ネリリキルルハララの話
初めて聞いたのは、中学の合唱祭だった。上級生が歌う、『二十億光年の孤独』が凄くかっこよかったのだ。迫真の歌、びびびっとくる感覚、パチリと覚めた目が印象的だった。
当時は、思春期真っ只中。反抗期が目立たなかった私だけれど、友達の「あの曲、意味わからなくて本当に嫌い。」の一言で、あの曲が歌いたいって言うの辞めようと思っていた。翌年のコンクールの選曲のときだった。
ぽろっとなんの気無しに、隣の席の子に「あの曲、メッセージが分かりにくいんだってさ。」と言った。賢かった彼は「いや、あれほどメッセージある曲ってねぇだろ。」と言い放った。妙にかっこよくて、感性が素敵だと思った。僕も彼に倣うことにして、投票することを決めた。
そのときから、何かしらの表現を受け取るにはそれ相応の教養が要るんだと考えるようになった。語彙が必要だし、限られた言葉から想像を広げることを楽しめなくてはいけない気がした。
表現との鮮烈な出会いだった。あのとき、確かに、ネリリし、キルルし、ハララしたんだと思う。どきん。