2022秋アニメ感想まとめ
2022秋アニメの感想をランキング形式でまとめています。
※『かがみの孤城』の感想を追記しました。(2023/1/7)
<26位> 忍の一時
評価:B-
お気に入りキャラ:鈴ノ音涼子
自分が「忍者」という要素が基本的に好きなこともあり序盤は期待度込みでそこそこ楽しめたのだが、終わってみれば「結局何がやりたかったのか」という一言に尽きるという結果に。全ての作品にメッセージ性を求めているわけではないが、「忍者である必要はあったのか」「あったとしてそこから伝えたいことは何だったのか」という質問を矢継ぎ早にしたくなる時点でお察しである。単純にヒーローものとして捉えてみても主人公の一時が序盤から中盤にかけてはほぼ戦力外だったのにも関わらず、終盤に秘伝忍核のブーストがかかってからは謎の強さ(そして特に説明もされない体への負担)を発揮するのも唐突に過ぎカタルシスも何もあったものではなかった。さらに不殺主義を敵の親玉に咎められたあげく最後の汚れ仕事は大人に丸投げと消化不良感もハンパなかった。オリジナルアニメのシナリオはなぜこんなにもクオリティが安定しないのか、それが知りたい。
<25位> 転生したら剣でした
評価:B
お気に入りキャラ:フラン
良くも悪くも異世界転生ものらしい異世界転生もの。なお、主人公は剣の模様。色々チート設定が過ぎるのでいくら窮地に陥ろうとも”ピンチ(笑)”という感じなのだが、黒猫族の少女フランと剣(師匠)の師弟関係は微笑ましく娘を強く育てようとする父親のような気分にもなり、その二人三脚感がなかなか心地よくもあった。こうした系統の作品はスキルの収集やステータスの成長をゲーム的な感覚で楽しみ、そして何よりも主人公の無双感を気持ちよく感じてしまう限り無くならないんだろうなと繰り返し思う。でも、後半で化けるかもなどと考え始めてしまったらなかなか視聴も止められないのは困ったものである。こうなったら、一度アニメ業界の総意として「異世界転生もの」はしばらく制作禁止にしても良いのではないだろうか。それぐらいしないと、なんだかんだ見てしまう層はいなくならないし、その設定の価値についても改めて議論が進むかもしれないのだから…。
<24位> 恋愛フロップス
評価:B+
お気に入りキャラ:カリン・イステル アメリア・アーヴィング
前期の『異世界ハーレム』の制作会社であるパッショーネによる若干イカれた(褒め言葉)ラブコメディ。“そうはならんだろwww”というツッコミどころが満載で、主人公もかなり天然が入っているので想定以上に楽しい…いや楽しかったと言うべきか。先の読めないオリジナルアニメということでシナリオへの期待度も高かったのだが、AIという電脳の世界観が浸食してきてからは全く望んでいない方向にストーリーが進み始め、こんなシリアスいらないんだけどなあ…という思いが募るように。序盤のラブコメや下ネタ色が強かった頃の方が個人的には断然好みであり、パンツをハンカチと間違えて女の子に返却するというような冷静に考えなくてもあり得ない展開を真剣にやってしまうような空気感こそ本作品の一番伸ばすべき長所ではなかったのか。あと、ゴムの妖精(ソド)のデザインやばすぎワラタ(笑) 語尾も”ゴム”だし発言も危険すぎて色々アウトすぎる(笑笑)
<23位> マブラヴ オルタネイティヴ
評価:B+
お気に入りキャラ:御剣冥夜
「元の世界」へ逃げ込んだ武であったが因果導体となっていたため世界の運命からは逃れられず…といった後半戦序盤は鬱展開でありながらその衝撃に今後の期待感も増したのだが、そこからは思いの外伸び悩んだ印象。前半戦のような人間同士のいざこざは最も避けて欲しかったところであったので、BETAとの戦いに終始した点は良かったものの、今度は佐渡島の防衛線を死守する軍事的なノリが続きストーリーがどこに向かっているのかが掴めなくなった印象。伊隅隊長の最後の言葉は感動的ではあったものの、結局は戦術的自爆で島ごと吹き飛ばして終わりというのでは展開的にはカタルシスに欠けた。そして、何より一番残念だったのは満を持してのアニメ化だったのにも関わらず、ストーリーが道半ばのような形で終わってしまったこと。原作がそもそも完結していないのかもしれないが、盛大な肩透かし感は否めなかった。原作ファンの感想が聞きたいなあ…。
<22位> 宇崎ちゃんは遊びたい!ω
評価:A-
お気に入りキャラ:亜細亜美
