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酒と肴の記録

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シリーズ「酒と肴」をまとめたものです。日々の暮らしの中で拵えたおつまみと合わせたお酒を紹介しています。信州食材と豆料理への愛が適度に詰まっています。
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#泡盛

お正月の前に(各種豆煮)|酒と肴 その七十

大掃除の地方予選が始まりました。 換気扇などの強豪は年末の本大会から参戦、元日に決勝(終わらなかっただけ)が行われるあたり、天皇杯を思わせます。 まずはシンク下、魔窟のごとくひしめく食材ストックから手をつけます。 2022年も豆活に励んだので、乾物カゴには中途半端に余った豆類がいろいろ。黒豆、小豆、緑豆、青ばた豆に白インゲン豆。他にもきな粉やタピオカなどが出てきます。アルバムを見返すみたく、手に取っては作った料理を懐かしんでしまうのは、確実に現実逃避でしょう。 さて、

私の欲望三国志(夏野菜、白桃泡盛)|酒と肴 その六十四

202x年。圧倒的な影響力で私の全土を支配していた王朝、セイ*が衰えをみせると、その間隙を縫うように金、健、食の三国が興り、覇権を争うようになった。 *セイ王朝:通称セイチョウ。 成立時期により「第一次セイ朝(前セイ)」と「第二次セイ朝(後セイ)」に分かれる。数ある欲求の中でも最大勢力(性力)を誇る。後セイは約30年の長期に渡って私を支配してきたが、この頃は衰えをみせ、その影響か、記憶力と集中力の低下にも悩まされている。(豆千:後年記より) こうして私の体を舞台にした欲望

もう、戻れない(あんこ祭り)|酒と肴 その六十

食材のストックが充実していると、幸せを感じるタイプです。 貯金についても同じ考えですが、こちらはうまく行きません。ストレスはヒサン(1日3割)でたまり、トラブルは複利で増えますけれど、口座の数字は一進一退。投資信託に関しては、華麗にムーンウォーク*をキメてくれます。 *ムーンウォーク 足を交互に滑らせ、前に歩いているように見せながら後ろに滑るストリートダンスの技法である(Wikipediaより) 私はいつでも待っているのに、来てもすぐ別のところへ出ていくお金。どうやら都

始末のいい暮らし(海南鶏飯、鶏だしうどん)|酒と肴 その三十八

有難いことにたくさんの持ち物に囲まれて、阿呆らしいことにその管理に汲々としてきました。 それなら買い方を変えればいいと気づき、ここ何年かは必要の7割を心掛けています。残る3割のうち、2割は手間暇や工夫でどうにかなりますし、解決しない1割は縁が無かったと諦めます。 おかげで近頃は少しずつ物が減ってきました。使い果たさず処分すれば話は早いのでしょうけれど、ケチな上に感情移入するタチなので、片付くにはまだ時間がかかりそうです。 衣類や消耗品、身の回りの品はそんな具合に落ち着き

ひとの目を盗み、飲む|酒と肴 その十二

興味はあるけれど怖くて手が出せないもの。覚醒剤、人妻、お菓子作り。どれも響きが魅力的、でもハマると危険、抜け出せなくなります。 長いこと堅実に暮らしてきましたが、いよいよ世の中は真面目でないと気づきました。休日は朝から飲む奴が言うのも何ですが、兎角この世は生きにくいものです。それならいっそ、自分の欲求に正直に生きるのが吉ということで、お菓子作りに手を染めました。 なんでまたお菓子作りかと言いますと、沖縄の「泡盛コーヒー」をお土産にもらったからです。酒も甘味もいけるクチですの

夏の余韻、秋の気配|酒と肴 その八

Q:飲まない夜、お酒のことを考えると胸が苦しくなります。恋でしょうか? A:依存です。アルコールの早期離脱症状と思われます。 クーラーの部屋にこもった今年の夏。遠出をしなかったせいか、いまいち夏を味わった気がしません。 noteを見返せば休日は朝からビール、ゴーヤチャンプルーも、痺れる辛さのよだれ鶏も作っています。それなのに物足りなく感じるは、依存ではなくお酒に恋をしているからと信じたい後厄系の男子です。 ​​この「○厄系男子(女子)」(○には前・本・後が入る)という言

苦瓜とミミズ腫れ|酒と肴 その六

自宅で過ごす夏休み、車に乗る用事もないので昼酒を楽しむことに。買い置きのビールを切らしていたので、サンダルをつっかけて近所の酒屋へ向かう。 配達中心の店なのか、外から見える品揃えは少ない。いつもは店先の自動販売機で済ませるけれど、予定のない連休は時間があり余っているので、涼みがてら覗いてみる。 薄暗い店内、エアコンはそれほど効いていない。冷蔵ケースに商品はまばら、棚の日本酒も焼酎もいつからあるのか、ラベルが日に焼けている。さっさとビールを買って帰ろうと思いつつ、ふと焼酎の棚