イギリスの新しいファッション・インフルエンサーは首相の彼女
4月29日、英ボリス・ジョンソン首相のフィアンセであるキャリー・シモンズさんが、ロンドンの病院で男児を出産した。首相ジョンソン氏がコロナ感染後、集中治療室にて看護を受け、退院後も首相の別荘地チェッカーズでの静養が必要だったりと(実際ジョンソン氏が正式に公務に姿を見せたのは27日からだった)、心労も随分あったと思うが、無事出産され、母子共に健康とのことで国民も胸をなでおろした。シモンズさんにとっては初めて出産だったが、ジョンソン氏には、公にされているだけでも、すでに5人の子供があり、同氏にとっては6人目の子供となる。
さて、このファースト・レディならぬ「ファースト・ガールフレンド」のシモンズさんだが、ジョンソンン氏と交際が発覚して以来、公式の場に出ることが多くなった。余談だが、シモンズさんがジョンソン首相と婚約した際、ジョンソン氏の2回目の離婚がまだ成立しておらず(今年2月に成立)、ジョンソン氏が英首相となり、首相官邸に移り住んだ際、「同居のガールフレンド」として話題を呼んだ。というのも、イギリスの首相が結婚前の恋人と公邸で暮らし始めるのは英国史上初めてのことだったからだ。
その金髪の彼女が最近、ファッション・インフルエンサーとして注目を浴びている。
ちょうちん袖のフクシャ(fuchsia、赤紫)色の花柄ワンピースはイギリスのハイストリートブランド「Ghost」のもの。ヴィスコース(viscose)生地ー再生可能な木材パルプから造られるファブリックーで作られており、£120(約18,000円)のこのワンピースは、ジョンソン氏の首相官邸演説で、シモンズさんが姿を現してから数時間のうちに完売となった。
グラストンベリー・フェスティバルに参加した際に着ていたのは、サスティナブル・ブランド「Justine Tabak」が「Liberty of London 」とコラボレーションしたこれまた花柄のミディアム丈ワンピース。 マイクロプラスチックを含まない生物分解可能な天然ファブリックで出来た、この「Cotton Riding House Dress」は £225(約33,000円)。
コモンウェルス・デイ式典では、ネイビーカラーのヘッドバンドにスティール・ブルー(steel blue、暗青灰色)のコートをまとって。ロンドンベースのファッション・レーベル「Isabelle Fox」のこのコート、海洋を汚すマイクロプラスチックを含まない英国製ウールを使用。お値段は£475(約71,000円)。
ここまできて、皆さんももうお気づきだろうと思うが、サスティナブルかつエシカルな製品を好んで着ているシモンズさん。
実は彼女の仕事は、非営利団体Oceana(ocean conservation organisation)のシニア・アドバイザーであり、世界のプラスティックごみから海洋を守るチャリティー団体のメンバーでもある。つまり、彼女が、地球に優しい原料を使った服を着るのは、自身の活動のキャンペーンの一環ともいえるのだ。
元々、保守党のPR担当で、二人三脚でジョンソン氏を党首選から支えてきたシモンズさん。自己プロデュースには戦略を持っている。
男児の出産により、これからは子供服にまでもサスティナブルなブランドを紹介していくのではないかと、ファッション業界も目が離せない人物の一人だ。