ウザ可愛い後輩の宇崎ちゃんを愛でるだけの簡単なお仕事なのだが、個人的にはあんまり宇崎ちゃんのビジュアルも性格も好みではないのでそれだけでは物足りない。返す返す、高校生の頃の可憐なビジュアルと素直な性格の宇崎ちゃんがしみじみと偲ばれる。よって、亜実先輩が竹達ボイスでハァハァしているところ(謎の既視感)を見るのが個人的には一番の見所となっており、共に白米片手に視聴の日々であった。2期では桜井と宇崎ちゃんがようやくお互いの気持ちに気付くところとなり、今後の関係性やいかにと思いきやそこに辿り着いたのが最終回だったりする。う~ん、この…。今回一番面白かったのは、桜井の通うジムで恋愛相談でもお世話になっていたトレーナーの藤さんがなんと宇崎ちゃんのパパだった件。当然、宇崎家へのお呼ばれ回ではまさかの対面と修羅場が待ち受けていたわけで(笑) しかし、月さんが奥さんとか実にうらやまけしからんなあ…。
<21位> 弱虫ペダル LIMIT BREAK
評価:A-
お気に入りキャラ:御堂筋翔
これにて5期を迎え、原作も既刊81巻とは偉業の一言である。インターハイも最終日を迎え、「ここからが長いんだろうなあ…」という予感は多分当たるのだろうが(笑)、もう存分に好きなようにやってくれというしかない(褒め言葉)。おそらくこれから一波乱を起こすであろう京伏・御堂筋の語る新たなフェイズも楽しみではあるが、それを含めても結局はいつもの総北・箱学・京伏の三つ巴に落ち着いたのは個人的にはちと残念。せっかくの2年目なのだから、新勢力の高校の台頭を描いても良かったのではというのは今更ながら感じたところ。各キャラやカップリングに対するファンの熱も高い作品であるので、卒業したメンバーがちょくちょく顔を見せたりと既存キャラの出番を大事にする姿勢は間違ってはいないのだろうが、逆にそれが「見せ場を作らなくてはいけない」というような縛りにもなってしまっているように思えたのも、きっと気のせいではないに違いない。
<20位> メガトン級ムサシ
評価:A-
お気に入りキャラ:アーシェム・ライア
前半戦で風呂敷は広げきった感はあるので、後はこれをどう畳んでいくのかが楽しみであった後半戦。全28話ということで完結はまだなのだが、ここまでは特に破綻もしていないが小さく無難にまとまってしまった印象。あれもこれもと欲張ったり目新しいことをやろうとしすぎたりしてどこに向かっているのか分からなくなってしまうよりはマシなのだが、このまま地球人とドラクターの共存が成立して終わりではちと物足りない。最注目であった地球人と異星人のハイブリッドの生命の扱いも小さく、そもそも赤ん坊のままでどうやってストーリーの要点に絡めるのかも謎である。これなら、いっそ後半戦の時系列を前半戦の10年後に飛ばすなどして一人のキャラとして扱いやすくすれば、ストーリーにも転機とメリハリがついて良かったのでは。もちろん、最終話を見た後には全力で謝罪している可能性は残されているので、終盤戦での劇的な展開には大いに期待している。
<19位> うる星やつら
評価:A-
お気に入りキャラ:三宅しのぶ
個人的に今期最注目作品の一角だったが、1話を見てそんなにハードル上げて見るもんでもないかなと思い直した。これは別に悪い意味ではなく、ある意味『こち亀』のように常にそこにいてくれる安心感を長期的に楽しむ方が正しい見方の気がする。据え置き電話でのやり取りなど昭和臭を残してくれたのは高ポイントだが、OPが“あの曲”じゃなかったことに落胆した人は多そう。さすがにリアルタイム世代ではないので思い出補正なども薄めなのだが、声優陣はことごとくハマっているしキャラデザもこれまでの留美子作品のアニメの中でも特に”らしさ”を色濃く反映した仕上がりであり満足感は高い。個人的には”ちゅどーん”みたいな平仮名表記による効果音が主流だった頃のギャグセンスがお気に入りなので、本作品の作風は好みまっしぐら。(多用されすぎなきらいはあるが)伝統の留美子ハンドと合わせてこの懐かしいワチャワチャ感を引き続き楽しんでいきたい。
<18位> 僕のヒーローアカデミア
評価:A-
お気に入りキャラ:トガヒミコ
個人的にお気に入りのトガちゃんと荼毘の出番も多く、ヴィラン連合側のドラマに重きが置かれた6期。荼毘のまさかの出自には驚かされたが、「炎系の個性はそこまで珍しくない」ことを踏まえても全くその発想はなかった件。元々ビジュアルもお気に入りで”青い炎”という唯一無二感からもリーダー的立場ではないもののカリスマ性溢れる華を感じていたキャラであるが、なんだか一気に庶民感というか人間味が出てきてしまって素直に歓迎できる秘密ではなかったかもしれない。ヒ-ロー側はことごとく”トガヒミコ”とフルネームで呼ぶのに対し、”トガちゃん”と親しげに呼ぶトゥワイスと彼女の関係性も好きだったのだが、こちらもまさかの展開。ヒーロー側のそれが”職務に殉じる”という様相を深く帯びるのに対し、ヴィラン連合側のそれは人間ドラマに深く切り込んでいるため、よりエッジが利いてるなあ…と。善良なヒーローとしてのカッコ良さを極めるのは難しいわね。
