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mamezouya
日記5月29日(土)。 #日記 三浦健太郎氏を悼む。
5月6日(木)、漫画家の三浦健太郎氏が逝去されていたことを、5月21日(金)の読売新聞朝刊で知った。享年54歳。
本当に創造的なもの、本当に「ここにしかないもの」は、母国語のアーカイブから汲み出すしかない。
内田樹 サル化する社会 P.235 文藝春秋刊 2020年
三浦氏の創造した、ヒロイックファンタジーの主人公であるガッツは、幼少時よりファンタジーにひどく心惹かれて来た私にとって、豹頭のグイン以降心に残る、2大和製ヒーローである。
半神、あるいは神そのものであるかもしれない、そしてそれに比して潜在的にはどのような難敵とでも戦えるヒーローとしてグインはいる。だがガッツは、人間としては無双であっても、相手が半神、あるいは神であれば、翻弄され、傷つき、苦悩する。決して一方的に敗れるわけではない。神に対してですら。まさにガッツは、この生、生まれるという刻印を秘めてただ生きてゆくという人間を体現し、その姿から神をも測る存在でもあったと思う。
神々に対する人間の、最も熱い魂の投げかけ、問いとして、ガッツはいつも存在する。
記憶がなく、自らの存在を自ら疑うグイン。あるいは人かもしれない。だが神なのかもしれない。だが、ガッツは。とことん、どうしようもなく、人間だ。人間から神に駆け上がるものがいる。そのことへのあこがれと疑問こそが、ガッツの辿ってきた道の理由でもあるのだろう。
三浦さんの逝去により、ガッツの旅の終わりは三浦さんの筆によっては我々は見ることができない。そしてグインの旅もまた。
残念に思うのと同時に、それが、それこそが永遠のヒーロー、未来永劫続く彼らの魂の旅の、姿であるのかもしれない、とも思っている。
(1989年から三浦さんはガッツの旅を描かれています。私が知ったのは途中からですが、私が社会人として苦悩する横で、ガッツが並走していてくれた気がします)
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