No.10🛏突然の入院🛏
5日間の休みが明けた9月下旬。仕事へ向かう途中、混み合う電車の中でふと嘔気が出現しました。押し寄せる嘔気に揺さぶられ駅に着き、私はホームのお手洗いへ駆け込み、嘔吐してしまいました。嘔吐後も気分不快は消失せず、職場へ現状の報告をしました。上司は迎えに行こうかと心配してくれましたが、これ以上迷惑をかけることもできないので、お休みだけさせてもらうことになりました。
不快感に苛まれながら自宅の最寄り駅まで帰ると、焦燥しきった父が迎えに来ていました。嘔気は治まらず、更に全身倦怠感や脱力感まで出現し始めました。尋常でないことを察知した両親は医療センターの救急外来に連絡を入れ、直ぐに車で向かいました。
医療センターに到着し、歩行困難のため車いすを借りました。急いで受付を済ませようとしたときには、(もう私は覚えていませんが)意識は朦朧としており、看護師さんが状態を見に来た時にはすでに自分で動くことも話すこともできなくなっており、そのまま意識を失いました。
そして初めて痙攣発作が出現したのです。両上肢のみに10秒に1回強の痙攣を起こしていたそうです。嘔気・嘔吐症状があった為、消化器系疾患の疑いで採血やX-P検査を行いました。しかしその疑いは消え、原因はDLBのミオクローヌス発作(突然の電撃的な不随意運動)ということが判明しました。
意識が消失し痙攣発作を起こしたこと、ADL(生活上必要な動作)に全介助が必要であることを踏まえすぐに対応できるように、体調が落ち着くまでは入院したほうがいい、と説明があり両親は同意し帰宅したそうです。
病室のベッドに運ばれる時にはすでに4時間近く経過していたでしょうか、点滴治療の成果もあり意識はかなり戻り始めていました。私一人を病室に残して外来に戻ろうとする看護師さんの白衣を引っ張り、「どこに行くんですか?私は?」と子どものように縋ると、病棟の看護師さんが「痙攣発作があったので入院することになったんです。私が担当ですから大丈夫ですよ。」と笑顔で答え、状況を把握することができました。
3本の点滴につながれている自分の腕を見て、「このまま自分が壊れ消えていく感覚」に陥りました。そしてやはり「進行」という言葉が頭をよぎるのです。
どうか、もう少しだけ、私に時間をください。
大切で、大好きな家族と引き離さないでください。
諦めずに、負けずに頑張るから、どうか、どうかお願いします。
消灯前の病室の明かりがおぼろげに映る窓を通して、夜の深さを見ていました。