<17位> 4人はそれぞれウソをつく
評価:A
お気に入りキャラ:千代
「宇宙人×抜け忍×超能力者×女装男子」の4人組が正体を隠しながらワイワイするお話で、『ハルヒちゃん』と『SPY×FAMILY』のごった煮みたいな印象。まあこれも女子中学生(※男の娘含む。)がやるから面白いという典型例みたいな作品であり、それ以上でも以下でもないというのは確かなのだが、別にギャグはスベってはいないしむやみやたらな過剰なノリやツッコミもないしで、気軽にクスリと笑いながら見られるという点では無難に面白かった。恋愛絡みの話もお互いに気を使いながらそれが裏目に出たり出なかったりとあくまでも友情ベースの話に終始したのは好印象。特に人の心が読める超能力者の関根がそうなのだが、各々が隠している能力や立場だからこそ見えてくる一人称視点も神の視点である視聴者には筒抜けでありなかなか練られた展開のようにも見え、実は計算され尽くした作品であったのかもしれない。あ、最後に関根は十分美少女だと思うぞ。
<16位> 不徳のギルド
評価:A-
お気に入りキャラ:トキシッコ・ダナー
”不徳”の名に恥じないお色気展開満載の冒険活劇。主人公のキクルが残念系冒険者のヒロインたちにやれやれと溜息を付きながらも、なんだかんだ賑やかに指導していく様は『このすば』にも通じるものがあり自然と頬も緩んでしまう。そして、金子ひらく先生がキャラデザを手掛けるヒロインズはフェチズムを大いにそそる豊満なプニプニボディあり、ツルペタあり、男の娘あり、反則級のダイナマイトボディあり、おまけに人妻もありとオフサイドラインスレスレをすり抜けた猛者だらけ。お気に入りキャラに挙げたトキシッコがなんだかんだ一番平凡な気がしてきたが、体力ゼロで引きこもり気質のダメ黒魔術師ながらも”ダンナ”と呼んで慕ってくれる様が最高に可愛いのでそれが正義なのである。当然のように規制は満載なのだが、これはBDを買う決断をした猛者のみに与えられる特権であろう。いや、購入する動機としては最も純粋で真っ当な理由だと思うよ、ホントマジで。
<15位> 不滅のあなたへ
評価:A
お気に入りキャラ:エコ
1期放送時の時代設定から数十年後、数々の出会いと別れを経て人間らしい感情を持つ存在に近づきつつあったフシが、長い充電期間の後に再び人類のために奔走する様を描いた2期。初期に出会った人々との交流では未知との遭遇からの刺激による成長・学習という受動的な観点が強く表に出ていたが、彼らの姿かたちや意思を引き継いだフシが自らの意思でノッカーの脅威から人々を守るために能動的に行動するようになった結果、そのための仲間や能力を求める過程で再び人間からは離れた存在になろうとしているのはなんとも皮肉である。設定が独特すぎて全く先が読めない作品ではあるが、不滅でありながらも万能ではないフシが仲間の協力を得て共闘しようとする姿、そして何よりも”守るもの”を得たその姿は生まれた当時のそれとはかけ離れており、たとえ再び人間ではないものへと近づこうとも、その意味は全く異なってくるのは間違いないだろう。
<14位> 夫婦以上、恋人未満。
評価:A
お気に入りキャラ:渡辺星
主人公にはなぜか優しいギャルと一途な幼馴染というオタクの二大欲求とも呼べるダブルヒロインからの両手に花状態を満喫できる古典的でありながら時流をも捉えているともいえる甘々なラブコメディ。そして、メインヒロインはギャルの方だというのも昨今の風潮なら然りか。学校における「夫婦実習」の授業という強引すぎる設定で同棲生活をすることとなったギャルヒロインからのツンデレなアプローチ描写も存外攻めており、一線を超えることはなくとも十分刺激的なレベルに達していてご馳走様の一言。そんな生活状態であるので、むしろ主人公の本来の本命であったはずの幼馴染ヒロインとの逢瀬の方がダブル不倫のような背徳感を醸し出すこととなり、色々と美味しい結果を導き出しているのは作者の計算通りか。そんな設定が絶妙に自分の好みと合致してしまい想像以上に楽しめたというのが正直な感想であり、なんだか悔しい気分にすらなってしまった。
<13位> 陰の実力者になりたくて!
