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ヴィパッサナー瞑想合宿ポンコツ紀 上
2024年9月12日から、千葉の山奥へ10日間11泊のヴィパッサナー瞑想合宿に行ってきました。
ヴィパッサナー瞑想とは何ですか?
「ものごとをありのままに見る」という意味のヴィパッサナーは、インドの最も古い瞑想法のひとつです。この瞑想法は2500年以上も昔、インドで、人間すべてに共通する病のための普遍的な治療法、すなわち「生きる技」として指導されました。
サヤジ・ウ・バ・キンの伝統のもとS.N.ゴエンカの指導によるヴィパッサナー瞑想コースは、日本では京都のダンマバーヌ、そして私が参加した千葉のダンマーディッチャの2ヶ所で行われています。
ヴィパッサナー瞑想の体験談を読むと、「脳が冴えわたった」「考え方が一変した」などポジティブな成功談、後日談が目立ち、瞑想法やヨガが未経験の一般人にはハードルが高そうに感じます。「ぜんぜん完璧にできなかったけど、一般人でも、どうにか、本当にどうにかやり遂げた。途中はけっこうサボりもしたけど」みたいな等身大のポンコツ紀行があってもよいのではないかと思い、本当にありのままに書いてみます。
「ヴィパッサナー瞑想にちょっと興味あったけど、自分にはストイックすぎるな」と二の足を踏んでいる方がいたら、こんなポンコツも参加したよと少し緊張をほぐしてもらえたら幸いです。
無職、10日間の瞑想へ行く
「ヴィパッサナー行ったら?」
7月の終わりに無職になることが決まり、時間ができる私に言った友人の一言がきっかけとなります。たまたま直前に読んでいた本で、呼吸瞑想や死の瞑想、そしてヴィパッサナーという単語も認知していました。「あれ、それ聞いたことあるよ?」とホームページを調べ、たまたまその日が次回コースの新規受付開始日だったのです。これは導かれているな?と思いますよね。家に帰り、受付開始の22時にスタンバイして、即座に申し込みました。ヴィパッサナー瞑想コースは本当に人気で、常に2ヶ月先までお席が埋まっています。なので確実に参加したい場合は、コースの新規受付開始日にはきっちりスタンバイし、秒で申し込む必要があります。(もっと直前の日程にキャンセル待ちを入れておくこともできます。でも急に10日間、実質12日間も休めるか?って話ですよね)
「あー。申し込んじゃった、怖いな。でもお席確定かは、まだわからないし」これがこのときの心境です。自分で申し込んでおきながら、何かが怖くて全然行きたくない。本音です。
この頃はまだ会社員でしたので、無職になったら何するの?みたいな同僚との会話の中で「実は瞑想合宿へ申し込んだんだよね」と言うと、「私の友人も何度も行ってるよ!いいなぁ、私も行きたい。すごくいいんだって」という人が。そのあとたまたま遊んだカップルもお知り合いが過去に行っていたりして、なんというか、とにかく引き寄せが強かったです。ヴィパッサナー瞑想という現象が自分を取り囲み始めたな、と感じていました。
そしてお席確定のメールが届いたのです。
入山編
とにかく怖くて行きたくないものですから、コース中の時間割などの予習はおろか、一旦ヴィパッサナー瞑想のことは積極的に忘れていました。どうせ時が来たら行くのだし、と、荷造りも前日まで進めませんでした。
JR外房線の上総一ノ宮駅から民間のバスで指定の集合場所まで、そこからコースの送迎バスでダンマーディッチャへ。上総一ノ宮の駅で降りると、同じくコース参加者の2名の女性が話しかけてくれました。平たく言うとお二人とも経験者。「あれ、ド素人はわたしだけか?」と遠く千葉の果ての地で、早くもアウェイを感じて帰りたい。でも「大丈夫大丈夫できるできる、大丈夫だよ」と何度も語りかけてくれて、まあ全然できなくてもとにかく「過ごそう」と、このときは思っていました。
Day0.いざ、ダンマーディッチャ
送迎バスに乗り合わせ、ダンマーディッチャへ到着。このときすでに男女は区別されています。それぞれの性別のダイニングでまずは受付と、「コース参加の同意」そして、貴重品とスマホ、筆記用具なども全部預けます。ヴィパッサナー瞑想コースはスマホ禁止。「いよいよデジタルデトックスです」とパートナーにLINEし、電源をオフに。
「ペンシルも預けるんですか?」みたいな質問には、「余計なものがないほうが集中できるよ」という回答。そう、コースは全て「私たち参加者が自発的に、集中して瞑想に取り組めること」そういう設計になっているんです。なにがだめというルールはあれど、あくまで、「集中したいという自発性」が最大限に尊重される環境です。
施設の第一印象は、「バリにある年季の入ったグランピング施設」という感じでした。周囲360度が自然に囲まれ余白があり、厳しい修行場という雰囲気は一切ありません。お夕飯としてここでの1食目をいただき、宿舎へ入ります。(メモができない10日間だったため、正直このあたり時系列が前後しているかもしれません)ここでの食事はすべて菜食。牛乳は用意されているので、厳格なヴィーガン食というわけではありません。ダイニングのセンターテーブルにお鍋ごと置かれており、参加者それぞれが食器を持ってよそっていくビュッフェスタイル。なので「食べ足りない」ということはまずありません。
