は移住先のニュージーランドで4年ほど前に最愛の妻の他界を経験し、僕の人生で最も深いグリーフに直面しました。
グリーフは人それぞれですし、タイミングや心の状態でこの記事を読むことが難しい方もいらっしゃるかもしれません。しかし、僕の経験がほんの少しでも誰かのお役に立てればという想いから、記事として発信しています。
🌈 悲しみが全てを包むとき
グリーフに直面した当初、生活のあらゆる瞬間が悲しみに繋がっていきました。街で見かける若いカップルや老夫婦は、幸せな未来や失われた過去を思い出させ、苦しくなりました。歩いていてそのまま倒れてしまうかもと思うような心の状態でした。
この時期、五感を通して感じるものすべてが悲しみにつながっていました。振り返ると、自分が悲しみでいっぱいになっていて、悲しみという感情と自分が一体となっていたのだと思います。
🌈 心に響く音を求めて
今まで経験したことのない深いグリーフ。どうしていいかわからない迷い子の状態で、ぽっかりと空いた巨大な空洞を埋める何かを求めていました。
静けさを埋める音も欲しい。でも、馴染みのある曲を聴くと過去の記憶が蘇り、知らない曲が流れてくると妻と共有できない寂しさが増すだけでした。静寂を埋めたいのに、音楽はかえってグリーフを強く感じさせるものとなって、しばらくの間、音楽を聴けなくなってしまいました。
🌈 ジャズなら聴けた
そんな中、ジャズは聴けることに気づきました。歌詞のない楽器だけの演奏は、新しくも懐かしくもない独特の感覚を提供してくれ、壊れていしまいそうな心に寄り添ってくれました。
5年近く経った今では、どんなジャンルの音楽も以前と同じように聴けるようになりました。懐かしい曲を聴いた時はその思い出を愛おしく思い、知らない曲を聴いた時は妻の分まで満喫しようと思えるようになり、あらゆる音楽を感謝しながら味わうことができるようになりました。
🌈 グリーフと感謝の心
グリーフ当初は一生笑うことはできないかもとさえ思っていましたが、現在は、多くの人々の支えと愛を感じながら、笑顔で過ごしています。音楽だけでなく、支えてくれたすべての人々に感謝の気持ちでいっぱいです。
グリーフに直面した時、自分の心の状態がこれからどうなっていくのか全くわからなかったことも不安が増す要因になっていました。グリーフ関係の本も読むことができませんでした。
グリーフは人それぞれですが、この短い記事がほんの少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。
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