評価:A
お気に入りキャラ:ローズ・オリアナ
文字通り影の実力を秘めていた作品。異世界転生をある意味上手く活かした設定だとは思うが、”影の実力者”に憧れる主人公が絶妙にやる気の無い態度でモブを演じ、飄々そして粛々淡々と陰の組織「シャドウガーデン」を率いながら”本物”として暗躍していく様はいわゆる”やれやれ系主人公”では感じられない爽快感を有しており存外楽しめた。配下のメンバーも例外なく美女で有能な者たちばかりで、その全員が主人公を心から慕っているのがまた心地よい。このように中二病要素を一切隠そうとしないどころかむしろその何たるかをしっかり自覚しながら、ある意味”メタ的に”主人公自ら積極的に楽しんでいくという描写は一周回って新鮮味があり、綿密に設定を練らなければ成立しない作品だということに他ならない。あと、ヒロインからの好意を「愛とか幸せとか未来とか…典型的なアレだ。宗教の勧誘だな」と一蹴したのは見事。こういう関係性好きすぎる(笑)
<12位> アキバ冥途戦争
評価:A
お気に入りキャラ:万年嵐子
良くも悪くも嵐子の姐さん(35)の双肩に全てが掛かっていたカオスなオリジナルアニメ。1999年におけるメイド文化発祥の地アキバを舞台に本気のドンパチが日常的に繰り広げられ、ネームドキャラであっても時にあっけなくバッタバッタと散っていく様は”冥途戦争”の名に恥じない様相であった。愛とは何か、勇気とは何かを我々に改めて問いただす壮大なドラマ(嘘)は、弱肉強食の世界で生きる獣たちの生き様そのものであり、これが今なお語り継がれる伝説の「アキバ冥途戦争」だったのである(大嘘)。佐藤利奈さんのCVが光る嵐子の姐さん(35)の任侠に厚い強烈な年増メイドキャラもさることながら、高垣彩陽さんのCVがこれまた光る店長のクズっぷりが盛大に苦笑いを誘い、我々をけして飽きさせなかった。『ピングドラム』のような鬼才溢れるオリジナルアニメであったが、「とんとことん」が現実にあるなら是非一度訪れて豚さんメイドの給仕を受けてみたいものである。
<11位> ブルーロック
評価:A
お気に入りキャラ:國神錬介
『アオアシ』の後に視聴してしまうとどうしても設定のフィクション性が悪目立ちしてしまうが、「ストライカーはエゴイストであれ」というたった一人の“英雄”を追い求める展開は、前者とは真逆のFW至上主義を突き詰める格好の対比像となっている。本作品の舞台は「ブルーロック(青い監獄)プロジェクト」というフィクションが過ぎる設定であるし、ストライカーだけを集めてチームとして試合をさせるなど無茶振りもいいところである。しかし、最初は選手たちも戸惑っていたもののチームとして様になった時のカタルシスは中々のもので、フィクションでありながら現実のサッカーの技術に直結する描写もあり、やはりリアリティとは完全には切り離されていないのが今の時代に支持を受けるスポーツ作品の必須要素なのだと再確認した。個人的な好みなら『アオアシ』の方が断然上なのだが、これはこれでアリと思えるぐらいには楽しめたので後半戦も引き続き楽しみにしたい。
<10位> Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-
評価:A
お気に入りキャラ:ジョブ子/ジュリエット・クイーン・エリザベス8世
オリジナルアニメでゆるい日常系って前はいつあったっけ?と考え込んでしまうほど、存在自体が非常に貴重な作品。故に爆発的なヒキはなくとも、ひたすらに「ありがたや~」という気持ちになってしまう。本作品のアイデンティティであるDIY要素と日常系要素との相性も良好であり、基本ほのぼの時々ホロリと1クールゆるゆると和ませてくれた。野外活動といえば、やはり『ゆるキャン△』と比較したくなってしまうのが人情なのだが、本作品におけるDIYについてはキャンプのようなブームを巻き起こすには至らないのではというのが率直な感想。思うに、キャンプは道具を揃えて然るべき手順を踏めばお手軽にそれらしい体験ができるのに対して、DIYはなにもかも自分で考えて工夫して創造していかなくてはいけないという点で、ハードルを高く感じてしまうのである。作画面ももう一押し欲しかったというのが本音で、あと少しで化けそうな惜しい作品という印象であった。
