10月6日 文系と理系問題。 「三体」とポアンカレの「三体問題」など。
ポアンカレは書いている、「突如として啓示を受けることはある。しかしそれは無意識下で思索的研究がずっと継続していたことを示しているのだ」。
松岡正剛 「千夜千冊」 18夜 アンリ・ポアンカレ 「科学と方法」
科学と方法―改訳 (岩波文庫 青 902-2)
あるときポアンカレは、次のような課題をノートに書いた。「すべての惑星は現在の軌道とほとんど同じ軌道上を、今後も運動しつづけるのだろうか。それとも太陽系外に飛び去ってしまったり、太陽に衝突したりする惑星もあるのだろうか」。
これはとんでもない問いだった。ニュートン力学では宇宙における2つの天体は、2つの間の運動方程式(微分方程式)を積分すれば安定した周期解をもつことができた。けれども三体あるいはそれ以上の多体があると、どうなるか。ニュートンの後継者たちは三体あるいは多体の系についても運動方程式を積分して解くことを試みたのだが、すべて積分不能となって行きづまってしまったのだ。方程式は書けるものの、それを解くのがきわめて難しかった。ポアンカレはこのことについて、三体問題を積分法で解くことは不可能であることをあっさり証明してみせた。
松岡正剛 「千夜千冊」 18夜 アンリ・ポアンカレ 「科学と方法」
中国版「三体」を見たことをこの前の日記で書いたのだが、その中で数学者がただとにかくずっと方程式を書きまくっているシーンが印象的であった。
数学をやると本当に”脳が沸騰しそうになる”私としては全くわからない世界であるが、松岡氏のポアンカレの項を読んでいて、
そうか、「三体」の元ネタはポアンカレであったのか、と合点した。
三体 (ハヤカワ文庫SF)
作者:劉 慈欣
こんなことを偉そうに言っているが、実際に本の三体を読んでいるかたはとうにご存じのことなのだろう。
ポアンカレは既に「解がないことを証明している」。
なので、「三体人」は滅びを繰り返すことを、運命づけられた人々としてそもそも想定されたのだ。
なるほど。
与えられた条件の違う2つの惑星。
より進歩しやすいのは、2つの天体同士の関係で済む、地球と太陽。
なるほどなるほど。
(思考実験、の面白さ、でしょうか。今日はほとんど引用ですみません。。。)