君は永遠にそいつらより若い
日常を支えてくれている読書について思った事をつらつらと書いてみたいなと思ったのだが、ただの自己満である。
『本を読む事が好きです』なんて言っているのだけど、実際に作者が伝えたい事を理解できているのか、充分に言葉を感じれてるのかは分からない。
だけど1つ言えるのは、この本を読んで良かった!と思った経験があるという事。それは自分の人生を生きていく上でとてつもなく重要な感情だと思う。
タイトルに上げているのは津村記久子の作品なのだが、初めて読んだ時は衝撃を受けた。
それまでは所謂、推理小説や恋愛小説と分類される小説を面白いと思い読んできた。犯人が分かってスッキリし、両想いになって胸キュンしたり死に別れて涙するものが小説だと思ってきたのだ。
社会人になってからだろうか、大型書店に足を延ばした際に今までの私の読書に対する意識が一変する程の多種多様な小説・専門書・ビジネス書・文芸誌・雑誌などが本棚に並んでおり息を飲んだ事を覚えている。(それまでは大きな書店に行きたいなど思った事がなくて、そこまで大きくない本屋の平積みされてる本を選んでいたと思うし、それが読書だと思っていた)本屋独特のいい匂いを感じながら興奮を抑え広い店内を見て回って、本を選んだ事を覚えている。太宰・芥川・夏目漱石・村上春樹 知ってるけど難しそう。でも読めたらかっこいいかなと思って気になるものを購入。帰宅し早速読むがまったくわからない・・・本読むの向いてないんかもと思う。それらを積読しまた本屋へ。しらない作家の本も読んでみよう。心にグッときた気になるタイトルの本を買ってみよう。そんな事を繰り返していくうちに手に取っていた一つがこの津村記久子の『君は永遠にそいつらより若い』だったのだ。
雨が強く降ってるなか主人公は何故か自転車の鍵を一生懸命探している。その冒頭の場面から引き付けられた。そして主人公の自己肯定感が低い様や不器用なところが他人事ではなかった。主人公以外の登場人物も個性が爆発していて、危うい何かを持っていた。それなりに悩みがあっても平凡で楽しい毎日を過ごしているはずなのに、自分とは関係のない所から侵入してくる黒い塊。今まで読んだ本にはなかった。楽しい。感動する。泣ける。それだけでは表せない何かがこの小説には詰まっていて、読み終わった後は初めての感情を味わった。なになになに。本読むってこんな気持ちなるんや!って思って感動したのを覚えている。そこから今日までこの本を何度も読んだ。鞄に入れたりお風呂で読んだりしてたのでボロボロになったので最近は自分へのご褒美にと同じものをもう一冊買った。きっとこれからも何回も読む本なのだ。津村記久子本はこの小説以外も私にとって前向きに生きる為になくてはならないものになっている。(ありきたりな言い方しかできず説得力には欠けるが・・・)
自分の心に響く小説は自分を救ってくれるのだと知って、苦しい時に救って欲しくて、前向きになりたくて、それからは読書が好きになった。この世に存在する小説は私が生きている間に全て読む事は不可能だけれど、一冊でも多く素敵な作品に巡り会いたい。