<9位> 異世界おじさん
評価:A+
お気に入りキャラ:メイベル
異世界そのものの話じゃなくて、そこから帰還したおじさんが回想としてそれを語るという構成が面白い。おじさんが熱烈なセガファンだというのも懐かしくて、ドリキャス民としては多分に共感できる部分もある。セガサターンには手を出せなくて、ほぼほぼ『サクラ大戦3』のためにドリキャスを買ったようなもんだったけど、そういえば『君望』に出会ったのもドリキャスだったなあ…(遠い目) おじさんじゃないけど、オタクとしての転機にセガハードが絡んでいる人は自分も含めて案外多いのかもしれない。『サクラ大戦』シリーズが下火になっていったのも絶対にセガのハード事業からの撤退が一因だし、セガのハードが現在も残っている世界線はこの世界線とは大幅にゲーム市場の勢力図が異なっている可能性もある。つまりそれは現実世界のシュタインズ・ゲートにもなり得たのかもしれない。話が逸れてしまったが、本作品は発想の勝利だということ。それは間違いない。
<8位> BLEACH 千年血戦篇
評価:A+
お気に入りキャラ:バンビエッタ・バスターバイン
『BLEACH』の最終章がここに来てまさかの映像化。そして、期待以上のクオリティに正直驚いた。それは映像クオリティの観点からもそうなのだが、当時は盛大な後付け感を感じていた一護の生まれのルーツにしても、テンポ良く映像でまとめられるとなんだか納得できてしまったし、綺麗に分かりやすくまとまっている点で原作以上に魅力的に感じた場面も多かった。さらに、総隊長・山本元柳斎重國の敗北、隊長格の死神たちが滅却師に「卍解」を奪われるというショッキングな展開も、原作既読であればこの後の展開を憂いることなく安心感を持って見られたということもあり、リアルタイムで追っていた時よりもむしろ作品としての完成度は高くなったように思えた。総じて、”ここに来て”という制作タイミングが進化したアニメ技術の力と思い出補正とのバランスにおいても絶妙に噛み合い、特に当時の読者にとって非常に”刺さる”理想的な映像化になったといえるだろう。
<7位> SPY×FAMILY
評価:A+
お気に入りキャラ:フィオナ・フロスト/夜帷
もはや安定感しか感じない後半戦。OP映像でもピックアップが目立ったヨルさんの”妻”としての可愛らしい描写も増え、これを待ち望んでいたファンも多かったのでは。個人的にはフィオナの先輩好き好き攻勢がめちゃくちゃツボにハマり、定期的にこのシナリオは挿入し続けてほしい。主人公ラブ勢のヒロインにはなんでこんなに惹かれてしまうのかしら…(大抵推しキャラになる模様)。結果的に(むしろ計算して?)、アーニャがフィオナを拒否するためにヨルさんに可愛く甘えたり、ヨルさん自身も危機感を感じて焦ったりロイドに迫ったりと”美味しい”場面も大いに増え、実に効果的なスパイスであった。ただ、ヨルさんでは1を10にできても0を1にはできないのもまた真実。やはりアーニャの学校生活パートが本作品の神髄だと確信しているので、そこはこれからも一番重視してほしいところ。次男がアーニャにツンデレ対応する場面は毎回ニヤニヤしてしまうんよなあ…(笑)
<6位> うたわれるもの 二人の白皇
評価:A+
お気に入りキャラ:クオン
壮大な三部作の物語も遂に完結。利根健太朗さんによるハク(≠オシュトル)の演技もどんどん”らしく”かつてと重なるものへと化けてゆき、シナリオ外からも涙腺を刺激されて堪らなかった。特に終盤は自身の前二作の記憶に朧げな部分があったのが実に惜しいと感じられるぐらい、「集大成」に相応しい過去のキャラの再集結や懐かしい楽曲、受け継がれてきたものたちによる名シーンの目白押しであり、ひたすらに「ありがたや~」と言いたくなるような感慨で胸がいっぱいに。自分は原作勢ではないのだが、この20年越しの壮大な物語の全編映像化は偉業という他なく、おそらく原作勢にとっても納得し満足できる”作品愛”に満ちたものであったと信じたい。 本シリーズではLeaf(アクアプラス)の底力を改めて見せつけられたという印象であり、『マブラヴ』シリーズと同様にかつて魅了された老舗ブランドの活躍はやはり嬉しく、その貫録をこれからも見せ続けてほしい。
<5位> ぼっち・ざ・ろっく!
