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酒と肴の記録

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シリーズ「酒と肴」をまとめたものです。日々の暮らしの中で拵えたおつまみと合わせたお酒を紹介しています。信州食材と豆料理への愛が適度に詰まっています。
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#レシピでつくってみた

そっちは崖だと知りながら|酒と肴

やることが山積みの時ほど、日頃気にならないことが気になります。 一度使ったきりで、忘れたふりをしている調味料だとか、買ったまま手をつけていない酒粕のことで頭がいっぱいになって、何やかんや言い訳を作ってはせっせと台所に立つのです。 きっと「現実逃避」なんでしょうけれど、抱えた案件が多すぎて、最早何から逃れようとしているのか分かりません。確かなことは、料理をしている時間は余計なことを考えないで済むって話です。 この日も一向に片付かない仕事にモヤりながら、休憩中に見たスーパー

豆料理愛好家(ミネストローネ)|酒と肴 その九十

食べるのはもちろん作るのも好きなので、『天然生活』や『クロワッサン』の料理特集は必ず目を通します。 記事に登場する料理家の皆さんに憧れて、「豆料理研究家」と呼ばれる自分を想像するのは、大概濃いめのソーダ割で酩酊している時です。 素面で暮らすには、ちょいとささくれだったこの憂き世。アルコール中心主義者の自覚はありますが、アディクションはおこがましくて謳えません。同じ感覚で料理家や研究家なんて恐れ多く、名乗るのであれば愛好家あたりが丁度良いと思われます。身の程を知るのは大事なこ

気散じの処方箋(湯豆腐)|酒と肴 その七十五

週末、何を肴に呑もうかって考えると、幸せを感じます。 別段、高価な品や美食でなくていいんです。冷蔵庫の残りものやその時に食べたいものを思い浮かべ、どのお酒と合わせようなんて考えるのが楽しくて楽しくて。 連休の前の日や、旅行の計画を立てている時と似た感覚です。 ここ数年、年齢なのか世情によるものか分かりませんが、不定愁訴な症状が増えてまいりました。具体的には集中力が減ったり妙な不安に襲われたり。 以前は毎晩、家でも外でもまあまあの酔っ払いになっていたので、気付かなかっただけ

裏切りの肉体(鮭のちらし寿司)|酒と肴 その六十五

ケガ防止のために伸ばした筋を違えました。 ほっぺたに出来た吹き出物、2ヶ月経っても赤みが取れません。 まつ毛に白髪、これで目に見えるすべての毛に、白いものが混じるようになりました。 自分の体に裏切られ、何も信じられない今日この頃。 同世代&先輩方は如何お過ごしでしょうか。 こんな時ほど、健康系、美容系の怪しい広告が目に付きます。クリックするには至りませんが、加齢による衰えは認めるほかありません。人間ならぬ、肉体不信に悩んでいたとき、ふと気付いたのです。 信じられるの