都内からでも長時間の移動になるのでだいぶ体力も使っており、もりもり食べました。殺生禁止のコースですから、おそらくかつお出汁を使っていなかったはず。昆布とお野菜だけの出汁に慣れていなかったので、汁物の味がぼんやりしていました。宿舎と水場はゲストハウススタイル。左右はしっかりした壁、入口はカーテンで仕切られた個室が与えられ、想像以上に快適です。激安旅行ドミトリー育ちの私にとっては、そのへんのドミより全然整ってる!瞑想用のスペースもそれぞれの個室に用意されています。
滞在中のオリエンテーションを終え、いよいよ瞑想ホールへ。自治体の体育館のような広さです。ホールでの瞑想は坐る場所が指定されています。あとから知ったことですが、経験者”古い生徒”さんが前列へ、未経験者”新しい生徒”さんが後列となっているようでした。そして最前列にはダンマシートと呼ばれる、先生が坐る場所。1時間軽く坐ります。わたし、瞑想ってしたことなくて(それでよく参加したな!?と、今でも思っています)、とにかく見よう見まねで胡坐を組んでみる。周りがやってるように、目を瞑ってみる。うんうん、いけそ・・いけない。これはできない。背中が痛い、背筋も呼吸も安定しない。そして頭も痛くなってきた。なにより、人一倍集中力がなく、特に「周囲の環境に気を取られやすい」私は、1時間、目を瞑っていることすらできませんでした。
「それではお休みください」
先生の号令で、ホールは解散。寝支度を済ませ、ドミで休みます。0日目、終了。21時。明日からいよいよ、本格的な修行が始まります。
アーナーパーナ編
ヴィパッサナー瞑想コースの最初の3日間は、アーナーパーナと呼ばれる呼吸瞑想を実践します。上唇を底辺とした鼻孔から結ぶ三角形に意識を集中させます。それを、基本1時間ワンセット。
Day1.私リトリートに来たんで
4時起床。10日間の時間割は厳格に決まっています。
午前4時:起床
午前4時30分~6時30分:ホールまたは自分の部屋で瞑想(★)
午前6時30分~8時:朝食と休憩
午前8時~9時:ホールにてグループ瞑想(☆)
午前9時~11時:ホールまたは自分の部屋で瞑想(★)
午前11時~12時:昼食
午後12時~1時:休憩および指導者への質問
午後1時~2時30分:ホールまたは自分の部屋で瞑想(★)
午後2時30分~3時30分:ホールにてグループ瞑想(☆)
午後3時30分~5時:ホールまたは自分の部屋で瞑想(★)
午後5時~6時:ティータイム
午後6時~7時:ホールにてグループ瞑想(☆)
午後7時~8時15分:講話
午後8時15分~9時:ホールまたは自分の部屋で瞑想(★)
(※実際には以下でした)
午後7時~8時30分:講話
午後8時30分~9時:ホールにてグループ瞑想(☆)
午後9時~9時30分:ホールにて質問
午後9時30分:就寝
(※実際には以下でした)
午後9時:ホールにて質問、なければ就寝
午後10時00分:消灯
ご覧の通り、起きている時間のほとんどが瞑想にあてられます。起きて瞑想してご飯食べて休憩して瞑想して瞑想してご飯食べて休憩し、瞑想して瞑想、ティータイムを挟み、瞑想して講話を聞いて瞑想し、寝ます。
わかりやすく印をつけてみました。(★)はホールに来なくてもよい、自室での瞑想が許可された時間です。以後、この記事では”自習時間”とします。(☆)はホールに行くことがマストで、1時間退席は不可。たまにお席が埋まっていなかったりすると、コースマネージャーが呼びに行ったり、様子を伺ったりしているようでした。仮に体調が悪ければ欠席もできますが、「全員の出欠意思」が確認できるまで、瞑想は始まりません。
私は絶対に4時に起きられないな、と確信していたので、シャワーの時間を逆に朝イチに固定しました。自習時間は休憩ではないので、シャワーや洗濯をしてはいけません。一度、コース中のシャワーの時間枠を決めたら、原則は動かすことも控えてください、ということでした。
この日は4時に起き、シャワーを浴び、自室に戻りすぐ寝ました。朝食の時間に起き出しご飯を食べまた寝て、マストの8時にどうにか瞑想ホールへ。1時間、ぜんぜん目を瞑っていられないし、体も固定できない。雑念ばかりで、集中できない。なによりすごく頭が痛くて、「あぁ、変則的に寝てしまってるせいだな」と考えていました。午後もそんな感じで、自習時間は適当にやり過ごし、マストのグループ瞑想にだけもたもた参加していました。少し罪悪感はありましたが、「私はメディテーションではなくて、リトリートに来ている。快適なくらいのゆるいストイックさを楽しんで、田舎でのんびり過ごすんだ」と、瞑想なんて他人事のように考えていました。
Day2からは、中巻へ続きます。
この記事は広く読んでほしいため、ダンマーディッチャと同じくドネーションスタイルにしてみました。もし良いね!と思ってくださいましたら、ぜひサポートをよろしくお願いします。
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