評価:A+
お気に入りキャラ:廣井きくり
『けいおん!』をリアルタイムで追えなかった世代にとっては、「待ってた」の一言では。普通なら「パクリ乙」の一言で一蹴されてしまいそうな作風だが、彼ら彼女らにとっては正に救世主。ようやく同じ土俵に立てたような心地になった人も多かっただろう。それぐらいオタク界にとっての”歓喜”が肌で感じられ、ゆるく尊い日常と熱いライブシーンの夢のコラボレーションに自身も大いに胸が高鳴った。キャラ面ではぼっちが引きこもり気質と溶けるスライム化の演出により、CloverWorksによるバフ効果も相まって主人公らしい(?)活躍を見せ、きくり姐さんのアル中まっしぐらのハチャメチャぶりも実に楽しかった。メイン4人の「赤、青、黄+桃」の三原色+αという立ち位置もなるほどなと。楽曲も耳に残りやすいクオリティの高いものが多く、特に「なにが悪い」がお気に入り。若干不完全燃焼に終わった文化祭ライブ然り、次学年への持ち越し感もあったので2期は必然だな…。
<4位> チェンソーマン
評価:S-
お気に入りキャラ:パワー
正にMAPPAの本気を見せつける圧巻のクオリティ。作品独自の空気感を見事に反映させた映像作品としての完成度は原作未読勢の自分にも存分に感じられるところであり、限りなく最適解に近いものが見られたという満足感を存分に感じられた。ストーリー自体はそこまで奇抜なものではないし、スプラッタの要素も自分にとってはそこまで重要視するものでもない。ただ、その世界観に居住するキャラたちの大きくて小さくて、そして人間らしくて悪魔らしい矜持がぶつかり合えば、理不尽で時に暴力的かつ猟奇的な命のやり取りも然り、たまに訪れる平穏なひとときも然りと自然と首肯してしまうのである。それに特に大きく貢献しているのが内外両面のキャラ造形の秀逸さ。デンジの歪で極端な幸福論、パワーの自由奔放なハチャメチャぶり、アキの身を削る生き様、マキマの茶目っ気と底知れぬ不気味さ等々、作者のその非凡なセンスがやはり本作品の一番の見所であろう。
<3位> ヤマノススメ Next Summit
評価:S-
お気に入りキャラ:倉上ひなた
4話までは1期から3期までの要所の振り返りという斬新なシリーズ構成。ここからでも未視聴の人にもオススメできるストーリーのツボを抑えた良いまとめ方であったので、個人的には肯定的に捉えたい。ビターな風味も含みながらもしっかりと”エモさ”を内に秘めた本作品らしいシナリオの神髄がありとあらゆる場面に詰まっており、毎回何かしら涙腺を刺激されていた気がする。高校に入学し登山を始めてからの日々で育まれたあおいの精神面・体力面の着実な成長と、それを時に複雑な思いで見つめつつも一番近くで支えてきたひなたの友情がここに来て実に眩しい。そして、間違って地上に下りてきてしまった天使のここなちゃん、一見自由人だが周りをしっかり見て皆を引っ張っていける楓さんの配置の完成度についても改めて唸ってしまった。EDは楽曲の素晴らしさもさることながら毎回描き下ろしのイラストがエモエモのエモ。いや~最後までいい締め方だったなあ…。
<2位> 惑星のさみだれ
評価:S
お気に入りキャラ:月代雪待
大正義アニメ勢である自分には原作ファンの手厳しい意見もなんのその。物語が進むにつれて加速する圧倒的な熱さと勢いに毎週涙腺が刺激されっぱなしだった。ただ、徐々に原作でも(アニメ放送を追い越さないように)追っていったところ、原作ファンの言わんとしていることも分からなくはないなと思えたのもまた事実。この辺りの考察は別記事でも執筆をしてみたい。ビスケットハンマーによる地球の破壊という壮大なスケールの話を描きながら、その実物語の描写の神髄は”獣の騎士団”の面々の友情、愛情、信頼、心配、憧憬といった心の機微によって紡がれた絆そのものである。託すもの、託されたもの、相手を想ったもの、相手に想われたもの、そして世界の破滅を願いながらも生きるのも同時に諦めきれなかったものたちの物語は壮大でありながら矮小でもあり、ただ目の前の存在を一途に守り抜きたい…そんなシンプルな感情も随所に垣間見えた名作であった。
<1位> 機動戦士ガンダム 水星の魔女
評価:S
お気に入りキャラ:スレッタ・マーキュリー
