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酒と肴の記録

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シリーズ「酒と肴」をまとめたものです。日々の暮らしの中で拵えたおつまみと合わせたお酒を紹介しています。信州食材と豆料理への愛が適度に詰まっています。
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#至福のスイーツ

やらかしマッスル(こしあん)|酒と肴 その八十七

現実って辛いじゃないですか。 日々、スマホの向こう側では目を見張ることが起こりがち。ですからなるべく薄目で見たり、目を逸らすように心掛けています。何のことはありません、ドライアイ対策です。うぶな季節はとうに過ぎました。 長いこと人間をやっていると、辛い現実には甘いご褒美が必要だと気付きます。セルフプロデュースのアメとムチ、つまりは自己愛です。 誰しも心にナルキッソスがいなければ、世間の荒波はしみることでしょう。 だけど悲しいかな、世の中には弱り目につけ込む悪い奴がいるん

お正月の前に(各種豆煮)|酒と肴 その七十

大掃除の地方予選が始まりました。 換気扇などの強豪は年末の本大会から参戦、元日に決勝(終わらなかっただけ)が行われるあたり、天皇杯を思わせます。 まずはシンク下、魔窟のごとくひしめく食材ストックから手をつけます。 2022年も豆活に励んだので、乾物カゴには中途半端に余った豆類がいろいろ。黒豆、小豆、緑豆、青ばた豆に白インゲン豆。他にもきな粉やタピオカなどが出てきます。アルバムを見返すみたく、手に取っては作った料理を懐かしんでしまうのは、確実に現実逃避でしょう。 さて、

もう、戻れない(あんこ祭り)|酒と肴 その六十

食材のストックが充実していると、幸せを感じるタイプです。 貯金についても同じ考えですが、こちらはうまく行きません。ストレスはヒサン(1日3割)でたまり、トラブルは複利で増えますけれど、口座の数字は一進一退。投資信託に関しては、華麗にムーンウォーク*をキメてくれます。 *ムーンウォーク 足を交互に滑らせ、前に歩いているように見せながら後ろに滑るストリートダンスの技法である(Wikipediaより) 私はいつでも待っているのに、来てもすぐ別のところへ出ていくお金。どうやら都

乙女番長の叫び(いちごミルクプリン)|酒と肴 その五十三

体の奥から湧き上がる衝動、春はムズムズして落ち着きがなくなります。 もちろん発情期でも、クスリ切れでもありません。お菓子作りの血が騒いでいるのです。 先日、出来心から手を出した「偽プリン作り」。所属する団体に迷惑をかけましたが、幸い実刑は免れました。 とは言え謹慎中も、行儀良く真面目には過ごせません。次はもっと純度の高いブツを作ろうと画策し、調合方法を調べる依存性。一度足を踏み入れたら簡単には抜け出せない、げに恐ろしきスイーツの世界です。 しかし、執行猶予が明けていざマ

十三夜の遊び(あんこ)|酒と肴 その四十二

カップ酒によく合う肴がありまして、赤貝の缶詰に、回転寿司の持ち帰りについてるガリをちらし、七味を振ったものです。 季節の変わり目はどうにも億劫で、料理はもちろん、お店に行くのも、出来合いを買うのも気乗りしません。何だか頭と体がうまく繋がらず、ビールを飲もうと冷蔵庫からカップ酒を取り出す始末。たぶん、心の軟骨がすり減っているのでしょう。 そんな時、ままごとみたいに作れるツマミがあると、気持ちにちょっと余裕が生まれます。それが冒頭の一品。ドアポケット、納豆の辛子なんかと一緒く