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日本美適進化論:本音と建前のバランス

組織で働いていると、個人としての意見と立場的な意見のギャップに苛まれることが少なくないと感じます。特にリーダーとして部下の評価に関わる意見を求められた場合、部下視点で共感的に発言すべきか、立場的に厳しく指導すべきか、本音と建前のはざまでどっちつかずな意見なんてことも。

リーダーになると勢いが失せてしまうのは、独学でひねり出した成功法則も、ドブ板でやっつけてきた経験も脇に置いて、とたんに「部下の育成と評価」という新たなスキルを求められるからかも知れません。

しかし、これから「ジョブ型」雇用がスタンダードになるとすると、徐々に建前なんて言ってられなくなるかも知れませんね。

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■■■■■本音と建前のバランス■■■■■■■■

1)メンバーシップ型の人間関係

2)ジョブ型を希望する若手

3)建て前の消滅

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1)メンバーシップ型の人間関係

コロナ禍のテレワーク拡大で社員の評価が難しくなることを受け、企業の雇用システムを「ジョブ型」に切り替える流れがあります。研修機構労働政策研究所長の濱口氏は、ジョブ型を成果達成主義と結びつけて誤解することを危惧しており、そもそも、「ジョブ型」雇用は「就職」、日本の正社員雇用は「メンバーシップ型」で「入社」という認識の違いがあるようです。

「ジョブ型」は細分化された具体的な職(ジョブ)に就く欧米型スペシャリスト、「メンバーシップ型」は企業業同体メンバーの一員として、会社側が別の業務などの配置展開に対応する日本型ゼネラリスト。ただ、今後はメンバーシップ型で入社した社員をジョブ型として評価制度を再構築し導入する流れです。保険業の方々に多くみられる働き方に似ていると感じます。さらに管理職のパーセンテージを減らす企業もあり、リーダーもジョブ型になると「育成と評価」の制度設計も、個々の求める報酬と可能な目標を設計し合意した上でにぎる(ジョブディスプリクション)スタイルとなります。

すると、社内の人間関係に「上下関係」という立場の優位性がなくなり、本音も建前も排除してダクレクトに実現可能な両者の合意点を探さなければなりません。目標数値の根拠に説得力が無いと、提示する上司と受ける部下の間に不信感が生まれる点は要注意ですが、まずうやむやだった企業の評価制度がより行動責任を明確にする契約型に移行すると、スッキリする方も多いのではないでしょうか。社内の人事を巡って人間関係にモヤモヤするよりも、自身の仕事にクリエイティブ性を発揮して、ステップを楽しむほうが建設的です。

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2)ジョブ型を希望する健全な若者

成長意欲とチャレンジ精神旺盛な若手は、もちろん積極的にジョブ型を選択し経験を積もうとします。自分を育てるマインドを自然に身に付けています。これも鬼滅現象でしょうか。私もジョブ型にこだわってきました。入社一年目から数字のプレッシャーを抱える部署に配属された経験は、今となれば感謝しかありません。収益を得るために様々なアイディアと工夫が溢れ、時には男性メーキャップアーティストを育成し過去にない手法で会社とメーカーの大きな利益につなげ、異業種への参入でしたが研修事業で大手企業へ参入することもできました。自分がやってみたいと思ったことを実現する時に、本音と建前はありませんね。本音×本音です。

とにかく、若い時は特にエグいドブ板経験は宝物。経験値に勝る解決法はありません。そういう意味では、コロナ禍の就職戦線を戦う若者の、ジョブ型を受け入れる姿勢は健全だと感じますし、笑えるほどの努力は清々しい思い出として残ります。

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3)建て前の消滅

「こうあるべき」が建前だと、「こんな感じでいいんじゃない?」が本音。存在感として建前の象徴であるリーダーの管理監督が発揮できなくなるリモート化では、全員が「こんな感じでいいんじゃない?」と生産性が落ちる。そもそも「こうあるべき」というリーダーが作り出す空々しい環境下で出す結果と、結果に到達するための体制づくりからクリエイトできる環境では、どちらがストレスなく結果を出すことができるでしょう。

リーダーは、一人ひとりの部下のペースの違いや手段の違いをつかみ、それを伸ばして応援することしかできなくなる。結果、自律的な部下の育成に舵が切れるチャンスだと感じます。いままで手は離しても目は離すなと言われてきましたが、これからは、目を離しても心は離すなということでしょうか。きっと本音でしか心はつかめませんね。



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