ガンダムらしいとからしくないとか、そんな議論はもはや無意味と言わんばかりの魅力を持つ作品。そしてそれを根幹で支えているのはTVシリーズでは初となる女性主人公のスレッタの優良なキャラデザ&性格設定と市ノ瀬加那さんの好演である。女性主人公という難しい役割を与えられながらも、きちんと決める時は決め、オドオドしていて守ってあげたくなる可愛さも発揮し、適度に抜けてて親しみも持てるのはむしろ抜かりない。さらに映像面からも全く抜かりなく、このレベルのクオリティを毎週見られるのは僥倖という他ない。脚本がかの『甲鉄城のカバネリ』でも脚本を担当した大河内一楼氏ということで一部のファンからは先の展開を不安視する声も聞かれたが、そんな不安もなんのその。考察が大いに捗る新たなガンダムの世界観に魅入られたのは自分だけではないだろう。そして唯一残念なのは日曜夕方の放送であったということ。これが土曜だったらなあ…。
<劇場版7位> 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ
評価:A-
お気に入りキャラ:アルゴ
劇場版「プログレッシブ」第2作。感染症の影響で公開延期がありその余波なのかどうかは定かではないが、劇場版にしては作画クオリティは控えめといったところ。そしてつまるところ、記憶に新しい『リコリス・リコイル』のキレキレの作画のインパクトにより、今後のA-1 Picturesの作品は常にそのハードルを踏まえた目線に晒されることになったということでもあるのだろう。本作品の原点にして頂点である 《アインクラッド》編の再構成ということもあり、今最も集客力のある『SAO』であるのは間違いなく、存分に意義は感じられるものとなっているのでファンには納得の出来であったのでは。本作品の最大の欠点ともいうべきキリトとアスナをガッツリとカップリングさせた後は後続のヒロインが横恋慕しかできないという点についても、二人の物語に全てが集約されているこの頃なら微笑ましく見守ることができて何より。そういう意味でも、正に最盛期であるのを深く実感する。
<劇場版6位> THE FIRST SLAM DUNK
評価:A
お気に入りキャラ:三井寿 深津一成
「ファンが見たかったもの」ではなく作者にとっての「今だから描けるもの」に忠実に作られた本劇場版は、宮城リョータが主人公という驚きの展開であり、あれだけ熱望されていた「山王戦」の映像化のインパクトが完全におまけになってしまった感すらある。正直、『SLAM DUNK』に求めていたエモさはあくまでもスポーツとしてのそれであり、試合とは関係の無い家族描写などによるそれは雑味成分のようにも感じられ、盛大な後付け感も手伝ってお世辞にも描写に優れていたとも言えなかったのだが、試合描写については原作が良すぎるのでそれなりに満足もできてしまうという何とも評価に困る作品であった。実際、現在のアニメ技術で1クールアニメとして「山王戦」をガッツリと原作に忠実に映像化してくれる方がファンとしては嬉しかったのだが、作者が「原作をただなぞって同じものを作ることにそそられない」と述べていた以上、それは叶わぬ夢だっだのだろう…。
<劇場版5位> すずめの戸締まり
評価:A
お気に入りキャラ:岩戸環
新海誠監督最新作。事前情報はほぼ入れずの鑑賞となったが、前二作と合わせて「三部作」と呼ばれたとしても遜色は無いパワーはとりあえず持ち合わせていたというのがひとまずの感想か。相変わらずの監督のオナニーをひたすら見せつけられているような鑑賞感であるが、初手で「イケメン」という絶対的正義を持ってくるあたりどこか自虐的かつ悲観的でオタク心に突き刺さる点も変わらず。こういう作風が広く大衆に受け入れられたのってホントに奇跡的なバランス感覚だなあ…としみじみ。最近は、ティーンエイジャーの主人公よりもその親世代に感情移入してしまうことが増えたけど、本作品の環さんの本音の描写なんかもグッサリ。よくぞやってくれたと言いたくなるけど、別に新海作品でなくてもよくある描写といえばそれまでだしなあ…。「震災」の要素をガッツリ取り入れたのはかなり危険で挑戦的な賭けであるが、代替手段もたしかに無いし致し方なしか。
<劇場版4位> 私に天使が舞い降りた!プレシャス・フレンズ
評価:A+
お気に入りキャラ:星野みやこ 星野ひなた
相も変わらず上田麗奈さんによるみゃー姉のハァハァやショボーンやモジモジのフルセットボイスをひたすらに堪能できるお得感満載の作品。それに加えて長江里加さんによるひなたの特徴的なロリっ娘ボイスもカエシの利いたメンラーのプースーのようにソリッド抜群なキレで観客を魅了し、もうそれだけで胃袋が存分に満たされるのを実感する。長江里加さんはすごく良い声質をしている割には出演作が少ない気がするのが実に不思議である。みゃー姉&ロリっ娘5人組はそれぞれの役割がハッキリしており遊んでいるキャラもなくその点は実に素晴らしいのだが、カップリングが固定され過ぎているきらいもあり、具体的にはみゃー姉にはもっとひなたを構ってあげて欲しい。普通は大好きな姉が自分の友達にあれだけベッタリだと妹はグレてしまうぞ。”プレシャス・フレンズ”というタイトル回収も見事であり、この出来栄えに異議を唱えるファンはまずいないであろう。
<劇場版3位> 劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編
評価:A+
お気に入りキャラ:シュナ
原作はまだまだストックが豊富にありそうだし、まずは総集編でなかったことを素直に評価したい。自分が「劇場版でメインストーリーを進めてしまうこと」に否定的な立場なのは先の記事でも述べたとおりで、それに抵触するかどうかは微妙なラインだったのだが、リムルの能力の新たな開花などもなかったことだし今回はセーフ判定で良いのかもしれない。劇場版単体として見れば大鬼族のキャラたちの過去にまつわる一つのストーリーとして良くまとまっており、映像面も劇場版クオリティという言葉を素直に当てはめることができる代物であり満足度は高かった。リムルが良くも悪くも安定のチート感を発揮し戦闘描写への緊張感はほとんどなかったのだが、今回はあえて大鬼族中心で解決させるよう取り計らった感もありその辺りのバランス感覚も良かった。総じて、そこまで高くはなかったハードルは安々と飛び越えてくれた嬉しい誤算ともいうべき作品であった。
<劇場版2位> かがみの孤城
評価:A+
お気に入りキャラ:喜多嶋先生
心に影を落とした思春期の中学生たちが、俗世からの”逃げ場所”たる「かがみの孤城」で共に時間を過ごす中で、自身の孤独と向き合い一歩づつ前に進んでいくまでの物語。多かれ少なかれ誰しもの人生で登場人物のいずれかの”痛み”に共感する部分を有していると思われ、積極的に感想を議論し合うというよりは自身の中で物語を静かに咀嚼したいと感じた人も多いのでは…。よって、できればソロでの鑑賞推奨である。本作品には、とあるギミックが仕掛けられているのだが、これに関しては感動的でありながらもかなり分かりやすく、逆にもう少し匂わせる程度に留めても良かったのではと思ったぐらい。自分のようないい年した大人の捻くれた目線からは主人公のこころがなんだかんだ美少女であることを不本意に感じてしまうのも正直なところであり、本来この物語に最も深く感じ入ることができるのは現役のティーンエイジャーたちなんだろうなと深く実感する。
<劇場版1位> かぐや様は告らせたい -ファーストキッスは終わらない-
評価:S-
お気に入りキャラ:白銀圭
TVシリーズ3期のその後、二人が晴れて正式に恋人の関係になるまでの物語。「告らせたい」要素はもはやあってないような本格派のラブコメの終盤戦の様相を呈しているが、それもここまで描かれてきたお互いの「告らせたい」理由の丁寧な描写があってこそ。意中の相手とは”全てを見せ合いたい”かぐやと”頑張ってカッコつけたい”御行の言うなれば男女の恋愛観の代理戦争は、”かぐや様”と呼ばれていた頃の彼女の原点に立ち返り、これまでの二人の道程を万感の想いで反芻させる。とはいえ、この辺りの恋愛観については”カッコつけなくていい”なんてカッコいい奴にしか言われない台詞だよなあなんてことも思ってしまうわけで。総じて、”ファーストキッスは終わらない”描写然り、当初のネタ感の強かった作風から本格派のラブコメに進化した過程は実に見事であり、作者の構成力が光った作品であったといえよう。アニメの完結まではあとどれぐらいなのかしら…?